アトリエ 籠れ美

絵画制作、展覧会、美術書、趣味、その他日常の出来事について
平成27(2015)年5月4日より

本当に映画は芸術と言えるのか。

2019-09-12 05:06:15 | 画材、技法、芸術論
 確かに写真は芸術である。未だに白黒写真で作品が発表され続けている。ところが映画はどうだろう。もはや白黒映画は絶滅してしまった。

 本当に映画が芸術であると言うなら、監督が白黒で撮りたいというなら、その選択権があるべきである。しかし現在、そんな監督はいないし、それを許可する映画会社も存在しないだろう。

 思うような色が出せないからという理由でカラーで撮ることを躊躇った黒澤明も、結局はカラーで撮るわけだが、以降はずっとカラーばかりで、白黒で撮ることはなかった。

 もし本当に映画が芸術だと言うなら、白黒の新作が撮られてもいいと思うんですが、どうでしょうか。

 付)もちろん映画製作には多額の資金が必要で、個人で白黒映画を作りたいといっても、独りで始められる写真と違い、そうはいきませんが、それにしても白黒というものに対する意識は、写真家と映画監督では、かなりの開きがあると思うんですが。

 注)映画会社に言わせると、白黒じゃ儲からないという話になるんですが、それは見る側、つまり観客を馬鹿にしているというのでなく、カラーが登場してから、白黒の意義を見出せなくなったからで、これは要するに、今までは白黒でしか撮れなかったから、白黒で撮っていただけで、カラーで撮れるならカラーで撮る、という身も蓋もない話です。

 蛇足)映画で、白黒という色味だけの話で言うなら、白黒映画の究極は「どん底」、カラーの色味だけで言うなら「夢」、いずれも黒澤明ですが、になると思う。どちらも凄まじい色味です。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿