この日は、ミシュラン3つ星「Geranium」にてディナー。コペンハーゲンの有名レストランといえば、何といっても「Noma」が有名だが、実はノーマは3つ星ではなく(2つ星)、このGeraniumがコペンハーゲン唯一のミシュラン3つ星店。「The World's 50 Best Restaurants」でも第5位にランクイン。

場所は、Østerbro地区にあるサッカースタジアムParken Stadiumにある。サッカースタジアムのどこに高級レストランがあるんだろう?と、入り口はやや見つけにくかったが、スタジアムの周りをぐるっと一周したら、このような入り口を発見することができた。

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エレベーターを登って8階にあるが、このような良い景色。ちょうど紅葉が美しい季節。

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オープンキッチンになっていて、料理を作っている様子を見ることができる。北欧らしく、モダンでスタイリッシュなキッチン。

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まずは、アペリティフにグラスシャンパーニュをいただくことに。選択肢は3つで、Eric Tailletという造り手のシャンパーニュ、Nyetimberのブラン・ド・ブラン、クリュッグのグランキュヴェ。Eric Tailletのシャンパーニュをいただいた :

泡 : Eric Taillet, Bansionensi, NV (Champagne, France)

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ピノ・ムニエから造られているだけあって、色はやや濃い目。きめ細かい泡立ち。硬派でキレのある味わい。ミネラル感が印象的なシャンパーニュ。カラメルのようなコク、旨味。MyPoint=90pt

全16皿のコースのうちの、最初の一皿 :「Jerusalem Artichoke Leaves & Pickled Walnut Leaves」。菊芋を葉っぱの形に加工したもので、手でとって胡桃のソースにつけて食べる。菊芋はとても薄く、ちょっと力を入れ過ぎたら壊れてしまいそうなぐらい繊細。胡桃のソースは濃厚な旨味がありつつ、爽やかな酸味もある。最初から驚きの一品。

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前菜2皿目は、「Razor Clams」(マテ貝)。殻ごと食べられるという。おそらくマテ貝の形状に加工してあるだけで、殻は本物の貝殻ではないと思われる。これまた薄い殻でパリパリの食感が心地良い。中には貝の身が入っていたが、これがマテ貝の身なのかもしれない。レモングラス?か何かのハーブで香り付けしてあって、爽やかな味付け。

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前菜3皿目 :「Grilled Lobster & Milk with Juice from Fermented Carrots & Sea Buckthorn」。上に人参?の薄いゼリーの層で覆われている下には、ロブスターの炙りが隠れている。炭火で焼かれているのか、焼き鳥のような香ばしさ!溢れんばかりの旨味に、Sea Buckthornの酸味がアクセントになっている。これは感動の一品。個人的には、この日ベストの一皿。

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前菜の最後は、「Mushroom Juice, Fermented Celeriac & Walnut Oil」。仕上げに白トリュフのスライスをかけてもらう。スプーンが見当たらないと思ったが、味噌汁を飲むように、ボウルに口をつけて飲むとのこと。これぞキノコの旨味を凝縮させたようなスープだが、クリームを使っていないので、じんわり優しくほっとする味。発酵させた根セロリも使っているとのことだが、セロリっぽい味は全く感じなかった。

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ワインのセレクションは、スペクテイターで最高評価の「Grand Award」に評価されるほど、高い評価を受けている。ワインペアリングも全部で4つのコースがあって、どのワインが出るかウェブサイトで確認できるが、下から2番目のコースでボランジェのR.D.、上から2番目のコースでギガルのラ・トゥルク、シャトー・ディケムが出るという凄まじいラインアップ。とはいえお値段もまあやはりそれなりなので、コストパフォーマンス的によりお得感のあったボトルワインでいくことにした。あらかじめオンラインのワインリストで目星をつけておいたこれを :

白 : Dry River, Riesling, 2011 (Martinborough, New Zealand)

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以前2009年ヴィンテージを飲んで素晴らしかったリースリング。

ワイン飲んだくれ日記
Dry River, Craighall Riesling, 2009
ニュージーランドワインで優れたワインはいくつもあるが、「カルトワイン」といえばこのドライ・リバーであろう。生産量が少なく、購入はメーリングリストでのみという入手困難なワイン。ピノはNZトップの一つとの評価を受けてるし、造られるワインはどれも評価が高いが、

素晴らしい芳香。いわゆる普通のリースリングのような、シンプルなリンゴのような香りでなく、複雑味のある香りで非常に香り高い。香りは素晴らしい反面、味わいは果実味の線が若干弱まっていて、ややピークを過ぎつつあるという印象。とはいえ、カラメルのような風味が味わい深い。後半の数杯は、冷え過ぎてしまっていたのだけが残念だったが。MyPoint=91pt

「Scallop "Red Stones" & Horseradish」。ビーツの膜をまとった帆立。ねっとりとした食感で、豊潤な旨味。ホースラディッシュのソースにつけていただくが、クリーミーな味わいのなかに、ホースラディッシュの爽やかな風味が引き立っており美味。

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「Yellow Beets, Sol, Dried Mussels & Aromatic Seeds」。ミントのような爽やかな風味。ムール貝の出汁がふんだんにでている。

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「King Crab, Dried Vegetables, Pickled Elderflower & Rygeost」。蟹を、乾燥させた野菜(大根?)で巻いて、タコスのようにして食べるという趣向の一品。蟹がレアで新鮮で、クリーミーなスモークチーズとマッチして美味。ただ、下に海苔状のものがあって、手が汚れるのが難点。

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「Creamy King Crab & Algae with Tomato & Ham Water」。これまた、食べるのがためらわれてしまうような美しい一品。こちらは、キングクラブをふんわり柔らかくムース状にして、スープ仕立てにした一品。蟹のムースは豆腐のような食感で、リッチでクリーミーかつ濃厚な旨味。何というか、辛くないチゲ鍋という感じがして、何となく親しみを覚える一品。

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「Crispy Grains, Bread with Old Grains & Bread with Seeds」。ここにきてようやくパンが出てきた。レストランでパンが出てきても、店によって美味しさの違いはあっても、どこもプレゼンテーションには大差無いが、ここは何とも可愛らしい!こんなやり方もあるんだなあと。木の形をしたグリッシーニ?は、穀物の香ばしさ、そしてチーズの風味が相まって、これだけでワインのつまみとして最高。プチパンも、ふわふわで一口サイズというのも結構食べやすい。

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「"Marbled" Hake, Caviar & Buttermilk」。Hakeというのはタラの一種の魚のようだ。バターミルクは、その味がしっかりと感じられつつ、 キャビアの塩気/旨味と完璧にマッチしている。バターミルクのこんな使い方もあるんだなあと感心。

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「"Plant Kingdom" Ramsons & Smoked Vesterhavs Cheese」。スモークチーズのスープに、新鮮な野菜が浮かべてある。スープはやや塩気が強めだが、スモークチーズの風味が何だかクセになる。

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肉料理に合わせて、グラスで赤もお願いした。「どんなタイプがお好みですか?」と聞かれたので、「肉料理に合いそうなものを」とリクエストしたら、ピノがおすすめとのことなのでそれを :

赤 : Maison Harbour, Gevrey Chambertin La Justice, 2017 (Bourgogne, France)

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色はやや濃い。イチゴ、薔薇の香り。クリーンな造りのピノで、そこそこ渋みもあるが、フェミニンでふくよかな果実味。初めて聞く造り手だったが、美味しい。MyPoint=89pt

もう一つ、「ニュージーランドが好きそうとお見受けしたので、よろしかったらこちらもテイスティングをどうぞ」と勧められるまま、テイスティングを :

赤 : Seresin, Raupo Creek Pinot Noir, 2012 (Marlborough, New Zealand)

もう香りを嗅いだだけで、美味しいのが分かる。色の濃さ中程度。フローラルで華やかな香り。果実味主体。ふくよかで、柔らかみのある広がりのある果実味。渋みしっかりで、軽快な酸味。MyPoint=95pt

あまりに美味しかったのでこちらもグラスでお願いすると、通常グラスで出していないのがたまたま開いていたので、サービスしますとのこと。いやあ、素晴らしい店ですな(^-^)セレシンはソーヴィニョン・ブランの評価が高いが、ピノはノーマークだった。今後ピノもチェックしなくては。

「Grilled Quail & Flavours of Autumn」。このウズラも、炭火の香ばしさで絶妙に火が入れられており、とてもジューシーな味わい。ピノとの相性も抜群。

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デザート1皿目 :「A Bite of Beetroot, Blackcurrant, Yoghurt & Tagetes」。カリッとした食感に、酸味が爽やか。

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デザート2皿目 :「"The Forest" Wood Sorrel & Woodruff」。抹茶?のような味わいに、酸味、そして杏仁のようなクリーミーな味わいが、渾然一体となっている。

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デザート3皿目 :「Øllebrød, Milk, Geranium & Autumn Berries」。上に乗っているカリカリしたものの食感が楽しい。

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デザート4皿目 :「Caramel with Roasted Grains & Frozen Chamomille Tea」。クリーミーなキャラメルに、酸味の効いたカモミールティーを凍らせて粉末状にしたものを添えてある。

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「The End」。何ともインスタ映えする一品。見た目からは味が想像できないが、実はフワッと柔らかくムース状になっている。キャラメル風味。

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お茶菓子でさえもこんなに美しい

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いやー、ここは素晴らしかった。最初から最後まで、どの料理も驚きの連続。自分がこれまで行ったレストランの中ではナンバーワン。

ワインのセレクションもさすがだし、店内の雰囲気/サービスともに、洗練されていながらも、東京の高級フレンチのように、緊張して食べなくちゃいけない雰囲気でもなく、心地良い空間を演出している。

一番の問題は、やはり価格であろうか。やはり決して安くはないし、ただ、これだけ手間隙かかっていると、高くなるのも納得できるし、払った分の感動は十分与えてくれたと思える。

料理 : 5.0

ワイン : 4.0

雰囲気 : 5.0

サービス : 4.5

コストパフォーマンス : 3.0

また生きたい度 : 5.0