指田文夫の「さすらい日乗」

さすらいはアントニオーニの映画『さすらい』で、日乗は永井荷風の『断腸亭日乗』です 日本でただ一人の大衆文化評論家です

『毒婦高橋お伝』

2020年07月06日 | 映画
ミドリの狸が当選して不愉快なので、『毒婦高橋お伝』を見る。
随分昔に、大井武蔵野で見たきりだが、やはり名作だと感じた。
毒婦ではなく、明治時代、貧困の中で仕方なく、犯罪に身を染めていく悲しい女を描いている。
すぐに思い出したのは、樋口一葉の『たけくらべ』『にごりえ』等の世界だ。



冒頭、警察というよりは、邏卒に追われているお伝が、町を逃げる。人力車に乗り、愛宕下へというが、車夫は違う路地に入り込んで止める。
「違うじゃないの」というと車夫は、元主人の男で、「こんなに落ちぶれたのもお前の性だ」という。
今の男、松本朝夫は、肺病病みである。
宝石店で、ダイヤモンドを万引きするが、追ってきた警官も、お伝に体でごまかされてしまう。
この警官の勝馬は、将来の出世を願って勉強していたが、お伝のために放棄することになる。
悪の頭目の丹波哲郎のものになり、お伝は横浜の金獅子館の女主人にまでなる。
そこは、女を誘拐して来て、売り飛ばす一味なのだ。
お伝には、最初の男との間にお光がいたが、父親は飲んだくれで、娘に食うものも上げず、隣家の老女五月藤枝の世話になっている始末。
そして、ある日、お伝が長屋にくると、お光は死んでいる。お伝は誓う、「男に復讐するのだ」と。
横浜の館で、お伝は丹波らを殺そうとし、閉じ込めれていた女を救い出し、館は、火事で燃える。
横浜から東京に行く汽車には、縄を掛けられたお伝、恋人と一緒になった數馬がいる。
これは非常に小型の蒸気機関車で、たぶん栃木の東野鉄道だろう。
お伝の他にも明治には、毒婦と言われた女性が3人いた。
平成の毒婦・小池百合子の今後の運命やいかに。

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