小説 【 めぐりあい 】 -5- | Novel & Scenario (小説と脚本)

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「犬を飼おうって。今のここじゃ無理だから」

「ほんと」

「モリーに影響されて、欲しくなっちゃった。モリー元気?」

「ああ、元気すぎて――」とクリスはため息をついて首を振る。「呼ぼうか?」

「うん、会いたい」

「モリー」と横を向く。廊下の方を見る。

「家族が増えれば、ママ変わるかって」

「そうか」

「モリーと同じ保護犬迎えようって」

「そりゃいい」

「小さな戸建だけど、ママが探してタイミングよく見つかって」

新居の内見は先日済ませていた。

「来た」とクリスがまた横を向く。「こっち来い。ほら」と手招きすると大型犬がクリスにしがみつく。雑種犬のモリーだった。クリスは抱き寄せてパソコン画面を見せる。「憶えてるか。このまえ来たジェシーだ」

「モリー、お姉さん憶えてる?」とジェシーが乗り出すと、モリーは画面に寄りペロッと舐める。

「ハハハ、うれしい」とジェシー。

「あーあ」とクリスは顔をしかめ「もう行け」とモリーを解放する。パソコンの画面をティッシュで拭く。

「ママも乗り気でね。飼いだしたらまた知らせる」

「ああ、待ってるよ。楽しみだ」

「うん」

「今日はその連絡?」

「うん――」ジェシーは目を伏せ「じゃないの」と首を振る。

「なに?」

「叔父さんに何か連絡――ううん、叔父さんに迷惑かけるかもしれなくて」

「どういうこと?」


 

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