激震と言えば激震なのだろう。
ブシロードが女子プロレスの「スターダム」を買収し、傘下に加えたとの発表が本日行われた。
これを以て、同じブシロード傘下の新日本プロレスと結び付ける声も一部で出ているようだが、それは時期尚早というか、的外れというか。
ただ、少なくともここ数日、ごく一部で騒がれていた「ジュリア」なるレスラー(すいません、私は存じ上げないもので)の「電撃移籍問題」の答え合わせが出来たらしい。
この10年、女子プロレスはOZかT-1でしか観たことがないので、この問題に触れる気はなかったのだが、ちょっとだけ長くプロレスを観ていた人間からすると、1980年代半ばのWWF(現・WWE)の全米侵攻を思い出してしまった。
83年から87年くらいまでの4〜5年間で、全米のプロレス界は全く違うものに変わってしまった。今回の件は、女子プロレス界をそれくらい変えてしまうような気がしてならない。
昨日までの女子プロレス界がどうだったかは、詳しくは知らない。だが、それなりの「秩序」があって、均衡は守られていたように思う。
しかし、今回のブシロードとスターダムの件は、あの時のWWFのように、それまでの「業界常識」とは違う流れでの動きなのは間違いない。
もちろん、何が正義で、何が悪かという話ではなくて、それがビジネスであり、時代の流れだということなのだろう。
ただ、一つだけ言っておくと、この流れに乗る(乗りたい)選手はたくさんいるものと思われる中、ジュリアがああいう動き方をしたせいで、少なくとも女子プロレス界の中では「否」のイメージが付いて回ることは避け難いことになってしまった。
ただでさえ「鎖国」政策を採るスターダムは他団体からの印象が良くない。
それが代表たるロッシー小川社長のせいなのかどうかはともかく、ジュリアとカサンドラ宮城(現・アンドラス)の件で、数少ない「中立的友好団体」の信頼をも失ってしまったような気がする。
そうなると、ブシロード傘下の新生スターダムに参戦するのは、かなり高いハードルを乗り越えなければいけなくなる。
プロならば、ある意味、当然とも言えるが、男子プロレス以上に“ベテラン” “大御所” が蔓延る女子プロレス界で、果たしてそういった、ある意味の「不義理」を通せるだけの選手がいるだろうか。
新日本プロレスとの関係を考えると、AEW系の選手も当然、距離を置くことだろう。
客観的に見て、魅力的な今回の話だが、第二のSWSのごとく、業界内の論理で潰されないか、とても危惧せざるを得ない。
あっ、個人的には面白くなりそうだし、歓迎できる動きと見てますよ。
極論を言うと、全ての女子プロレスラーを引き入れて欲しい。WWEのように。
それがいいことか、どうかは、歴史が証明してくれるでしょう。