廊下を駆け足で、
「ヤバイ、ヤバイ。」
階段を上って、
「先生、おはようございます。」
階段の中段くらいの甫と栞奈、
「おぉ~っと。」
「えっ…???…あっ、ははは。おはよう。遅刻かな~~。」
階段を上り切って振り返って佐智子、
「す、すいません。ちょっと…バタバタしてて…。」
「すぐ、朝礼、始まるぞ~。」
甫。
「あっ、はい。すみません。」
教室のドアを開けて、
「ふぅ~~。間に合った~~。ヤバイ、ヤバイ。」
席に着いた佐智子に可羊子、
「おはよ。」
「どしたの~~。珍しいサッチン、遅刻ギリギリなんて~。」
鈴鹿。
「かかかか。いやいや。何とも、何とも、二度寝だよ。かあさんと、とうさん、昨日から葬儀で東北なんだ。…で、弟と二人っきりなんだ。」
可羊子、
「ふ~~ん。」
「準備は全部やってったんだけど…。なんだかんだでね。」
「起立~~。」
佐智子、
「おっと。」
泉川学院高等学校、朝の始まりである。
「でぇ~~矢島~~。んふ~ん。あの先生~~。」
可南子の頭に園加。
「へぇ~~。綺麗な先生~~。」
少しだけ後ろに頭を傾けて可南子。
「…っでしょう~~。」
「あの先生も…ここの美人教師四天王のひとり。芝波田夏妃先生。」
「ふ~~ん。うんうんうん。」
「で~~、もひとつ。」
「もひとつ…???」
「あの先生…、我がバドの顧問だよ~~。」
「へっ、そうなんだ…???…へぇ~~。英語の先生で、バドなんだ~~。な~んか…カッコいい~~。ふんふんふん。…凄いよね。英語の発音綺麗~~。」
可南子。
「そりゃ、そうさ、夏妃先生、海外留学の経験者だもん。」
「わお。」
「はい、それじゃ~~。今日は誰から行くかな~~。」
夏妃。
教室内、
「シ~~ン。」
可南子、頭の中で、
「…えっ、何々…???」
「はい。では…、矢口君。」
「うそ――――――――っ!!!」
名前を指名されての矢口定活(やぐちさだかつ)。
その瞬間、教室内、一気に、
「ヨシ。矢口~~~。」
男子生徒たち。
「矢口君、頑張れ~~。キャハハハハ。」
女子生徒たち。
可南子、
「えっえっ…???」
「生徒と教師の英語での問答よ。」
園加。
「確かに、教科書は教科書なんだけど…。その教科書中から、また別のエクササイズ。とにかく何でも良いの。自分で気付いた事を英語で話す。それがまずは先生から。そして、それを今度は生徒が応える。夏妃先生、これ好きだからね~~。」
「だから、みんな、いっつもドキドキしてんの。」
園加の隣席の柚木梨花(ゆずきりか)。
「でも…、間違ってもOKなんだよ。しっかりと先生、フォローしてくれる。ユニークに…。」
定活、おろおろとしながら、しどろもどろに夏妃の言葉に応える。
そして定活の傍で、まるで世間話でもするようにリラックスした感じの夏妃。
夏妃、
「OK~。Good job.な~に、なに、定活~~。リラックス~~。」
「いや…、そんな事言ったって…。」
定活。
夏妃、
「まっ。そりゃ、そっか~~。緊張するよね~~。はははは。」
教室内、ドドッと爆笑。
「さて、次は~~。」
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庄司紗千 つつじヶ丘の坂道で…。
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。