命の恩人、スイスのX先生が3月末でついに退職。
ギリギリ、最終日の前日にアポがとれた!
謎の国から5年目検診にスイスへ。
通い慣れた病院。今回はドキドキした。
X先生: まだフランス語は忘れてない?
診療室はガランとしていた。
床に箱がいくつかあるだけ。
机にはファイルが2-3個あるだけ。
先生は分厚い私のファイルを広げた。
蘭翠: 本当に最後の数日なのですね。
X: もう年齢だからね。
:がん専門医ではなくとも、お医者さんとして続けないのですか?
X: ウーン、半年前に辞めると決めたんだ。
: 残念です。
X: この年齢になると、残りの人生は長くはないからね。医者としての腕も、これから自然に落ちて行くし。
:
X: 6年になるね。
そうか、術後5年目検診だと思い込んでいたけれど、先に抗がん剤をしたから合計6年だ。
X: じゃあ、診ましょう。
去年と同じく、脇をぐりぐり、腕をぶらぶら、首のあたり、平らな右胸とまだある左の乳房を触診。
X: 正常。
:
服を着てもう一度机で話しをする。英語。
X: The book is closed.
:
X: がん治療には区切りがある。あなたの場合は6年で終了。
: 終了?The book is closed?
X: 過去にまつわる検診は終了。これからは、将来のために検診を続けてください。
:
X: そう、これからの長い人生のため。
: 長い?
うれしいような悲しいような。
なんとも言えない。
心は穏やかだけど、何かがこみ上げる感じ。
<続く>