新宿のホテルを出て、既に高速に乗っている黒のBMW。
「先生…、新條さん、追っ掛けるそうです。」
助手席で古家並木。ファッションデザイナー、牧田敦子のマネージャーである。
後部席に乗っている牧田敦子。
「ふ~ん。そぅ…。…ふふ…。」
20分後、こちらもようやく高速に乗ったタクシー。
「さ~て。運転手さん、頼むよ~。黒のBMW、ナンバーは…………。」
夕美子。
「あいよ。ここまで来たら、任せな。向こうさん、先に高速、乗ってんだろ。」
「えぇ~。とっくに。」
既に時計の針は午前7時30分を過ぎている。
スマホに着電。
「夕美子、今…何処…???」
與門である。
「やるっきゃないでしょ。もう幕張の手前まで来てる。」
「うん。」
「まさか…。パリまで行けってんじゃないでしょうね~。」
「ざ~んねんながら、そこまでは経費じゃ無理。ポケットマネーでお願い。」
「その前に、パスポート…持ってないっつうの~~。」
「ふふ…。頼んだよ。相棒~~。」
「おぅ。與門~~。高くつくぞ~~。」
「おまえさんのためならね~~。どこまででも、お供しましょ。」
運転手、
「見えた!!!」
與門、
「ふふ…、その声。」
夕美子、
「さっすが~~。ダンディ~~。わっほ。與門、じゃ、切るよ。」
「おぅ。」
ドライバー、
「先程から、あるタクシー、後ろ、離れませんね~。」
古家、
「追い付きましたか…。」
牧田、
「……。」
午前11時05分。成田からパリに向かっての直行便、離陸。
機内で牧田、資料を見ながら、
「並木~~。與門に、例のワイン…お願いね~~。」
古家、
「はい。もう既に…。」
マストアイテムのファッションサングラスを掛けながら、
「いいコンビだわ…。」
スマホを耳に、エスカレーターを降りる夕美子。
タクシーに乗り込んで、
「ダンディ~、東京まで、帰りま~す。」
「はいな。」
ファイルを片手にドアを開けて廊下に出る衣川康太、
「あ~、新條さん、お帰んなさい。」
「おはよ、康太~。」
そして編集局に入り、
「おはよ~~。」
右手を高く挙げて亜季、
「おつかれさま~~。しっかし…まぁ~。やってくれるよね~牧田~~。」
「今をときめくファションデザイナー。…だもんね~~。」
向かい席の副嶋真奈香。
「振り回すよね~~。」
その隣の、雪心。
「それでいて…。堂々としている。…ってね~~。」
亜季の隣で亜季のパソコンの動画を観ている澤木美紅。
駆け足で入ってきた上杉信玄、
「あっ、お疲れ~っす、デスク。…っと…。」
机に書類を置いて、向かった先…。
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庄司紗千 つつじヶ丘の坂道で…。
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。