明るく振る舞う流歌。 | THMIS mama “お洒落の小部屋”

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好きになれない。  vol.104.

ドキドキ そして、巽、
「んじゃ…。ここからは俺…。」

翠、
「うん。私も…。私…こっちみたい…。」

…と、ふたりともに、離れると…。

翠から先に、
「あ~~。」

そして巽も、
「あっお~~、みど…。」

お互いがお互いに振り返って、そして、お互いがお互いに、スマホを前に…。

翠、
「ユウマ、忘れて…。」

巽、
「あのさ。みどの…???」

そしてふたりともに、
「えっ…???」

巽、
「かかかか。」

翠、
「ぷっ。」

そして、巽、
「うん、ありがと。」

翠、
「サンキュ~~。」




数分後、事務の女性から総合デパート、ロンドの企画開発室主任の草島流歌(くさじまるか)に案内される翠。

「初めまして~~。お待ちしておりました~~。企画開発室主任を任されている、草島流歌と申します。」
丁寧に翠に挨拶する流歌。翠より早く名刺を差し出して。

翠、
「こちらこそ、初めまして~。株式会社アンジェリーナ、ジェシカの逢坂翠と申します。よろしくお願いします。」
流歌に応えるように名刺を差し出す翠。

流歌、
「ありがとうございます。嬉しいです。や~~っと、お目に掛かれました~~。今後とも、よろしくお願いします~~。」
明るく振る舞う流歌。
「ん~~。想像してた通り、素敵な方~~。」

翠、流歌のあまりにも気さくで明るい雰囲気に、
「あ…は…。…ありがとうございます。こちらこそ、今後もよろしくお願いします。」

そして周囲の社員にも翠を紹介する流歌。
20数名いる社員が、一斉に椅子から立ち上がり、翠に一礼をして、
あちらこちらから、「いらっしゃいませ~~。」の声。

その瞬間、翠、頭の中で、
「…わお。凄い。さすがだわ~~。」
そしてすぐさま翠の頭の中に甦る数分前。
ロンドに入ったときから、会う人会う人、とにかく丁寧に挨拶をして…。
しかも、途中で通ってきた部署の社員すら、机に向かっているにしても、
笑顔でお辞儀をするか、元気に、「いらっしゃいませ~。」の挨拶だったのだ。

そして企画開発室の社員たちから歓迎された瞬間に、

幾らか鼓動が高鳴ったと同時に、
ある種の感謝の気持ちが、目に表れて、

人には気づかれないようにも、僅かに目を潤ませた翠。
「…私たちなんて、まだまだだよ。これ見ちゃったら…。」

「逢坂さん。それじゃ、こちら。どうぞ。」
流歌、嬉しそうに翠に声をかけて右手を差し出す。
「室長に…ご案内します。」

翠、
「はい。ありがとうございます。」
そして社員たちにお辞儀をしながら歩き出す翠。

フロアの端の方にガラス張りの部屋がある。
その部屋に向かって歩く流歌と翠。…

ではあるが、そのガラス張りの部屋の中…。
机と椅子は見えるのだが…。

その瞬間、流歌、
「…???」
頭を傾げながら急ぎ足で、そして、ドアをコンコン。
「室長…失礼します。」
と、ドアを開けた瞬間。目の前に飛び込んできた光景に…、流歌、
「室…長~~。な~にをやってるんですか~~。」

流歌の後ろで翠、
「…???」

机の傍で、フロアに四つん這いになって、ティッシュペーパーで、カーペットを拭いている格好。
「あ~~。流歌。ははははは。ごめん、すまんすまん。コーヒー、ぶちまけちゃって…。かかかか。」

流歌、
「ま~~ったく、もう~~。」

翠、
「…???」








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