「うそでしょ。釣れた―――――――っ!!!」
彩萌、紗枝。
憲央、
「マジで。俺に…釣れた~~。ひょ~~。」
「マジで。なんでお前に釣れて俺に釣れないんだよ。」
信一。
「何々。どんな魚~~???」
可羊子、レミ。
「ハハ、芽久、上手上手。」
園加。
こちらはバドミントンである。3回ミスったら交代。
「園加とアズに敵いっこないけどね~~。…っと…。でも、いざ負けると、しゃくだよね~~。」
弓香。
「こら~~。海野~~。手加減しろ~~。」
史江。
「かかか。先輩、中々強いッスよ~~。」
航。
「これって、なんて言う魚…???」
可羊子。レンタルで借りたバケツの中の魚を見ながら。
「多分、イワナって魚かな…???」
川に向かってまた釣り糸を垂れている憲央。
「小さな点々がいっぱい付いてる。」
可羊子。
「先輩。この魚、どうするの…???」
「あぁ、後で川に放すよ。」
可羊子とレミに顔を向けて。
「ふ~~ん。」
「父さんが言ってたんだ。キャッチ、アンド、リリース。って。」
「キャッチ、アンド、リリース…???」
可羊子、レミ、顔を見合わせながら。
「釣った魚を、生きたままの状態で、川に放すって。」
「おぉ~~。なるほど。」
紗枝、信一の隣に。
「なかなか…釣れないね~~。くく。」
信一、
「うるせぇ~~。」
彩萌、
「憲、私もやりたい。」
紗枝、
「あ~~。私も、次々。」
「はぁ~~。気持ち良い風~~。」
紗枝の髪が風になびく。
憲央、彩萌に、
「こう持って…。…で…。」
彩萌、
「こ…う…???」
「ひゃ~~。」
レミ。
「飛んじゃった~~。」
可羊子。
「わっ。」
風で飛ばされたレミの麦わら帽子。
可羊子、
「わっちゃ~~。川に落ちたよ、レミ~~。」
レミ、
「ごめ~~ん。」
「ちょっと待って。よっ。ありゃ。」
麦わら帽を掴もうと…。また風に、そして川の流れに…。
「待て待て。」
石の上を可羊子。その途端、石がグラリ。
「わっ!!!」
レミ、
「カヨッチ!!!」
そのまま体勢を崩して可羊子、川の中にバシャリ。
可羊子、
「やばっ。」
ただ、右手が水底にすぐ。…ところが、掴んだはずの右手。
掴んだと思った水底がいきなり崩れ。可羊子、頭の中で、
「…うそ。足…着かない…。」
可羊子、そのまま川の中に。
レミ、
「カヨッチ!!!」
その瞬間、いきなり、右側からドブンの音。
レミ、
「えっ…???」
彩萌、紗枝、
「カヨッチ。憲…。」
川辺の方から聞こえた、「カヨッチ!!!」の声で、バドミントンで遊んでいた面々。
そしてその他も、
「どうした――――――――っ!!!!」
水の中で、体をガッチリと抱き締められた感触。
そしてその体にしがみ付く可羊子。すぐさま、水面に。
ふたり、
「ぶわっ!!!」
可羊子、
「わっぷ。わわわわ。」
顔の水を払う様に。
「大丈夫…???カヨッチ。」
憲央。
可羊子、
「うん。うぷ。お~~。びっくりした~~。ありがとう。憲…。」
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庄司紗千 海をこえて
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。