前編からの続き～

まず、熊手を使い

斜面のいちばん下からシャカシャカと

上に向かって表面をさらっていく。

遠目には薄茶色っぽい砂の斜面だが～   

よく観ると、そこは花崗岩が風化した

岩盤そのものなのだ。

私は、彼の指示通り、

彼と横一線になり

熊手で静かに砂を除けていく。

しばらくして彼が～

「見つけた 」 と

嬉しそうな声を上げる。

彼の手元をみると、

やや濁った灰黒色の石英のくずが

散らばっているのがわかる。

彼は私に

「では、ガマ掘りをやるので

私の言うとおりにお願いします  」 と

やんわりとした優しい口調だけど

顔は、まるで獲物がかかった網を

引き上げようとしている漁師みたいに

やる気に満ち満ちた表情が

にじみ出ていた。

素人の私にも、

なにやら緊迫した空気が

伝わって来る。

彼はさらに はいつくばり、

顔と地面との距離を著しく縮め、

タガネで表面を探るように

コツコツと叩いている。

私も彼の横にぴったり付き

固唾をのんで見守る。

彼いわく、叩いていると感触が違う

スポットがあるという。

そのスポットがガマの入り口なのだそうだ。

匠のなせる業というか、

ベテラン的手法を

間近でみていて、なんだか格好いい。

ところでガマとは、

岩盤の内部に空壁が在って

そのエリアに宝石鉱物が存在する。

専門的にはペグマタイトと呼ばれ、

細かな岩石が異様にデカく

成長している部分だ。

その部分に小さい物では

握りこぶし大から、時には、

子供が入れるほどの大穴がぽっかりと

空いていることもある。

ただし、

ほとんどの場合粘土が充填されていて

内部に存在する煙水晶や長石、

トパーズなどを

取り出すには、勘とコツを要する。

有力な手がかりとなるらしい。

タガネの他にキリや、マイナスドライバー、

千枚通しなんかも動員され、

粘土をほじくりつつ、彼は巧みに

奥にある結晶をまさぐり、

掘り出しては　私へ。

私は

それを　彼女にリレーするのだ。

結局、取り掛かったガマからは、

煙水晶が大小十数個、

正長石が４～５個

トパーズも数個体という

成果が得られた。

私達は、彼のお陰で

鉱物採集の醍醐味をたっぷり

楽しませてもらうことができた。

そして、ガマ掘りという名の

宝さがしを体験させてもらったのだ。

この日の感動は忘れがたい。

彼の存在なしに、今の自分は

あり得ないと言えよう。

彼には

深く感謝の意を表さなければならない。

その彼は、後に海外赴任で

シンガポールへ渡ったと聞く。

現地でも、

きっと石探しを楽しんでいるであろう。

彼が当時勧めてくれた一冊

しか～し 　ほかにも

感謝しなければならない奴がいる。

それは～

企業交流会に参加し、

私達の仲介役となってくれた友人である。

本当にありがとう   

感謝している…

ガマ立ちのSmokyquartz

s面 x面 が比較的多くみられる

煙水晶の結晶

Topaz の大き目な結晶

C軸からの錐面 u 及び j 面の晶出が

しっかりみられる…

Albiteの群晶（階段連晶タイプ）

Orthoclaseの群晶

閲読いただきありがとうございました。m(__)m

※ ガマ掘りの様子は

ガマ掘り Youtube で検索していただければ

わかるかと思います。

※文章の綴りには注意しておりますが
誤字脱字、その他の文法的誤りなどがありましたら
どうかご容赦ください。