「へっ…???カヨ。あんた…その恰好…。行くとき…???あ~~れ~~???」
台所で可燐。
「かかかか。おかあさん。実は…。」
笑いながら可南子。
「川に、おっこちた。」
舌を出して可羊子。
「はい…???川におっこちた…???」
「おぅ。おかえり。…ん…???何がどうした…???」
台所に入ってきた燐太郎、冷蔵庫からウーロン茶を。
「は…あ…???川におっこちた~~!!!」
ソファで、グラスの中のウーロン茶を飲んで燐太郎。
「声、おっきぃ、おじいちゃん。」
可南子。
「すまん、すまん。…ん…いや。でもでも…。」
「…なんだけど~~。すぐに、助けてもらったの。」
「誰に~~。お礼…言わないと…。」
可羊子、
「い…。いや…。誰にって…。」
それにしても、
「あんた、カヨ。出掛けてった時より、やたらと、大人びて…。」
燐太郎の隣で可燐。
可南子、
「ぷっ。」
可羊子、
「…だって、これ…、先生の…だ…もん。」
燐太郎、
「は…ぁ…???」
可燐、
「へぇ~~~。準備いいんだ、今時の先生。」
「まっ。そんな訳で、楽しかった。ねっ、カヨ。部屋行って、着替えよ。」
可南子。
可羊子、
「うん。」
リビングから階段に向かうふたり。
「ふ~~ん。先生のTシャツ…か。」
燐太郎。
「…って、言うか、おじいちゃん。カヨ。誰に助けてもらったのよ。」
可憐。
「あっ!!!!」
階段の方に顔を、燐太郎。
「もぅ~~。遅い~。」
台所に向かう可燐。
「…って言うか、おまえ…。おまえが話…すり替え…。…ったく…。もぅ~~。」
残りのウーロン茶を飲む燐太郎。
遅めの晩御飯を食べながら龍平。
「は…あ…???川に落ちた。カヨが…。なんで…???」
「なにやらね~~。友達の麦わら帽子、風に飛ばされて、それを取ろうとしたら足元の石がゴロン。…で、川に…ドボン。」
「う~~っわ。」
「でも、3年の男子が…助けてくれたんですって~~。」
「3年の…男子…???」
「ほら。」
そして天井を見ながら、
「弓道男子個人5位の…彼…。」
「5位……。っつぅと…。」
龍平、記憶を辿りながら…。
「おぅ~~。確か…。3年の…定岡…くん…って…、言ったか…???」
「ぴんぽ~~ん。」
「ふ~~ん。ほぅ、ほぅ、ほぅ…。」
納得している龍平。けれども、すぐに、
「えっ…???先生じゃなくって、3年の男子…???」
そんな龍平の声に可燐、
「ふん。3年の男子。」
「おぃ。おぃ、おぃ、おぃ。おぃ。」
「何よ。」
「いや…。」
天井を見ながら龍平。
「…いや…。何って…???」
「だから…。何よ。」
静かに眠っている可南子、可羊子。
寝返りを打つ可羊子。
「ん~~~。ふん。ふふふふ。」
数日後の午後6時過ぎ。
鈴鹿、
「あっ、ここ、ここ。アナザーワールド。」
フライヤーを見ながら。
佐智子、
「地下なんだね~~。」
周囲をキョロキョロと見ながら可羊子、
「うんうん。人通り、多い、この辺。」
可羊子たちの後ろを回りながら、その地下に向かう女子大学生風…。
レミ、
「あっ。降りてった。大学生…???」
小さな声で佐智子に。
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庄司紗千 海をこえて
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。