エゾ中村のブログ

「藤圭子」から「現代医学の功罪」まで、思いの丈を綴ります。 ・・・ From 北海道 ・・・

アイヌ文化の美学

2020-07-06 12:47:00 | “アイヌ文化”関連

2020年4月24日にオープン予定だった“ウポポイ”(国立アイヌ民族博物館)が、“新型コロナウイルス”の影響で何度か延期されました。 いよいよ、7月12日に開館されます。 日本における“異文化”に興味がある方は、是非とも“ウポポイ”にお越しください。   


北海道には、独特なデザイン(文様)があります。 勿論、先住民族の“アイヌ文様”です。 縄文時代以前から、広大な蝦夷地に 数十の部族が分散し、縄張りを衣装の絵柄によって判別していたのですから、日本式の“家紋”に似ています。 「四葉葵」や「剣片喰」などの家紋と違うのは、写実的でも幾何学的でもない帯状の直線と曲線を、動物や植物を抽象的に表現した奥深いデザインだからです。 世界中の何処にでも有りそうで、無いのですから珍しいと思います。 着物や帯・半纏やハチマキ・・・、地味な中に美学を感じます。 “アイヌ”の語源は“気高い人間”ですから、着物や装備品の文様で強さを誇示している様です。 アイヌ文様は、現代絵画の技法・フラクタル(不規則で複雑な図形)に共通する 前衛的な斬新さがあります。 また デッサンの定義が、自然を強調しているので 親近感さえ漂います!      

同じ絵画の技法で、「バースの法則」があります。 「視界の中で平行になる線は、消失する点に収束する」と言うものです。 写実的とか幾何学的なデザインは、カラフルゆえに人の目を惑わす難点があります。 消失点(バニシング・ポイント)が二次元なら、フラクタルは一次元ですので、目に優しく安心感があります。 それに特化した“アイヌ文様”は、デザインとして優れているのは確かです! 

アイヌ民族は、食に対しても“美学”がある様です。 “ヒグマ”などの害獣は駆除しても、決して野生動物を狩猟し“糧”にしていた訳ではありません。 寧ろ、自然と共存共栄していたと言えます。 猟(漁)の中心は“魚介類”であり、動物でなかった。 それは、北前船による交易で知る事が出来ます。 “コンブ”や“シャケ”は、600年以上前から“関西圏”に送っていた様です。 その中に、大量の“ニシン”(鰊)があった。 乾燥したニシンを甘辛く煮て“蕎麦”に入れて食べる習慣は、京都や大阪の文化として根付いています。 “昆布出汁”も、関西が有名です。 アイヌ民族の食は、何と言っても“シャケ料理”です。 “石狩鍋”は、アイヌ民族の食の原点だと思います!   


2020年、政府は、道南・白老町のポロト湖畔に“ウポポイ”(国立アイヌ民族博物館:民族共生象徴空間)を建設し、7月12日にオープン予定です。 アイヌ民族の悲願が、報われたと思います。 しかし それが、150年に渡るアイヌ人に対する非礼の謝罪なのでしょうか? 土人と罵り、長年 少数民族を虐げて来た労いが、博物館の設立で済むのでしょうか? 国連は、「先住民が収奪された土地や資源の原状回復と補償を受ける権利」を、決議しています。 
しかし、北海道(蝦夷)も沖縄県(琉球)も、日本に地権があると 政治家は高を括っています。 それを主張するなら、先住民の権利を優先する冪です! 国際社会の流れは、日本政府の勝手な言い分など認めません! 「返せ北方四島」は、一体 誰に返せと言うのでしようか? 敗戦後 “サンフランシスコ条約”に調印の際、政府は日本の領土と認識していなかったのです。 政治家や官僚は、日本の近代史を改めて検証し「確たる領土の証」を世界にアピールする必要があります。 北方四島は「数百年前からアイヌ民族と国交があった日本の領土」そんな的外れな主張は、世界が認めません!


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