同族体 (Homologue)とは、有機化学における基礎概念である。
この用語は、次のように定義される。
【R1-R2 という化学構造に対して、R1-(CH2)n-R2 の構造を持つ誘導体のこと】
要するに、メチレン鎖のみが異なる化合物群を指す。
ドラッグデザインにおいて、同族体変換は、基礎的なアプローチの一つである。
これにより、ターゲットに対する主活性が大きく向上することがある。
また、リガンドの物性、ドラッグライクネスを調整する際にも使える。
「メチレン鎖の長さがちょっと変わっただけで、何か変わるのか?」
上記のような先入観を抱きがちだが、これは全くの過小評価だと言える。
SAR研究においては、メチル基一つ、フッ素置換基一つが、
何らかの形でブレークスルーに貢献することもある。
メチレンリンカーの変換も、やはり同様に機能する。
小さな変化が大きな変化につながる可能性がある。
この点が、リガンドデザインの面白いところだと思う。
「合成してみて初めて分かった」という場合も多いわけである。
■ 同族体の変換例
ドラッグデザインの知識を整理する上で、自身の経験だけではなく、
先人(報告例)や同業者(検討例・挑戦例)に学ぶことは重要である。
SAR 研究というのは、アイデアが尽きたらそこで終わってしまう。
したがって、情報の蓄積を習慣化し、整理し、
使えるようにしておくことが重要である。
以下は、同族体の変換例である。
1.
neuraminidase influenza A / IC50
2.
ACE inhibiting potency / IC50
3.
CCK-B receptor binding affinity / IC50
Eur. J. Med. Chem. 1993, 28, 37.
4.
thromboxane A2 receptor binding affinity / IC50
5.
human mGluR1 inhibiting Potency (1321N1 cells) / IC50
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