同族体 / Homologue について ① | 創薬メモ

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創薬化学、有機化学、有機合成について書き進めていきます。

同族体 (Homologue)とは、有機化学における基礎概念である。

この用語は、次のように定義される。

 

【R1-R2 という化学構造に対して、R1-(CH2)n-R2 の構造を持つ誘導体のこと】

 

要するに、メチレン鎖のみが異なる化合物群を指す。


ドラッグデザインにおいて、同族体変換は、基礎的なアプローチの一つである。

これにより、ターゲットに対する主活性が大きく向上することがある。

また、リガンドの物性、ドラッグライクネスを調整する際にも使える。

 

「メチレン鎖の長さがちょっと変わっただけで、何か変わるのか?」

 

上記のような先入観を抱きがちだが、これは全くの過小評価だと言える。

SAR研究においては、メチル基一つ、フッ素置換基一つが、

何らかの形でブレークスルーに貢献することもある。

メチレンリンカーの変換も、やはり同様に機能する。

 

小さな変化が大きな変化につながる可能性がある。

この点が、リガンドデザインの面白いところだと思う。

「合成してみて初めて分かった」という場合も多いわけである。

 

■ 同族体の変換例

 

ドラッグデザインの知識を整理する上で、自身の経験だけではなく、

先人(報告例)や同業者(検討例・挑戦例)に学ぶことは重要である。

SAR 研究というのは、アイデアが尽きたらそこで終わってしまう。

したがって、情報の蓄積を習慣化し、整理し、

使えるようにしておくことが重要である。

 

以下は、同族体の変換例である。

 

1.

 

 

neuraminidase influenza A / IC50

 

J. Med. Chem. 1998, 41, 2451.

 

2.

 

 

ACE inhibiting potency / IC50

 

J. Med. Chem. 1986, 29, 251.

 

3.

 

 

CCK-B receptor binding affinity / IC50

 

Eur. J. Med. Chem. 1993, 28, 37.

 

4. 

 

 

thromboxane A2 receptor binding affinity  / IC50

 

J. Med. Chem. 1993, 36, 1175.

 

5. 

 

 

 

human mGluR1 inhibiting Potency (1321N1 cells) / IC50

 

J. Med. Chem. 2005, 48, 7374.

 

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