『一帯一路からデジタル覇権へ舵切った中国の野望 世界中の独裁政権が渇望するデジタル監視技術で世界制覇狙う』(10/17JBプレス 渡部悦和)について

10/17希望之声<民主党弹劾正酣 共和党9月筹款再创有史以来最高记录=民主党が弾劾でまさにたけなわの時、共和党は9月の資金集めが史上最高の記録を作った>民主党がトランプ大統領を積極的に弾劾しているときに、共和党全国委員会(RNC)は10/17(木)、「9月は記録的な寄付2,730万ドルを集め、現在5920万ドルの現金がある」と発表した。 RNCは、「これに比べ先月までで民主党全国委員会(DNC)は730万ドルの負債がある」と述べた。

RNCは9月にDNCの2倍の寄付を集め、共和党・民主党とも9月は有史以来の単月最高記録となった。

数日前、RNCとトランプの再選チームは、第3四半期に合計1億2,570万ドルの寄付を受けたと発表した。

10月上旬、RNCは、下院の民主党議員を対象に、トランプ大統領に対する正式な弾劾調査が「混乱」を引き起こすと宣言して、全国で“Stop the Madness”の反弾劾運動を開始した。

“Stop the Madness”運動が始まって、共和党は脆弱な民主党下院議員に圧力をかけるために230万ドル以上を費やした。 このうち、200万ドルが全国のテレビおよびデジタル広告に費やされた。 さらに、今週は、YouTube、Hulu、およびFacebook等マルチメディアに35万ドルを使うと発表した。

これらのマルチメディア広告は、主に30人以上の民主党下院議員の選挙区を対象としており、テキストメッセージを送信したり、電話をかけて、有権者に議会議員に電話して“Stop the Madness”を要求するよう督促している。 共和党はまたFacebookでの請願を続け、有権者が弾劾に反対し、“立ち上がる”よう署名するのを促している。

米国民も民主党やデイープステイトに騙されなくなってきたのでは。翻って日本ではどうか?左翼周辺が政治と宗教はタブーとか言って国民に政治を考えさせず、メデイアの言うことだけ信じ込ませてきました。情報調達多様化ができない人間は騙され放しになるか、それを心地よいと思っているかどちらかでしょう

https://www.soundofhope.org/gb/2019/10/17/n3263724.html

10/17看中国<明居正:10个前共产国家迅速民主化的12个惊人事实(图/视频)=明居正:かつての共産主義国10か国の急速な民主化に関する12の驚くべき事実(図/ビデオ)>台湾大学政治学部の名誉教授であり、中国の古参研究者である明居正は、10の旧共産主義国の急速な民主化を研究し、12の驚くべき事実を発見した。

20年以上前、ハーバード大学の有名な政治学の教授であるサミュエルP.ハンティントンは、著書「第三の波―20世紀後半の民主化」の中で、1974年から1992年までに、世界200強の国の内、30か国が民主化した。 ハンティントンは、これらの30か国を民主化された国の第3波と呼び、スペイン、ポルトガル、ラテンアメリカの一部の国、韓国、台湾などと、10の共産主義体制も含めている。 30か国はわずか18年で民主化を達成した。 ハンティングトンの2つの重要な観点は次のとおり。

  • 民主化するためには幅広い中流階級を持つ必要はない。これは古典的な民主化理論に挑戦する。 これら30か国は、必ずしも幅広い中流階級があったわけではなく、中流階級が幅広くないことが民主化の主な原動力ではない。 (2)民主化は飛躍的な発展を遂げる可能性が高い。 古典的な民主化理論では、農業社会から工業社会に至るまで、有力な中産階級が出現し、その後民主化すると言われているが、このプロセスには約100年かかる。 しかし、ハンティントンの韓国と台湾の観察は、民主化を完了するのに30〜40年しかかからなかったため、民主化は早く前進する可能性があると言える。

明居正教授は、30の民主化された国の内、10の共産党政権を選んで調査した。:ポーランド、ハンガリー、東ドイツ、チェコ共和国、ブルガリア、ルーマニア、アルバニア、ユーゴスラビア、ソビエト連邦およびモンゴル。 彼は、1989年から1991年まで、3年以内にこれらの共産主義体制が崩壊し、民主化したことに気づいた。

1.中産階級は必要なし

2.体制転換前に反対党はなし

3.10か国の民主化期間は平均で1年強である

4、軍は弾圧からクーデターに

5.党員の退党ブームは、共産国家の崩壊の前兆である

6.共産党がなくとも社会は乱れない

7.共産党がなければ、自由に結党できる

8.共産党がなければ、民主的に選出される議会が出てくる

9.共産党がなければ、真の私有財産がある

10.共産党がなければ、真の市場化がある

11.共産党がなければ、本当の社会的多様性がある

12.変革の正義追及→共産党員の処刑

中共が転覆するには軍が蜂起or民衆の味方に付くことが必要ということです。

https://www.secretchina.com/news/gb/2019/10/17/910696.html

10/17阿波羅新聞網<不见习近平 川普不签协议 急不可耐 央行破例大放水 公司盈利恶化 北京又变脸?=習近平と会わない トランプは協議書に署名しない 急いでいて耐えることもできない 中央銀行は前例を破り大放水 会社の収益が悪化 北京はまた態度を変える?>ブルームバーグは、「トランプが11月のAPECサミットで習近平と会談する前に、両国は貿易協定に署名しないかもしれないと言った」と報道した。 同時に、米中貿易協定には別の変数が追加され、中共は、500億ドルの米国農産物を購入する前に、米国が関税を取り消しすることを望んでいる。 中国経済学者の巩勝利は、「関税引き上げの有効性を見た米国が中国の関税を取り消しすることは非常に難しい」と述べた。

中国の景気後退はますます明白になり、中国人民銀行は水曜日に2000億元の市場放出を突然発表した。 アポロ評論員の林禾は、「中国経済はすでにスタグフレーションのパターンに陥り、中央銀行の市場放出では問題を解決することはできず、インフレを押し上げ続け、深刻に縮んだ人々の資産をさらに奪うことができるだけである」と分析した。

最近、中国の株式市場は緩和政策の支援を受けてある程度上昇したが、景気後退により、ブルームバーグは中国の上場企業の収益性が低下し、その割合は依然として高いと報道した。

数字のごまかしがいつ明らかになり、バブル崩壊するかです。早く来てほしい。

https://www.aboluowang.com/2019/1017/1356604.html

10/18阿波羅新聞網<弹劾调查川普要角 美众院民主党议员卡明斯去世 选区被桑德斯称为美国之耻=トランプ弾劾調査の主役だった下院民主党議員のカミングスが死亡 選挙区はサンダースから米国の恥と呼ばれた>下院民主党議員で下院監督改革委員会委員長のイライジャ・カミングスは、健康上の問題で10/17(木)に68歳で死亡した。 下院監視改革委員会委員長および議会黒人コーカスのリーダーとして、カミングスはワシントンで最も力を持った民主党議員の一人である。 彼は、トランプ大統領を弾劾する下院民主党において重要な役割を果たした。

2か月以上前、トランプ大統領は、ボルチモアが深刻な汚職問題を抱えていると言及し、カミングスの重大な職務怠慢を批判した。 大統領はカミングスを厳しく非難し、ボルチモア選挙区の管理に失敗し、この地域が米国で最も汚く、乱れた悪い地域になることを許したと述べた。 トランプ大統領はまた、「ボルチモアは何年も粗末にされている。誰もがカミングスが長い間そこにいたことを知っている。また剛腕とも。ボルチモアは間違いなく非常に腐敗した都市だ」と。

トランプ大統領はまた、カミングスが監督委員会メンバーとともに、ボルチモアや他の民主党が管理する都市に行き、状況を調査することを提案した。

バーニー・サンダース上院議員はまた、2015年に米国でボルチモアを「第三世界の国」として「国の恥」と呼んだ。

弱者のフリをした偽善者というところか。日本の左翼リベラルと同じで税金を食い物にする輩です。

https://www.aboluowang.com/2019/1018/1356951.html

渡部氏の記事では、BRIとDSRで、中国のなすが儘で日米はなす術なしということですが、やはり米国の持つ金融上の優位性を生かして、貿易だけでなく、国際社会から中国が受けてきた特典を剥奪するか、追い出せばよい。現状破壊主義者、新植民地主義を実践しているのは間違いなく、中共を経済的に締め上げれば、途上国への投資も減るのでは。米国としては早く中国の不動産バブルが生じるよう情報戦も含めて対応すべきです。何せ東北地方の不動産価格は白菜と同じと言われていますので、それを大都市にも波及させればよい。

記事

4月24日、ミャンマーのアウンサン・スーチー氏と面会し握手する中国の習近平国家主席(北京で、写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 一帯一路構想(BRI:Belt and Road Initiative)は、中国が最も重視する国家戦略の一つであり、米中の覇権争いを分析する際に不可欠な要素だ。

 このBRIが現在どのような状況になっているかを明快に分析した論考*1が最近発表された。

 この論考は、米国のシンクタンクAEI(American Enterprise Institute)が運営している「中国世界投資調査(CGIT:China Global Investment Tracker)」の膨大なデータベースに基づいて分析されている。

 この分析で注目されるのは以下の2点だ。

 まず、BRIの参加国は増えているが、中国によるインフラ建設は、中国の外貨準備高の減少に伴い2016年をピークに減少していて、この傾向は継続する可能性が高いという指摘だ。

 つまり、BRIにおけるインフラなどの建設分野は今後期待できないということだ。

 2点目は、BRIで今後注目すべきは、中国政府が重視する「デジタル・シルクロード(DSR:Digital Silk Road)」であり、その動向に注目すべきだという指摘だ。

 以下、この2点を中心として紹介するが、特に「中国のDSRの成功が中国の21世紀の国際秩序を形成する能力を強化し、米中覇権争いの帰趨を決定づける可能性がある」という観点で、DSRの重要性を強調したい。

図1「一帯一路構想(BRI)」

出典:台湾国防白書

*1=Cecilia Joy- Perez、“The Belt and Road Initiative Adds More Partners, But Beijing Has Fewer Dollars to Spend”

1 一帯一路構想(BRI)

 BRIとは?

 一帯一路構想には明確な定義がないが、陸の「シルクロード経済ベルト」と海の「21世紀海洋シルクロード」によりアジアから欧州までを連結させる雄大な「シルクロード経済圏構想」と表現されることが多い。

 2013年からBRIを提唱していた中国の習近平主席は、2014年11月に開催されたアジア太平洋経済協力首脳会議で大々的に発表した。

 その後、BRIは中国の重要な国家戦略として、2017年10月24日に中国の憲法にも盛り込まれ、習近平主席の威信を懸けた戦略となっている。

 発展途上国にとってBRIは、自力では困難なインフラ整備が可能になるという抵抗しがたい魅力を持っているという。

 しかし、負の側面として発展途上国の経常収支の悪化や対外債務拡大をもたらしていると批判されている。

 中国は現在、137カ国とBRI協定を締結している。特に、2018年6月から2019年6月までに新たなパートナー諸国62カ国が加盟した。

 しかし、この加盟国の増加は、BRIにおける建設額や投資額の増加につながっていないという。この原因は、中国の資金不足が大きい。

 一方で中国側の嘆きは、多くのBRI加盟国がBRIを中国による対外支援と捉え、「待つ」「頼る」「求める」という傾向が強い点だという。

 つまり、資金力のある米国や日本が加盟しておらず、中国に依存しすぎる国々が多すぎ、中国一国では支え切れない状況だ。

BRIの目的は何か?

 BRIの目的については様々な解釈がある。私は、米国主導の世界秩序に対抗する中国主導の世界秩序の構築がBRIの目的だと思っている。

 この中国主導の秩序の中に中国の海外展開のための軍事インフラ(人民解放軍が使用する港、空港、鉄道・道路など)の確保も入っていることを強調したい。

 BRIに批判的な人たちの表現を使えば、BRIは発展途上国に対する債務の罠を伴う「新植民地主義」「現代の朝貢システムの構築」「中国版マーシャル・プラン」、中国の過剰生産能力の解消手段として輸出市場を確保する狙いなどが列挙されよう。

 こうした中国に批判的な見方に対して、中国サイドの美しいナラティブ(物語)を紹介する。

 李向陽・中国社会科学院アジア太平洋・グローバル戦略研究院院長によると、「BRIとは、古代シルクロードを原型とし、インフラによる相互連結を基礎とし、多元的協力メカニズムと「義利観」を特徴とし、運命共同体の構築を目標とする発展主導型の地域経済協力メカニズムである」という*2

 ここで言う「義利観」について、「義」は理念・道義・倫理、「利」は利益・互恵・「ウィンウィン」という意味だ。

 孔子が唱える「利」よりも「義」を優先すべきとの立場に立つのがBRIの理念である「義利観」だという。

 そして、運命共同体は、習近平主席がしばしば言及する「人類運命共同体」のことであり、「平等な扱いを受け合い、互いに話し合い、互いに理解を示し合うパートナー関係を築くことが、運命共同体を実践する主要な方法。公正・公平で、共に建設し、共に享受する安全な構造を築くことが、運命共同体を築くうえでの重要な保障」としている。

 人類運命共同体をはじめとして、なんと美しい言葉が多いことか。BRIについて、言っていることと実際に行っていることの乖離は大きいと言わざるを得ない。

*2=李 向陽、「一帯一路は中国が世界に提供する公共財だ」、日経ビジネス

BRIの建設ピークは2016年、その後は減少

 中国ではエネルギー・プロジェクトが海外でのBRI関連の建設および投資の大部分を占めている。

 しかし、中国はエネルギー部門以外にも、輸送部門におけるBRI関連の建設プロジェクトや商品への投資を重視している。

 これは、エネルギー供給を確保し、海外との商品貿易と輸送の接続性を改善するという中国の長年の野心に合致する。

  • 投資ではなく建設がBRIの主要な経済活動

 投資ではなく建設がBRIの主要な経済活動である。建設プロジェクトには、「建設し、運用し、譲渡する」プロジェクトなどの長い運用段階が含まれ、それらは投資と見なされる。

 例えば、ハンバントタにあるスリランカの港を「China Merchants Ports(CMPort))」が所有しているように、港を運営するための長期の利権も投資として処理される。

 2013年10月から2019年6月まで、現在の137カ国すべてに関係する9500万ドルを超えるBRI案件を集計すると、建設プロジェクトは4320億ドル、投資総額は2570億ドルであった。

 商業的および政策的理由から、BRIでは建設が投資を上回っている。

 商業面では、ほとんどのBRI諸国は開発途上国で、買収する価値のある収益性の高い資産をほとんど持たないから額が少なくなる。

 政策面では、中国の海外非営利建設推進は国有企業内の過剰設備問題を解決するためだ。

国有企業は、BRIの枠組みの内外を問わず、グローバルな契約の圧倒的多数を担っている。

 国有企業を失敗させたくないという中国の姿勢は、肥大化した企業にビジネス・プロジェクトを提供する必要性を生じさせ、ひいては世界的な建設プロジェクトの継続的な流れを生み出している。

 過去数年のデータと比較すると、2019年上半期のBRI建設プロジェクトの件数は40%減少し、資金量はほぼ140億ドル減少した。

 この3年間の上半期においては平均83件の建設プロジェクトがあった。しかし、2019年の上半期には58件しか報告されていない。

図2「BRI(2014~19年上半期)の建設・投資額(単位は10億ドル)」

(出典:中国グローバル投資調査)

  • 外貨準備高が減少すると建設額も減少する

 上記の図2から、BRIの建設最盛期は2016年であったことが分かる。これには中国の外貨準備高が影響している。

 中国の建設プロジェクトは通常、中国政府からの安価な資金提供を受けており、その資金援助は中国の外貨準備からもたらされている。

 中国政府の外貨準備の状況が悪化したため、建設資金がその後数年で減少した可能性がある。

 2013年にBRIが発表されたときから、外貨準備高は一貫して増加しており、2014年6月には4兆ドル近くに達していた(国家外国為替管理局(SAFE)、2018年5月7日)。

 それ以来、外貨準備は減少し、約3兆1000億ドルで安定している。

 これは依然としてかなりの額だが、中国政府は、米国との貿易摩擦で外貨準備が厳しく、資金を投じることがますます難しくなっている。将来的に、「カネの切れ目は縁の切れ目」の状態になる可能性はある。

2 デジタル・シルクロード構想

 デジタル・シルクロード構想(DSR)は、インターネット・インフラの強化、宇宙協力の深化、共通の技術基準の開発、BRIの加盟国における警察システムの効率改善などが含まれている。

デジタル・シルクロードに対する懸念

 最近、中国によるBRI諸国の通信分野への影響力の拡大を懸念する声が多いが、中国政府はBRIの一部であるDSRを重視している。

 中国のDSRの成功が中国の21世紀の国際秩序形成する能力を強化し、米中覇権争いの帰趨を決定づける可能性がある*3

 DSRを通じて米国との戦略的技術競争を行うとともに、世界中にデジタル独裁主義(Digital Authoritarianism)モデルを輸出している。

 DSRはBRIの重要な部分で、海外におけるデジタル連結性を向上し、技術大国に上り詰めることに焦点を当てている。DSRの特徴を4つの分野で分析する。

①物理的なデジタルインフラ(5G携帯ネットワーク、ファイバー光ケーブルを含むインターネット・インフラ、データセンターなど)を提供する世界のリーダーになる。

②DSRを通じて経済的及び戦略的に活用できる最先端技術(衛星航法システム、人工知能、量子コンピューティングなど)の開発に投資する。

③DSRを通じデジタル自由貿易地域を構築し、国際的なEコマースの主導権を握る。

④サイバー空間と先端技術に関する国際的な規範を確立する。結果として、将来的なデジタル世界の概念(例えばサイバー主権(cyber sovereignty))に適合する規範を確立する。

 世界中の独裁的な政権は、これらの努力を歓迎する、なぜならサイバー主権が国民の表現の自由などを抑圧でき、国民を統制しやすくなるからだ。

*3=Clayton Cheney, “China’s Digital Silk Road Could Decide the US-China Competition”, The Diplomat

DSRの何が問題か?

  • 中国のデジタル監視社会の輸出

 中国のデジタル監視社会は、新疆ウイグル自治区のイスラム教徒に対する徹底的な監視と弾圧、インターネット検閲による共産党批判の封じ込め、至る所に張り巡らされた監視カメラ網、国民一人ひとりがデジタル技術で格付けされる「社会信用システム」の構築などにより国民を徹底的に監視している。

 この中国式デジタル監視社会がDSRによりBRI沿線国に輸出され、中国の影響圏が拡大する可能性が高い。

 デジタル監視を行う政権側にはビッグデータが蓄積され、そのビッグデータは中国に集積される可能性が高い。

 そのビッグデータを中国が利用してBRI沿線国をコントロールする可能性はある。デジタル監視社会の輸出は中国的な「デジタル独裁主義」の輸出につながりかねない。

 また、沿線国のビッグデータを用いて、中国のAI開発、電子商取引やキャッシュレス決済などのデジタルビジネスを加速することが可能となる。

  • 中国の技術でBRI沿線国のサイバー空間を支配

 DSRは、中国によるBRI沿線国に対するサイバー空間の構築を意味する。

 結果的に、中国は沿線諸国のサイバー主権を侵し、サイバー支配を確立するかもしれない。中国がサイバー空間を支える技術を提供しているだけに、他国のサイバー空間で多くのことを隠密裏にできるであろう。

  • 「デジタル地球」構想に伴う中国宇宙技術による支配

 DSRは、サービス開始以来、アジアの新興経済国に中国の技術を提供を行っている。

 2016年、中国科学院は、BRIの下での複数のプロジェクト、特に南アジアと東南アジアでのプロジェクトのために、宇宙に根拠を置く遠隔計測データを収集する「情報シルクロードによるデジタル地球(Digital Earth Under the Information Silk Road)」構想の一環として、海南と新疆に2つの地域研究センターを設立した。

 一方、中国の産業界において、2020年までに35基の衛星から成る中国版の全地球測位システム(GPS)である「北斗衛星導航システム(BeiDou Navigation Sattellite System)」(最初は北斗-1、現在は北斗-2)の開発が積極的に進められている。

 中国衛星航法局は、米国政府が保有するGPSに代わるものとして、全世界で実用化を目指している。

 既にパキスタン、ラオス、ブルネイ、タイなど多くのアジア諸国で採用されている。中国は、宇宙技術でこれらの国々を取り込み、「現代版朝貢システム」を構築しようとしている。

  • 「Eコマース」と「モバイル決済」によるデジタル・ビジネスの支配

 一方、DSRのソフト面では、「Eコマース(電子商取引)」と「モバイル決済」の利用が増加しており、Eコマースと従来の企業とのコラボレーションが拡大している。

 2014年から15年にかけて、中国のアリババ(Alibaba)は、伝統的な郵便事業会社であるシンガポール郵便(Singapore Post)に4億米ドルを投資した。

 一方、テンセント(Tencent)、政府系ファンドである中国投資有限責任公司(China Investment Corporation)、ライドシェア会社である滴滴出行(ディディチューシン)は、東南アジアの主要な配車サービスであるグラブ(Grab)に投資している。

 南アジアでは、アリババグループは2015年から2017年の間に、インドのEコマース会社である「Snapdeal」、「Big Basket」、「Ticket New、One97」に対し、合わせて6億2000万ドル以上を投資した。

 これらのデジタル経済は、消費者行動の動向の把握、伝統的な企業とデジタル企業の双方に大幅な成長をもたらしている。

 しかし、新興経済国が今後数年間に中国からの技術移転によってより公平な競争条件を獲得するにつれて、アジア経済に大きな競争が起こることを意味する。

 ミャンマーを例にとってみよう。

 2012年には、人口の1%未満しかブロードバンドにアクセスできなかった。しかし、同国の運輸通信省はファーウェイ(HUAWEI)と協力して2025年までに5Gブロードバンド・サービスを開始する予定だ。

 つまり、シンガポール、マレーシア、インドなどの国々が経験してきた何世代にもわたるモバイル・ネットワークを飛び越えて、いきなり最新の5Gブロードバンド・サービスを手に入れることになる。

 中国のテック企業がBRIの加盟国に進出し続けるにつれ、南アジアと東南アジアが全体として急速に発展することは間違いない。

 このDSRは本質的にゲーム・チェンジャーであり、すでに低成長に陥っている国々の競争上の優位性が厳しくなる一方で、低開発国にはより大きな経済的機会をもたらすことになる。これらをコントロールするのは中国の技術だ。

3 米国と日本のDSRへの対応は難しい

 中国がDSRを拡大していくと日本や米国の入り込む余地がなくなる。

 米国の国防戦略で記述されている「世界の秩序は中国に有利な方向に向かっている」という表現は、DSRには特に当てはまる。

 米国はDSRに対応するダイナミックな戦略を持っていないし、ファーウェイの5Gに匹敵する携帯通信技術力と安さを兼ね備えた企業も持っていない。

 しかし、米国が技術分野と経済分野で中国との戦略的な競争に強い姿勢で臨んでいることは適切だし、ZTEとファーウェイに対する制裁は、米国が中国の通信大手に打撃を与える手段をまだ持っていることを示している。

 中国のDSRへの取り組みは「北斗衛星導航システム」の提供、ファーウェイの光ファイバーや4G・5G携帯通信技術の提供などによりBRI沿線国に着実に食い込んでいる。

 米国がただ単にファーウェイ技術や製品を排除するように同盟国や友好国に圧力をかけたとしても効果は限定的だ。米国はもっと統合的なアプローチを行っていかなければいけない。

 そのためには、アメリカ・ファーストを唱え、米国だけの利益を追求して同盟国や友好国に負担を強いる姿勢を改める必要がある。

 米国が6月に発表したインド太平洋戦略では、米国の同盟国や友好国との連携なくして中国に対抗できないことを認めているではないか。

 我が国は、中国のBRIやDSRに対して米国と共同歩調を取ってきた。今後とも米国と共に中国のDSRに対応せざるを得ない。

 そのためには、国を挙げたデジタル技術、AIなどの最先端技術の開発による技術大国の復活を目指すべきだし、日本独自のインド太平洋地域における、中国の強引なインフラ整備とは一線を画す、質の高いインフラ整備を継続するなど、やるべきことは多い。

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