ダイアリー・オブ・カントリーミュージック・ライフ

現代カントリー・ミュージックのアルバム・レビューや、カントリー歌手の参考になりそうな情報を紹介しています

Lady Antebellum レディ・アンテベラム - Ocean

2019-11-30 | Lady A レディA(アンテベラム) レビューまとめ

今年、ケイシー・マスグレイヴスがグラミー賞でオール・ジャン

ルのアルバム賞を獲得し、カントリー・ファンには大変うれしい

出来事としてまだ記憶に新しいですが、今から8年前の2011年

2月、このレディ・アンテベラム(レディ・A)も、"Need You

Now"でオールジャンルのレコード賞とソング賞のダブル受賞

しました。そのおかげで、サード・アルバムからの”Just A Kiss"

が、日本のドラマのエンディング・テーマに抜擢されたり、ビデオ

の日本版(ブルーレイも!)発売されたり、わが国でも結構

クローズアップされましたね。テイラー・スウィフトから間髪入れ

ずにクロスオーバー・スターが続き、カントリーに大変勢いが有っ

た時期でした。



その後、グループの2トップ・ボーカルであるチャールズ・ケリー

とヒラリー・スコットがそれぞれソロ・アルバムを出すなどしなが

ら、余裕を持ちつつもグループとしての活動はコンスタントに継続

してきてます。前作の2017年の「Heart Break」では、マレン・

モリスのプロデューサーとして話題の人となっていたBusbeeを起

用。"You Look Good"では華やかなシンセやファンク・ビートを

フィーチャしたりで、トレンドに寄り添った精力的なサウンドづく

りをしていました。


 


対して、この2019年の新作、デビュー当時から彼らを聴き続けて

来た人間としては、とても心地よく聞けるアルバムと感じました。

オープニングにリード・シングルのバラード"What if I Never

Get over You"を配し、穏やかに幕を開けます。そして続くミディ

アム~スローの"Pictures"から”Crazy Love”のメロディが、どこ

か懐かしく、くつろぎを与えてくれるのです。その他、"What I'm

Leaving For"や”Alright”など、ヒラリー・スコットの柔らかな歌

声による、このような雰囲気のナンバーが、アルバム中多くを占め

ています。



その中で、初期のレディ・Aを彷彿とさせるロッキン・カントリー

”You Can Do You""Boots"も収録されて、アルバムにエナジーを

注ぎ込んでいます。アルバムのハイライトの一つと言えるのが、チ

ャールズ・ケリーのエモーショナルな歌声が堪能できる"Be Patient

With My Love"。静かな語り口で始まり、次第にドラマティックに

歌い上げられる壮大なバラードです。"現代のテディ・ペンターグラ

ス"の真骨頂。メジャー・カントリーにR&B的なブルージー唱法を

持ち込んだのが、このチャールズだったと言えるでしょう。


スタジオ・ライブ。後半の盛り上がり部分はオミットされてます


本作、プロデューサーは、2000年代キース・アーバンの全盛期

支えたダン・ハフが起用されています。当時は時代を席巻した人と

言えました。この起用からも、エレクトリックなダンス調がトレン

ドの現代において、あの時代のような人の手のぬくもりを感じるポ

ップ・カントリー・サウンドをあえて提示しようとしたのでしょう。

"Need You Now"やLove Don't Live Here"のような際立った曲は

ないかもしれないけれども、大切にしたいと思えるアルバムと思い

ます。


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