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バトル-84 [高校生バトル-09]

「雅はお父さんのYouTubeチャンネルを見てたのか。」
「うん、見始めたら止まらなくなってね、私ってホントに素敵な人の娘になったんだなって。」
「どう、見てて問題は感じなかった?」
「全然、でもさ、選挙に直接関係無いのも多いから選挙が始まるまでチャンネル開設を待たなくても良かったと思うのだけど。」
「まあ念の為ってことだよ、選挙の事前運動にならない趣味の話だとしても、コメント欄に、市長選出馬予定、清き一票を、と書く人がいたら微妙でね。」
「そこまで気を配る必要が有るの?」
「法に触れるかも知れない疑わしいことは極力避けたいんだ。」
「そっか…、バレなきゃ何をやっても構わないと平気で口にする人が昔、身近にいたけどな~。」
「その考えに賛成だったの?」
「影響はされてたかも、でも、そんなの三郎兄さまは絶対嫌でしょ。」
「勿論さ。
 選挙ではね、区切りを付けないと早くから選挙運動をした人が有利になってしまうし、長期間だったらお金も掛かるだろ、より公平な選挙にする為に法律で色々制限されていて、それは必要な事だと思うんだ。」
「でもお金持ちの方が有利でしょ。」
「まあな、完全な平等は無理だよ。
 既定の年齢に達したからと言って誰でも気軽に立候補出来てしまうと、責任感の無い人でも間違って当選してしまうかも知れない、だから全くお金に余裕のない人は立候補しにくい形になってるんだ。」
「そんな人には票が入らないと思うけどな。」
「でもね、地方議会だと立候補する人が少なくて全員が当選と言う事も有るんだよ。
 だから犯罪を犯す様な人でも当選してしまう。
 少し調べてみたけど、難しい問題は沢山有るんだ。」
「そう言う問題が有るから、お父さまは今までに無かった選挙運動を展開するのよね。」
「ああ、今まで有権者が立候補者について知る事が出来る情報はそれ程多く無かった。
 今日からスタートしたお父さんのホームページではYouTubeも活用して、立候補するにあたっての主張だけでなく、生い立ちや家族のことなど、お父さんの人柄や実績を分かって貰える動画が沢山アップされてるだろ。」
「多過ぎて計画的に見ないとって考えてる、ねえ、今まで、こう言う事をする人はいなかったの?」
「昔はネット環境が無かったし、暫くの間は法律で禁止されてたんだ。
 それが解禁になり、最大限に活用出来ていたかと言うと、一郎兄さん曰く微妙だそうでね。
 今回は最大限に活用する実験で有り、これから立候補する人達への提案でも有る。」
「提案?」
「ああ、今まで有権者は立候補者のほんの僅かな主張だけを元に考え判断し投票して来た。
 国の選挙だと候補者は身近な人で無い事が多いからどうしても、どんな人なのか良く分からないまま投票するしかなくてね。
 まあ、候補者が所属してる政党を応援してるとか、自分の所属する団体が応援してるとか、その本人の事を全く考えずに投票という人も居るのだけど。
 それで、気付いたら人間性や能力に問題の有る人が大臣になったりしてさ。
 有権者は騙されて一票を投じた訳では無く、単にそう言う人だとは知らずに投票したんだ。」
「う~ん、選挙のことは今まで意識したことがなくて…、何か騒々しかったぐらいのイメージしか無いかな。」
「名前を大きな音で聞かせることで、投票に行った時、ついその名を書いてしまう様にと考えてるのかも…、今回の選挙ではそう言うことをしないと決めたから、お父さんの名前を聞いて赤ちゃんが泣きだすことはないよ。」
「お父さまのYouTubeチャンネルを見た人は一票入れたくなるものね、でも…、ネットを利用しない人も居るでしょ。」
「ああ、お父さんはそんな人達の集まる所へ出掛けて一票のお願いをする予定なんだ。」
「そっか、お婆さん達は素敵な候補者に一票って…、でもお爺さん達はそれが面白くないかも。」
「まあな、外見だけで無くどんな人かを知って欲しいのだけど、一度会った印象だけで誰に投票するか決めてしまう人は少なくなさそうで、そこが選挙の難しい所だと思うよ。」
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