電車からホームに降り、そして階段を降りながら栞奈、
「道理でね~~。矢島可羊子。部活で元気なかった訳だ~~。…それにしても、矢島可南子。教室じゃ、そんな感じ、見せなかったけど…。」
改札を抜けて駅前に。バッグの中のスマホから着メロ。
画面の名前を見て、
「はい、私。」
聞こえてくる声に、
「うん。今着いた、駅前。……うん、分かった~~。これから行く~。じゃね~~。」
学校から帰って、ず~~っと、雄喜と恵美に構いっぱなしの可南子と可羊子。
留美子、
「しっかし、凄いなつきようだね~、雄喜も恵美~~。」
可南子の横に座って懸命にあやとりをしている恵美。
そして可羊子と床に座り込んでじゃんけんをしながら、
「あっちむいてホイ」をしながら大笑いをしている雄喜。
「可南子~~。ごめんね~~。受験勉強の邪魔しちゃったようでさ~~。」
留美子。
可南子、
「ううん…。全然平気。私も嬉しいよ、恵美ちゃん、もの凄い可愛いもん。私の方こそ、楽しい。」
そんな姉を見ながら可羊子、にこやかに。
可織と燐太郎も笑顔で。
「ほぃ、雄喜~~。今度はじじと遊ぼうか~。」
雄喜に両手を広げて。
「や~~だ。お姉ちゃんと遊ぶ~~。」
体と頭を大きく振りながら雄喜。
可織、そしてトレイを手に、
「わっ。おじいちゃん、振られちゃった~~雄喜に~~。はははははは。」
留美子、両手を叩いて、
「かっかかか。」
可燐、
「はいはい。お茶、そして御菓子だぞ~~。」
可南子、
「恵美ちゃん、恵美ちゃん、ケーキ、ケーキ。ほらほら。」
恵美、いきなりソファから降りて、
「ケーキ、ケーキ~~。」
「ほぃ~~。雄喜君も、ケーキ、ケーキ~~。」
可羊子、雄喜の背中を押して。
「ふふ。」
御菓子を食べながら気になる可羊子、姉の顔をチラリ、チラリと見ながら…。
恵美を笑顔で見守っている可南子。けれども、目は恵美を見ながらも、頭の中では、
航の顔と一華の顔、そして弓香の顔が何度も何度も。
ご飯を食べながらも、何日か振りで早めに帰宅した龍平も一緒の食卓だったせいもあるのか、
いつもよりは口数が少ない可南子と可羊子。
「龍平さん。こっちに異動になって、何件目なの、契約取れたの…???」
ご飯を食べながら可織。
龍平、そんな義母の声に、
「5件…ですか…。はい。」
「へぇ~~。凄いもんだね~。異動したばっかり、だってぇのに、もう…5件。1ヶ月経ってないのに…。ねぇ、おじいちゃん。」
「ん~、ん~。大したもんだ。うんうん。」
喜びながら食べる燐太郎。そして龍平の顔をチラリと見て。
そんな燐太郎の顔をこちらもチラリと見て龍平。
「それにしても…、妙に静かだけど…、可南子、可羊子…???」
可織。
「え~~???へへへへ。」
龍平。
可燐、
「…ん~~…???」
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