僕の嫁が書いたエッセーです。よろしかったらお読みください!

☆つまんだものはなんと☆

7月初旬、近所に住む友人のビルに私たち夫婦が夕食に誘われたある日の出来事。

私たちが彼の家に着くと、ビルの奥さんのリンはいつもよりドレスアップしていました。

中に入り居間のソファーに腰掛けて私達夫婦とビルが話をしていると、リンが私を台所に呼ぶのです。 

台所の棚の奥に置いてあった、小さなプラスチック容器を開けた彼女。

中に指を入れて何かゴソゴソ探しています。

何を探してるのかと中を見ると、なんと探す指の先にはグニャグニャ動く細くて長い薄茶色の幼虫がいっぱい!!!

長さは4センチくらいはあるでしょうか。
まさに子供のとき父に海釣りに連れて行ってもらい、餌箱の中のたくさんのミミズを見たとき以来の衝撃です。

彼女はそれらの幼虫の中に指を入れ、約10匹あまり何気ない顔で素手でつまみ出し小さな別の容器に入れていきます。

その後その容器を外に持って行きました。
もちろん私もついて行きましたよ。

ふと見ると庭先に木製の鳥の巣箱が2つ。
春先にビルが2つとも作ったそうです。

左側の巣箱は横板に2枚の透明のプラスチック板がはまっているので中が見れるようになっています。

その左側の巣箱の中に、彼女が先ほどの幼虫が入った容器を傾けて、中に全部を投げ込みました。

そしてリンが口笛をピーと1回鳴らしたのです。

彼女と巣箱から離れしばらく待っていると、

スーッとどこからともなく、つがいのブルーバードが現れ、その幼虫が入った方の巣箱に入りゴソゴソしています。

そして幼虫を一匹ずつくわえて、右側にあるもう一つの巣箱に飛んでいきました!

なんと右の巣箱には産まれたてのひな鳥たちが入っているそうです。

ブルーバードは名前の通り青い鳥。

ここ北米では希少な鳥とされていましたが、近年は北米で保護され増加しています。


このブルーバードの卵って薄いブルー色をしているんですよね。最初カナダにきてこの卵を見たときはあまりの美しさに驚きました。

それにここカナダではこのブルーバードが毎年家で巣作りをすることで幸せを呼ぶと言われています。日本のツバメが家の軒下に作ると幸せを呼ぶと言われますが、同じような風習ですよね。

ただし、ここカナダのブルーバードは人馴れしているからか、驚くほど低い位置に巣作りすることがあります。

友達のお宅ではウッドデッキの柱の中ほどに沿わせたつる性の植物の中に、ブルーバードが巣作りしたと聞いたことがありますから。

また別の友人は春から夏にかけてのみ外に出す、20年来育てている鉢植えのアボガドの木の枝に巣を作ったなんて話も聞いたことがあります。

友人のビルとリンの庭のお手製の巣箱には、ここのところ毎年ブルーバードたちがやってきて産卵し、春から夏にかけて数回に渡ってひな鳥をかえして育てるそうです。

それにしても、私たちを迎えるためにドレスアップした彼女が、素手でグニャグニャ動く幼虫を指でつまんでいる姿はとても衝撃的でしたよ(笑)

2016年に日本でも公開された映画「ボンジュール アン」(Paris Can Wait)に登場したダイアンレイン演じる主人公が、パリで男性の車に乗りドライブしているとき急に車のターンベルトが切れて走らなくなってしまうんです。

その困っている男性の車に、自分のパンティストッキングをとっさに脱いでそれを結んで、ターンベルト代わりに使い修理工場まで走るというシーンがあります。

きれいな洋服を着ているのに、なんの躊躇もなくやってのけるのを見たその男性や修理工が、あなたは素晴らしいまさにアメリカンウーマンだ!と称賛されるのです。

アメリカ同様、男性もタジタジになるくらいタフな女性が多いと言われるカナダ。

ここカナダに住んで初めて見たちょっと貴重な体験でした。