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iPhone 11 Proの背面ガラスの製造方法に思いを馳せる

発表されましたね、新しいiPhone。

特徴的な3眼カメラに、世間の話題を独占しているiPhone 11 Pro。あのカメラ部は衝撃ですね、僕もご多分に漏れずすごく気になってしまいました…

iPhone 11 pro

カメラ部のガラスの作り!

これ、一体で作ってますよね?製造的にもデザイン的にも、非常に引き付けられるものがあります。境界がどうなってるのか、どんな製法をしているのか、すごく興味深いです。皆さんは、どう作ってるか分かりますか?

一般的なガラスの製造工程について

スマホで使われている強化ガラスは、ざっくり下記のような工程で製造されます。

  • 大きなガラスを小片に切断
  • 穴やエッジをCNC加工
  • エッジや面を研磨
  • 化学強化
  • 塗装やら表面処理(耐指紋コート)やら

曲面がある、いわゆる3Dガラスは研磨前に曲げ工程が入ったかと思います。いや、後だったかな。とにかく、化学強化の前に加工します。フロストは経験無いですが、強化後だとサンドブラストも化学処理も入らないと思うので、化学強化の前でしょう。

ガラスに凸部をどう作るか?

エッジがだれていたり、曲がってたりというガラスはよく見られます。しかし、部分だけ凸らせる、板金加工でいう絞ったような形状をしているガラスは、僕は初見です。いったい、どう作っているのか気になります。

可能性としては、下記の2つが考えられます。

  • 曲げる要領で、しぼっている(成形している)
  • 頑張って切削している

で、公式の情報をよくよく見てみると、Youtubeの公式動画に解がありました。

Introducing iPhone 11 Pro — Apple - YouTube

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なるほど、切削…。

大変そうだなと思うこと

  • 凸部以外全面を削るので時間かかりそう(=お金かかりそう)
  • 板厚が一定じゃないので、化学強化での反りが大きそう(=ガラスと本体間の防水大変そう)
  • 切削痕が残って研磨やフロスト処理の歩留まりが落ちそう
  • 凸部の4辺の磨きダレが均一にならないものが発生しそう
  • 単純に工程多くてお金かかりそう
  • 単純に工程多くて歩留まり悪そう

まぁでも、大抵のことはお金で解決できそうです。そしてAppleは、それができる会社ですね。

どういうデザイン意図なんだろう

しかし、なんでこんなデザインにしたのでしょうか。

凸らせているところを一体で作るなら、できるだけ別体感を感じさせたくない、と自分なら考えます。その場合、表面処理は同一のものにするでしょう。

しかし、iPhone 11 Proではそれぞれの面が別の表面処理、特にカメラ部は目立つよう研磨されています。別体感がバリバリに出ています。別体に見せるなら、あえてガラスを削ってまで一体にした意図とは?

すごく気になります。どこかが、デザイナーにインタビューでもしてくれるとスッキリするのですが。

まとめ

iPhone 11 Proのカメラ部のガラスがどうなってるのか、思いを馳せました。

みなが話題にするだけあって、他のメーカーと違いを見せつける特徴的なデザインしてますよね。話題性を作るユニークなデザインを、ハードルが高そうな製造法を経て実現する様は、なんだかんだで凄いですね。

スペックについては、サイズの割に重いとか、気になる所もありますが、色んな人が詳細掘り下げてくれると思うので、この場で言及するのはやめておきます。

なんにせよ、新製品発表はいいですね。ワクワクします。

ガラスの研磨面とフロスト面の境界がどうなってるかとか、凸部の裾のの出来上がりとか、レンダリング画像では分からないことも多々ありますので、早く実機を見て触れたいものです。

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