香港からの高速鉄道の乗り方を徹底解説! 九龍 MTR香港西九龍駅の続きです。
前回、香港西九龍駅での高速鉄道に乗車するまでの手順について詳しく紹介しました。
今回はホームへ降りて列車に乗車していきたいと思います。
ホームへ降りる改札は列車別に行われます。改札開始の案内があると改札前には大勢の人で列ができます。
改札では再び自動改札機に乗車券を通して入ります。自動改札機も幅広いタイプのものがあり、大きな荷物があっても楽に通過できます。
改札はおおむね発車時刻の10~15分前に始まり、5分前に締め切られます。発車直前になると列車に乗車できないこともありますので時間に余裕を持ってくるようにしましょう。
改札を通過し、エレベーターやエスカレーターを使ってホームへと降ります。
今回乗車したのは香港西九龍駅を9時16分に出発するG6516列車・広州南駅行きです。
列車は16両編成でホームいっぱいに停車していたため、先頭の様子を見ることはできませんでした。
今回乗車したのは中国側の中国鉄路総公司が保有するCR400AF-A型車両です。
复兴号(復興号)の愛称で呼ばれている車両で、北京~上海間などで運用を開始した後、今回の広深港高速鉄道の香港開業に伴って30本以上が広州へ新製配置されました。
新車ということで車内はまだとてもきれいで、座席もくたびれた様子が全くありません。
座席は商務座(ビジネスクラスシート)、一等車、二等車の3クラスとなっていて、乗車した二等車は3列+2列の座席配置です。
二等車は一番下のクラスではありますが、シートピッチも広くリクライニングもしっかり倒れるのでとても快適に過ごすことができます。
各座席上にある座席番号表示は座席が予約されている区間に入ると赤色のランプが点灯し、席が埋まっていることを知らせます。
但し、香港西九龍駅から次の福田駅の間ではこのランプは表示されず、福田駅発車後から表示していました。
座席や車内設備について簡単に説明していきます。
各座席の座面下にはコンセントとUSB充電ポートが用意されており、携帯電話の充電に使用できます。
各車両の端にはスーツケースなどを置くことができる大型荷物置き場が設置されています。
中国の高速鉄道では大きな荷物を網棚に置いておくと乗務員より下ろすよう注意を受けることもありますので、スーツケースなどの大きな荷物はこちらへ置くようにしましょう。
なお、混雑時は荷物置き場がいっぱいになることがありますので、荷物の多い方は早めに乗車して荷物の置き場を確保することをおすすめします。
車内にはトイレと洗面所の設備があります。トイレは洋式と中華式が2つ並んで設置されています。
また、熱湯の出る給湯器も設置されていますので、お茶やカップ麺などを作って車内で食べることもできるようになっています。
座席の前ポケットには高速鉄道の案内冊子が入っています(持ち帰りはできません)。
中には車内の案内や高速鉄道の路線図、更には各地の地下鉄の路線図も載っていますので、目的地の簡単な予習もできます。
复兴号車両で運行される列車では車内販売の営業が行われており、そのメニューもこちらの冊子に載っていました。
電子レンジ調理のお弁当におかゆ、サンドウィッチや麺類、コーヒー、紅茶、飲料水、砂糖入りのお茶、ジュース、おつまみ、デザートの豆腐花など、充実したラインナップとなっています。巡回時に客室乗務員に注文するか、編成中央あたりにある食堂車でも注文できます。
また、最近ではスマートフォンのアプリにて車内に出前を頼むことができるサービスも行われており、そちらの説明も記載されていました。但し、この出前のサービスは中国の電話番号での登録やアリペイ、ウイチャットペイなどでの支払いが必要となるため、外国人の利用は難しい状況です。
あれこれ見て回っているうちに列車は香港西九龍駅を時間より数分早く出発しました。
中国の鉄道では改札を締め切った後、乗降の終了が確認できると出発となるためにこのような早発は珍しいことではありません。
新規開業した香港西九龍駅~福田駅の区間はほとんどの区間が地下区間となっており、残念ながら香港側の車窓を楽しむことはできません。地下区間での最高速度は200km/hとなっており、少し控えめの速度で走行します。
15分ほどの所要時間で次の福田駅に停車します。香港西九龍駅で出入境の手続きを行っていることから乗客を分け隔てる必要がないため、福田駅以降も中国本土区間のみ利用の乗客が乗ってきます。香港西九龍駅出発時はガラガラだった車内も福田駅の乗車で8割ほどの座席が埋まりました。
福田駅も地下駅となっており、高速鉄道駅ながらフルスクリーンのホームドアが設置されているのが特徴です。
福田駅を出てしばらくすると列車は地上へと出てきます。地上へ出ると列車はまもなく深圳北駅に停車します。
深圳北駅でも多くの乗車があり、車内はほぼ満席となりました。こちらでは5分ほど停車し、時間調整の後に出発となりました。
深圳北駅より先はより高速での運行となります。広深港高速鉄道の深圳北~広州南間は350km/hでの走行が可能で、CR400F-A型車両も350km/hでの運行に対応していますが、一部300km/h程度しか出せない車両が運行しているためか、この列車も最高300km/h程度の速度での運行となっていました。
20分弱走ると再び速度が落ち、列車は虎門駅に停車しました。
虎門は東莞市にある街で、広深港高速鉄道の開業によって鉄道でのアクセスが飛躍的に向上した街です。
このため、虎門駅で降車していく乗客の姿も目立ち、入れ替わりで乗車してくる方も多くおられました。
虎門駅を出ると再び300km/h程度まで速度を上げて走行し、15分程度走り、他の線路が見えてきたあたりで減速を始めます。
隣を走る線路には日本のE2系新幹線車両の技術を用いて造られたCRH2型車両の姿が見えます。
珠海からやってきた広珠城際線の線路が見えてくると列車はまもなく終点の広州南駅へと到着します。
列車は香港西九龍駅から1時間5分ほどの所要時間で終点の広州南駅に到着しました。
広州南駅はホーム長が長いため、ここで列車の先頭の様子を見ることができました。
広州南駅はホームの数が多く、多くの高速鉄道車両が停車している様子を見ることができます。
向かいのホームに停車していた列車は南寧東駅行きの列車のようでした。
ホームへ降り立った後はホーム中程にある階段を降りて、出口改札へと向かいます。
出口改札でもまた自動改札で切符を通しますが切符は回収されず出てきますので、記念に持ち帰ることができます。
なお、広州南駅で他の列車へ乗り換える場合は専用の乗り換え順路があり、改めて荷物検査をすることなく乗り換えることができます。駅の「便捷換乗」の案内表示に従って移動してください。
但し、この乗り換え通路は乗り換え先の列車の乗車券を持っている場合に限り利用できます。乗車券が手元にない場合は一度改札を出て乗車券を購入(受け取り)し、改めて身分証チェックと手荷物検査を受ける必要がありますのでご注意ください。
従来の城際直通車では香港~広州東の間を約2時間かけて運行していましたので、約半分の所要時間で香港と広州の間を移動できるようになりました。
一方で、広州南駅は広州市中心部からは離れた場所にあり、中心部へは地下鉄でおおむね30~40分程度の時間がかかります。
広州市の番禺、南沙方面や佛山市禅城区、南海区方面へ行かれる場合、また他の高速鉄道列車に乗り換えて中山、珠海、佛山西、長沙、武漢、南寧方面などへ行かれる際は広州南駅の利用が便利ですが、広州市中心部へ行かれる場合は従来から運行されている城際直通車を利用された方が早いこともあります。行き先や宿泊地にあわせて利用する手段を選択されることをおすすめします。
【Three】 中国・香港・澳門 プリペイドSIMカード 30日間 4G/3Gデータ通信2GB
1,280円
Amazon |