エゾ中村のブログ

「藤圭子」から「現代医学の功罪」まで、思いの丈を綴ります。 ・・・ From 北海道 ・・・

アイヌ犬 VS 北海道犬

2019-12-09 10:50:20 | “アイヌ文化”関連

◎ 檻のヒグマに、歯を剥きだして立ち向かうアイヌ犬。

(天然記念物北海道犬保存会・撮影)

アイヌ犬”は、縄文時代からアイヌ民族が飼育して来た優秀な番犬です。 勿論、秋田犬や柴犬と同種の日本犬で 唯一品種改良されていない純血種と言われています。 1937年、日本政府が“北海道犬”と改名したそうですが、本家がアイヌ犬で分家が北海道犬と言うのもでもありません。(名称を変えても、犬種に違いはないのです) 偶々、携帯電話会社のCMに「お父さん」として登場し有名になったので、北海道犬の知名度が上がったと思います。 しかし、CMに出て来る演技が達者な北海道犬のイメージは、私が知る限り全く違います。 ヒグマも恐れず勇敢に立ち向かう気性の荒い犬で、ペットとして簡単に飼える可愛いだけの犬種ではありません。

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親戚の家に、番犬としてハンティングのお供として2頭飼っていましたが、飼い主以外に尻尾を振る事はありませんし、迂闊に近寄れば歯を剥きだして威嚇するし、まるで野犬の様な性格です。 飼い主に頼まれ何回か餌を遣っても、懐くどころか吠え方が増すばかりです。 番犬としては、最高の犬かも知れません。 ただし、管理を怠り逃がした場合は人を噛む恐れがあります。(決して、都会向きの犬ではありません!)

北海道では、アイヌ犬が沢山飼われています。 私は、その中の1頭のアイヌ犬に助けられた?事があります。 20年以上前、友達に誘われて大雪山国立公園のほぼ中央にある“トムラウシ山”に登る計画を立てました。 5月末だったと記憶していますが、大雪山では雪が残る冬山に近い危険な時期でした。 装備を整え、朝8時ころジープ(三菱パジェロ)で出発しました。 昼の1時ころ、大雪山のすそ野の新得町に付き昼食を取りました。 満腹になり食糧を現地調達する事を、同行者共々一瞬忘れました。 トムラウシ山に登る途中に、商店があると信じて走りましたが、食料品を売る店は1軒もありませんでした。 新得町に戻ろうとしたところ、1軒の古びた民宿を発見し一晩泊まり、明朝 山に登る事にしました。(元々車中泊の予定) 民宿の入口から離れた所に、2頭の白い犬がいたのは分かりましたが、犬種までは確認できませんでした。 薄暗くなる6時ころ夕食が始まり、宿の主人が妙な話を始めました。 「最近、ヒグマの気配を感じる・・・」「夜になると、番犬が異様な吠え方をする・・・」、と言うのです。 食事を終えくつろいでいた8時ころ、犬の声が激しくなりました。 すると主人は、「用心の為にアイヌ犬を離して来る」と、外へ出て行きました。 それ以降、犬の声は聞こえなくなり就寝しました。 翌朝 民宿中が騒がしいので、まだ薄暗い5時ころに目が覚めました。 昨夜 主人が離したアイヌ犬の1頭が、血まみれで帰って来たのです。 おそらく、ヒグマと格闘し痛手を負ったものと思います。 当然の如く民宿の家族も、朝食の準備どころではありません。 宿の主人に諭され、トムラウシ山の登山は諦めました。 既に 私も同行者も、血だらけのアイヌ犬を見た時点で、ヒグマの恐怖が頭から離れません。 アイヌ犬の安否も分からないまま、早々に民宿を立ちました。 あの時、アイヌ犬がヒグマの存在を教えてくれなかったらと思うと、身の毛が弥立ちました。

トムラウシ山とは、2009年7月16日 ハイキング同様の軽装で登山し、ツアーガイドを含め9名が低体温症で死亡した危険な山です。 勿論、ヒグマにも注意が必要です! (冬眠から目覚め空腹のクマは人を襲う事もある)

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最近、お父さん犬の“カイ君”が CM に出ていません。 犬は、人間の7倍のスピードで年齢を刻むと言われますから、“カイ君”は肉体的に衰えたと思います。 現在は、二代目の“海斗君”が活躍しています。 思うに “海斗君”は、アイヌ犬の血が お父さんより多少濃い筈です? いい顔をしていますが、CM 製作では調教・躾が“カイ君”より難しい!


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