「はは。それに…、彼氏じゃな~いよ。」
流歌にニコっと翠。
そんな翠を見て流歌、笑顔で口を尖らせながら…、そして、
「ふふ。まっ。いっか~~。」
名古屋駅をあちらこちらと案内しながらの流歌。
「まっ、確かに、名古屋に来て、美味しいもの、いっぱいあるんだけど…。もしかしたら…、みども…あす…ま…君…???」
巽、
「はい。遊馬、巽って言います。」
「名古屋に来たら、これって、グルメ。」
翠、
「名古屋に来たら、これって…いう…グルメ…???」
駅を出てタクシーに。流歌、運転手に、
「……町本店に…。」
翠、
「これが…名古屋かぁ~~。はは、初めて来た。」
巽も、
「うんうん、俺も…。」
そして10数分後…。いきなり巽、
「うわっ。何あれ…???」
翠、
「えっ…???わっ!!!」
「ぶたが相撲の…回し…。」
流歌、
「うん。あそこ。」
窓側の巽、ビルのマークをサササッと、スマホで検索して、
「へぇ~~。みそカツか~~。」
その時、巽、
「おっと…。」
右耳に右手をかざす巽。
流歌、
「うん。名古屋に来たら、一度は食べてみるべし。ちょっとね、早い時間帯だけど…、予約してあるから…。」
翠、
「あっ、えっ…???さっすが~~。」
流歌、
「そうでもないと…。行列になっちゃうよ、ここ。物凄い人気なの…。」
「へぇ~~。」
一瞬、雅楽での行列を思い出して…、
「くく。」
巽、
「…ん…???どうしたの…???」
流歌も、
「ふ~~ん…???」
翠、
「いえね。ここ数日、ウチも、行列出来てんの。」
その声に巽、
「へぇ~~。」
流歌、
「ウチも、行列出来てんのって…みど…???」
そんな流歌に、
「ウチ…。って言うか、私の住んでいる部屋、焼き鳥屋の2階なんだ。つまりは、居候。かかかか。」
流歌、
「へぇ~~。はい。着きました~~。」
タクシーを降りて、店の中に。
流歌、
「居候って、みどの実家は…???」
「うん。私…実家、埼玉なんだ。大学卒業してからは、その焼き鳥屋の2階に転がりこんだの。そして今の会社の人が常連客で、私…スカウトされちゃった~~って。」
巽、そして流歌、
「へぇ~~~。そうだったんだ~~。」
その瞬間、流歌、思わず変顔で巽を見て、
「…って、あれ…???彼氏さん…???なんで…知らない…???」
その声に巽、
「へっ…???あ…、あ~~。いや…。」
翠、
「あっ。かかかか。」
笑いながら、
「だよね~~。ユウマには…、まだ、こういう話、全くしてなかった。」
流歌、ますますチンプンカンプンになり、
「はっ…???…どういう事…???」
そして、
「まっ、とりあえず、食べながらでも…。」
翠、巽、
「うん。」
「私は…定番の…みそカツにするけど…。」
翠、
「う~~ん。私も…しっかりと…、右習い。はい。」
巽、
「当然、こういうところに来れば、当然でしょう。堪能させて頂きます。」
流歌、
「はい。それでは…承りました~~。」
そして、10数分後、オーダーされたメニューが3人の前に。
一口、翠、目を真ん丸にして、口を尖らせて、顔を震わせながら、
両肘を曲げて、首を何度も頷く。
巽は巽で、
「いやいやいや。こりゃいいわ。」
そんな巽を見て翠、何度も首を縦に。そして、ようやく、
「おいっしぃ~~~。うんうんうん。」
流歌、
「かかかか。凄い、美味しい顔~~。」
翠、
「だって、だって、何なの…この美味しさ~~。すんごい。」
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庄司紗千 海をこえて
※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。