首から下げた折り紙が揺れる。
少し高いところから。
双眼鏡で今日も遠くの遠くを観ていた。
人混みの中倒れ込む君を。
うずくまって頭を抱える君を。
ああ。私は迎えに行こう。
魔法の言葉を知らない。
ふいに声をかけると傷口は開く。
鋭い刃が言葉の中にあるんだと思うんだ。
書斎の中で古びた本、君を治す言葉を見付けてもう一度。
折り紙とジャケットを羽織って君に声をかける。
君の傷口は大きく開いて深い毒が顔を出す。
ああ。私が全部それを飲み込むから。
君と手を繋いだ。
霧は晴れて私と君は
素晴らしい景色の中で立ち尽くしていた。
私の傷は消えなくてもいいんだよ。
そんなこと、今更もう。
君が笑えば必要ないんだって。