「パ~パ、パ~パ。早く、早く~。」 | THMIS mama “お洒落の小部屋”

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好きになれない。  vol.076.

ドキドキ その瞬間、目を真っ赤にして麻美。
麻衣子の左腕に絡みながら…。

麻衣子、
「うんうん。」

小枝子、柚、
「侑佳さん。」

もらい泣きをしている侑佳。
「うん。素敵。」

小枝子、
「侑佳さんも…、頑張らないと…。」

「グスッ。はい。」





「パ~パ、パ~パ。早く、早く~。」
駆け出しながら絢。

「お~い、絢~。そんなに走ったら転ぶぞ~~。」
浩一。

「かかかか。お転婆ママに似て来たな~。」
敏光。

「ほ~んと。」
順子。

「な~に言ってるかな~。ジィジもバァバも…。」
麻衣子。
「あ~や~。そんなに急がなくっても、高志パパは逃げないよ~~。」

「絢~~。ほ~ら、こうやって~~。できるか~。」
浩一、自分の傍にぴったり絢をくっつけて。

麻衣子、順子と麻美に助けられながらゆっくりと墓石の上から水を掛けながら、
「高志~。もう二年…、経ったんだね~~。」

浩一、
「おぅ~~、絢~~。上手、上手。」

敏光、順子、麻美、
「はは。」

高志の三回忌である。


「もう…2年か…。」
しっかりと両手を合わせながら敏光。

「早いよね~~。」
順子。

全員、拝み終えて。

絢、
「パ~パ。はい。」
浩一に向かって、両手を挙げて。

浩一、
「ほいほい。」
肩車である。

麻衣子、
「絢。んもう~お行儀悪い~~。パパもその気になるんだから、いっつも~~。」

「はは。仕方ないや。パパっ子だもんな~絢は~。俺より人気あるからな、モッちゃん。かかか。」
敏光。

「いやいや…、とんでもないっすよ、お義父さん。」
浩一。

「それより…、マコ…、お腹…大丈夫…???」
順子。

既に8か月に達している。

麻美、
「ねね、兄さん…。男か女かどっち…???」

そんな麻美の声に、
「ん~~???知りたい~~???」
にっこりとして浩一。

麻衣子、
「んふふふふ~~。教えて…あ~げない。」
と、意地悪そうに…。

麻美、
「うそ~~~。意地悪~~。」

「かかかか…。…って、言うか、実は、マコも僕も、知らないんだ。」
浩一。

「へっ…???なんで、なんで…???」
「ん~~。なんでって…訊かれても…困るんだけど…。ふたりで決めたから…。」

敏光、順子、
「ん~~???」

「絢が生まれた時と同じ。その時、僕はいなかったけど…。多分、高志君の贈り物だって思ってね。」
浩一。

「だから…、この子が生まれてくるときも、その時と同じ。男でも女でも、高志と一緒に喜び合おうって…。」
麻衣子。

順子、敏光、その浩一と麻衣子の話に、
「ふ~~ん。」
と、にっこり。








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