内申点について~大阪府版~

2023年07月02日 | 情報等

内申点についての計算は,大阪府公立高校入試の
『一般入試』の『Ⅰ型(入試得点:内申点=7:3)』
で進めていきます。

 

◯内申点とは

・中1,中2,中3の各学年の評定がもとになる
・比率は,『中1:中2:中3=2:2:6(=1:1:3)』である
・内申点の満点は,900点満点中270点である(Ⅰ型の場合)

 

◯『入試得点+内申点』の最低点は?

実は仮に入試で0点,評定が全学年・全教科一番低い点数でも
『900点満点中の0点にはなりません!』

なぜ,このようなことが言えるかというと,

内申点のもととなる評定は「1・2・3・4・5」の5段階で,
各教科の内申点は
(中1・中2) 評定×2×0.6
(  中3  ) 評定×6×0.6
で求めます。

この式をもとに計算すると,仮に一番低い評定のオール1だったとすると
中1=(1×2×0.6)(点)×9(教科)=10.8点
中2=(1×2×0.6)(点)×9(教科)=10.8点
中3=(1×6×0.6)(点)×9(教科)=32.4点
となり,
内申点だけの最低点は,10.8+10.8+32.4=54点となります。

つまり内申点の範囲は,最大で54点(オール1)~270点(オール5)となります

 

◯実際の入試での内申点の差はどれくらいになるのか?

まず,本題に入る前に,大阪府教育委員会は,令和4年6月20日に
『令和6年度大阪府公立高校入学者選抜に係る調査書の3年生の評定について』
という資料の中で,
チャレンジテスト実施の5教科については,
府全体の評定平均を『3.50』
とする
と発表しています。

また,この資料では(参考)として,算出の根拠となった評定分布のデータも示されています。

そこには,
評定5:24%
評定4:26%
評定3:32%
評定2:12%
評定1:6%

とあります。仮にこれの通りに計算すると,40人学級ではクラスに,
評定5は約10人
評定4は約10人(←ここまでで全体のちょうど半分)
評定3は約13人(←ここまでで全体の82%)
評定2は約5人
評定1は約2人

ということになります。
府全体の評定平均が3.54なので,中学校による差は考慮する必要がありますし,あくまでも大阪府は『参考』として発表しているのでこの通りになるとは限りませんが,逆に府の発表した数字なので大きく異なる可能性も低いのではないでしようか。

40人学級で約23人が評定3か4ということになるので,イメージほど受験生間の内申点の差は大きくないのではとも考えられます。また,同じ高校の受験生であれば,それほど学力に差はない場合が多いので,より内申点の差は小さくなると考えられます。

たとえば,「オール3」と「オール4」のように,評定がすべて「1」ちがっている場合での内申点の差は54点となりますが,実際は,「3がほとんどで4が少しある」や「ほとんどが4だけど3も少しある」のように,実際の差は54点より小さくなるのではないかと考えらます。

でも「入試本番で54点を取り返さないといけない」ということになるので,「54点の差は大きい!」という意見もあると思います。1教科あたりでも約11点ですから。

しかし,ここで注意したいのは,入試本番での配点です。

各教科の「配点」は,国語・数学・英語・理科・社会ともに90点となっています。
でも,各教科とも
学力検査の点数×1.4(※「平成31年度大阪府公立高等学校入学者選抜実施要項 P50,51より)

が実際の「得点」となります。
つまり,各教科の満点は
90点×1.4=126点
となります。

ですから,先程の「54点の差」というのは少し変わってきます。
入試本番の1問の点数も1.4倍されるので,
たとえば,
英語Bの作文は90点満点の配点が8点なので,実際は8×1.4=11.2点
数学Bの証明は90点満点の配点が8点なので,実際は8×1.4=11.2点
国語Bの作文は90点満点の配点が20点なので,実際は20×1.4=28点

これだけで,すでに50.4点になります。
理科や社会の1問の配点は90点満点で2~3点ですが,実際は2.8~4.2点
となり,1,2問で54点の差がなくなってしまいます。

つまり,
「入試本番での逆転のチャンスは結構ある!」
と考えられると思います。

逆に注意が必要なのは,「内申点対策」と称する中学校の過去問を利用した学習だけに頼ったり,学校で使っている問題集で理解できていないけど,とりあえず答えを丸暗記しておこうというような勉強方法を重ねてしまうことです。
このような方法では,定期テストや内申点で実力以上の点数が現れる可能性もあり,へたをすると自分の力を過大に勘違いしてしまうおそれもあります。

「内申点対策はバッチリ!」や「中学校別授業で定期テストは万全!」ということばに甘えて本番に向けての勉強がおろそかにならないように注意が必要かと思います。

 


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