「けど。私がワコウちゃんに、夕美子を押す理由がもうひとつ。」
その由香里の声に今度はルイが、
「…ん…???」
和弘、洋造共にまた、顔を見合わせながら…。
けれども、今度は洋造が…、
「…まさか…???」
「おっと~~。これは洋造さんも…。」
由香里。
「だから…、ブリリアントに…。」
洋造。
「ま~~。そう…だとは…。私には…分かんないよ~~。でも…。」
そして、カウンターをトンと叩いて由香里、
「さて。今日はまだ仕事…、続くんだわ、私ら。」
スツールから降りて由香里。
「1ヶ月後にはその、ディナーファッションショー。開催だから…。忙しくなっちゃう。」
ルイ。
「な~訳でワコウちゃん。返事、待ってる。一週間以内に。お願い。」
由香里。
「まっ、それ以前にまた来るけど…。」
和弘、
「あ~~。あ、あ~~。あ~~。」
と、トーンをダウンして。
「何よ、そのトーンのダウンは…???」
和弘、
「あっ、由香里さん。その…、理由が…もうひとつって…???」
間髪入れずに由香里、
「お~しえる訳…ないじゃん。自分で、考える。」
そしてルイ、
「洋造さん、ご馳走様~~。」
洋造、
「あいよ。毎度。」
ドアを開けて出て行くルイ。
そして由香里、隙間から顔を出して、手をひらひらと、
「じゃね~~。」
そして和弘はふたりの席の食器を片づけて。
洋造、
「さてさて。…ワコウ~~。」
和弘、
「えぇ~~。」
そして額に手の甲を付けて、
「参ったな~~。」
「…って、言うか、おめえはどう思ってんだ、夕~美子~~。」
そんな洋造に頭を振り、
「どうも…こうも…。遠い…存在…ですよ…。今までずっと…。そう…思ってました。そして、これからも…。」
そんな和弘の声に洋造、
「まっ、だ~~な。仕事が出来る、カッコいい女。」
そして、腕組みをしながら、
「普通の女性だったら…、あんな風には…。熟せねぇか…。」
和弘、
「……。」
空を見るように洋造、
「それはそうと…。そっちも、そうだが…、ディナーショーの方…、どうする気だぃ…???」
和弘、ガックリと頭を。
そして顔を天井に、
「あ~~~。参った~~。どうする…。やっべぇ~~。」
通りを歩きながらルイ、由香里に、
「ねね、私も知らないんだけど、ワコウちゃんにも言ってた、もうひとつの理由…って…???」
由香里、
「あぁ、あれ。チョイと、カマ掛けてみたんだけど…。」
そんな由香里の声にルイ、
「カマ…???」
「うん。…これは。…という決め手は、ないんだけど…。多分…。…しかも、洋造さんも何やら、気付いている…みたい。」
「えっ、えっ。どういう…???」
由香里に詰め寄るルイ。
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庄司紗千 きっと大丈夫
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