「こっからは、俺からの提案。…って~~か。頼みだ。」 | THMIS mama “お洒落の小部屋”

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好きになれない。  vol.104.

ドキドキ 和江の父親、榊平、既に介護を受けており、
その父親の面倒を看るために、福島に引っ越すという事だった。

「不動産屋には、話は付けてあるから…。買い手があれば…。」
雄浩。

雅樂、
「…で、いつ…???」

「うん。明後日には…。」
「おぃおぃ。やたらと急だな~~。」

「仕方ないのよ、母親…亡くなって…、私たちくらいしか…いないもん。子供いないの…。姉たちは…鹿児島と広島だし。子供もいるし…。」
紘子。

雅樂、
「まぁ…なぁ。」

雄浩、
「そういう事だから…、雅樂じぃ。まず、挨拶って…感じで…。」

「おぅよ。元気でな。」




雅樂の話を聞いて翠、
「…そうだったんだ~~。」

薫郎、
「道理で…、最近、全然店にも来なくって、おっかしぃなぁって、思ってたんだ。…それで…。」

翠、
「そっか~~。うんうん。確かに。外でも、ここ1ヶ月、顔…見てない、雄さんとも、紘子おばちゃんとも…。」

雅樂、新聞を折り曲げて、
「…んな訳で…。…まっ、俺も…おめぇらに、言わずにいて、申し訳なかった。謝る。」
ペコリと。
「あんなに可愛がってもらってよ。最後に顔…見せてあげたかったんだけどよ。なんせ、急な事で…。」

翠、薫郎、
「ん~~~。」

「…で、こっからは、俺からの提案。…って~~か。頼みだ。」

翠、薫郎、
「はっ…???」

「これも、おめぇらに、何も話もしねぇで、俺の独断で決めて、申し訳ねぇと思ってる。…けどよ。」

翠、薫郎、
「…ん…???」

「隣の家、俺が買い受けた。」

その瞬間、翠、薫郎、
「え―――――――――っ!!!」

「そこに、みど、おめぇと…その…遊馬って人…、住んでくれねぇか…。」

いきなりの話に翠、
「あっ。あ、ああああああ。」
すぐさま、右手を振って、
「いやいやいやいや。いやいや。そんな…。」
左手を畳の上に。その手で体を支えるように体を後ろに、
「いやいやいやいや。そんな…、そんな…。雅樂じぃ、幾らなんでも…、そりゃ…無理でしょ。」

雅樂、いきなり、
「なんで~~~???」

「いやいやいや。…なんでって…言われても…。いきなり…。」

雅樂、
「…んじゃ、みど、おめぇ…、これから…、その遊馬って人と…、どうする…つも…。」

そう言われて翠、
「い…いや…。どうする…つもりって…、言われて…も…。」
薫郎の顔を見て、
「ユッキは…。部屋は元々ユッキの部屋だから…。ゆずが…。…でぇ~~。私は…どっか…アパート…。」

その途端、雅樂、
「けっ!!!そらみろ。どっちみち、アパート探すしかねぇんだろうが~~。だったら、いいじゃねぇか~~。隣に住んでもよ~~。え~~。」

翠、
「雅樂じぃっ!!!」

雅樂、いきなり翠の大きな声に、
「なんでぇ。」

翠、膨れっ面をして、
「そんなに…雅樂じぃに…、甘えらんないよ。」

その翠の声に雅樂、いきなり舌打ちをして、
「チッ。」
そして、怒鳴るように、
「…ってやんでぃ~~。いいかみど。俺にはかかぁもいねぇ。当然、子供もいねぇ。そんな俺に、最初、薫郎と言うひとりの男の子、高校から面倒みてきたんだ。俺に初めての子供が出来たみてぇによ~~。」

薫郎、
「雅樂じぃ。」

「そんな男の子に、更にまた、ひとりの大学生がやってきた。今度は女の子でぃ。俺ゃ、嬉しくってよ~~。」
そして、ひと呼吸置いて、
「そんな子供たちに、俺ゃ、何にも、出来てねぇ。…だからよ。…だからよ。少しぐれぇ~~。おめぇらに、何か…してやりたくてぇ~よ~~。」






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庄司紗千 海をこえて

※ご本人の承認の下、紹介させて戴いております。