特集「激安特急術」所要時間日本最長の昼行特急!日豊線経由でのんびり宮崎へ!特急にちりんシーガイア | 世界バス轉運站 -アジアの交通総合ブログ-

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今回も特集「激安特急術」をお送りします。

 

このコーナーは日本政府が実施する「GoToトラベルキャンペーン」がスタートするにあたって、旅行の幅をより安く、そしてより快適に広げてもらいたいという気持ちをこめて新設した新コーナーです。

GoToトラベルキャンペーンの適用エリア内となる地域を中心に、主に特急列車、フェリーなどを安く利用する方法や車両、船舶の内装紹介などをしていきます。

このコーナーではGoToトラベルキャンペーンの割引対象とはならないJRの割引きっぷなども多く紹介しますが「近くまで新幹線や飛行機と宿泊がセットとなったパッケージで行き、さらに少し足を伸ばしたい」という方や「宿泊のみをGoToトラベルキャンペーン適用で予約し、現地までの往復に安いきっぷを探したい」という方におすすめできる内容になると思いますので、予算を安く抑えながら旅行の幅を広げていく参考にしていただければ幸いです。

 

本日紹介するのは特急「にちりんシーガイア」です。

特急にちりんシーガイアは博多と宮崎・宮崎空港の間を小倉、大分経由(日豊本線経由)で運行している特急列車です。

日豊本線の博多~宮崎間の特急列車は主に博多~大分間の特急「ソニック」と大分~宮崎間の特急「にちりん」に分かれており、多くの場合は大分駅での乗り継ぎが必要になりますが、この特急にちりんシーガイアは博多と宮崎の間を直通運転しますので大分駅での乗り換えが不要です。

博多~宮崎空港間の全区間の所要時間は5時間40分~6時間6分に及び、これは2020年9月現在、日本国内を走る昼間の特急列車では最長の所要時間となります。

博多~宮崎間には高速バス「フェニックス号」も運行されており、こちらの方が所要時間も短く運賃も安いですが、美しい車窓を眺めながらのんびりと走るこの特急にちりんシーガイアも旅行客や鉄道ファンに長く愛される隠れた名物列車となっています。

今回はその特急にちりんシーガイアの魅力やお得に利用する方法を余すことなく紹介したいと思います。

 

 

まず、特急にちりんシーガイアの運行時間帯などを紹介します。

特急にちりんシーガイアは博多発宮崎空港行きが1本、宮崎空港発博多行きが2本運行され、毎日1.5往復の運行となっています。

博多駅からは毎日朝7時30分発、宮崎空港駅からは毎日15時17分発、17時19分発でそれぞれ運行されています。宮崎駅発の博多行きの時刻は15時35分発、17時31分発となっています。

停車駅は各列車で異なる上、とても多くなるためこちらでは省略しますが、小倉、別府、大分、延岡などからの利用も可能です。

 

 

特急にちりんシーガイアは2つの車種で運行されています。

博多発の宮崎空港行きのにちりんシーガイア7号と宮崎空港15時17分発のにちりんシーガイア20号は783系ハイパーサルーン型車両(左側写真)で、宮崎空港17時19分発のにちりんシーガイア24号は787系車両(右側写真)で運行されています。

今回は783系ハイパーサルーン型車両の車内の様子について詳しく紹介します。

 

 

783系での運行便は5両編成で、各車両はA室とB室に分かれており、車体中央部に乗降ドアがあります。

自由席は2号車B室と3号車~5号車、指定席は1号車B室と2号車A室、グリーン車は1号車A室です。なお、にちりんシーガイア7号では土曜休日に限り2号車B室も指定席となります。

個人的におすすめしたいのは5号車B室の自由席です。5号車B室は展望室風の車内となっており、博多行きでは宮崎空港→小倉間、宮崎空港行きでは博多→小倉間で前面展望を楽しむことができます(それ以外の区間では5号車B室は後方車両となります)。

5号車B室は自由席であることから、一番前の席は鉄道ファンや子供たちに人気があるため早くに埋まってしまいますが、一番前の席以外でも大きく取られた前面の窓からの前面展望を楽しむことは可能です。また、自由席はこの5号車B室に限り、車体側面の窓も大きく取られていますので、他の車両よりも車窓を存分に楽しむことが可能です。

この展望室風の車両は783系で運行される特急にちりん、ひゅうが、きりしま、みどりなどにも連結されていますので、ご利用の際は確認してみることをおすすめします(いずれの列車も自由席となっていることが多いです)。

 

 

5号車B室は座席部分が通路より一段高い場所にあり、これもまた車窓を楽しむことができるポイントのひとつとなっています。

座席自体は普通車全車両共通の2列+2列のリクライニングシートとなっており、長い乗車時間も快適に過ごすことができます。

 

 

車内設備ですが、各車両の車端上部には次の停車駅や現在時刻などを案内するLED案内表示器があります。

トイレ洗面所は主な車両の車端部にあります。扉のある位置とは異なり、客室の端に設けられています。

特急にちりんシーガイアでは車内販売の営業は全区間で行われていません。途中駅の停車時間も短くなっていますので、乗車前に買い物等を済ませておかないと長い所要時間の間、食事等を確保することが全くできませんのでご注意ください。

車内には一ヶ所、飲み物の自動販売機が設置されています。

 

 

今回は実際に宮崎空港から博多までにちりんシーガイア20号に乗車しましたので、車窓のポイントなどを紹介していきましょう。

宮崎空港駅を出た列車は宮崎空港線、日南線を経由して南宮崎へと走り、南宮崎からは小倉までの間、日豊本線を走ります。

にちりんシーガイア号は特急列車ですが、宮崎空港~宮崎の間は普通乗車券のみで乗車することができます。青春18きっぷでも乗車することができますので、僅か15~20分程度の所要時間ではありますが、宮崎空港~宮崎間をプチ乗車するのも楽しいと思います。

なお、宮崎から先の小倉、博多方面の区間へ乗車する際は乗車券と特急券が必要になりますので、普通乗車券のみで利用したい方は南宮崎か宮崎で必ず降車するようにしてください。

 

 

宮崎から先は特急列車としての本領を発揮し、駅を多く通過しながら高速で運転します。

当初は見えなかった日向灘も北上していくにつれて車窓から見られるようになります。途中にトンネルや木々が生い茂る区間もありますが、合間から見ることができる日向灘を見逃すことなく楽しみましょう。

日向市駅の少し手前ではソーラーパネルが乗った高架線としばらく並行する所があります。この高架線はかつてリニアモーターカーの試験線として使用されていた模様で、試験終了後は廃線となり、高架がそのままソーラー発電施設として有効活用されています。

 

 

日向市より先も美しい日向灘の景色をしばらく眺めながら北上し、延岡駅に到着します。

延岡から先、佐伯までの区間は利用者が著しく少ない山間部となり、普通列車がほとんど運行されていないことで有名です。

 

 

延岡からは海沿いからは離れ、山間部へと入っていきます。この区間は宗太郎越えと呼ばれる峠越えの区間となっており、カーブも多いため特急列車もとてもゆっくりとした速度で運行します。

日豊本線は大分より南側の区間はほとんどが単線となっているため、途中の駅で列車同士の交換待ちが行われることが多くあります。

 

 

宗太郎駅を通過して下り坂を走りすぎると平地の区間となり、海沿いへと戻ってきます。

佐伯駅から先は普通列車の本数も増えるため、途中ですれ違う列車も増えてきます。普通列車は待たせてこちらが通過していくケースが多いですが、時より反対の列車が来ていないときには一旦停車して交換待ちを行います。

 

 

大分から先は特急ソニックも運行されており、特急列車が毎時2本程度走る区間となるため複線となっています。

にちりんシーガイアは車両が古いため振り子式の機能等はなく、ソニックほど速く走ることはできませんが、にちりんシーガイア20号は大分から小倉までの停車駅を別府、中津、行橋だけに絞っており、できる限り短い所要時間で走れるように考慮されています。

今回乗車したにちりんシーガイア20号では、日が長い時間であれば大分~別府間でも海を眺めることができました。別府から先は完全に日没となり、車窓は真っ暗になってしまいます。大分から先は前面の遮光カーテンも閉じられ、運転席側の座席では前面展望はできなくなります。

 

 

小倉では列車の進行方向が逆向きとなり、5号車B室は一番後方となります。

座席についてはJR九州では進行方向に転換して利用するようにアナウンスがされており、多くの乗客が座席の向きを自分で変えていきます。

座席の通路側足元にあるペダルを踏んで座席を押すと座席が進行方向に回転しますので、回りの乗客に注意しながら自分自身で座席を回して利用してください。

にちりんシーガイア20号は小倉からは黒崎、折尾、香椎と停車し、短距離で利用する乗客を新たに乗せて終点の博多へと向かいます。

 

 

そして列車は1分の遅れもなく終点の博多駅に到着し、宮崎空港駅からの5時間40分の長旅は終了となります。

車窓の変化なども大きく、ひとつの物語のような長い列車の旅はこれで終了となります。

 

最後になりますが、特急にちりんシーガイアを利用するのにお得な方法について紹介します。

博多~宮崎間は特急自由席利用時の通常の値段は合計9050円です。

九州ネットきっぷを利用すると、博多~宮崎間の特急指定席が5760円で利用可能です。九州ネットきっぷはJR九州の公式予約サイト「JR九州インターネット列車予約」にて乗車列車の発車6分前まで発売し(クレジットカード決済の場合)、予約してしまえば乗車前までにきっぷを受け取れば利用できますのでとても便利です。

クレジットカード決済のほか、コンビニ等やJR九州の駅での支払いもできますが、この場合は支払期限がありますのでご注意ください。

九州ネットきっぷには同額で自由席用もありますので、783系の5号車B室を利用したい場合は自由席用を購入すれば利用できます。

このほか、駅で直接購入できる2枚綴りの2枚きっぷは博多~宮崎間の特急指定席用が11520円で発売されています。

また、みんなの九州きっぷの全九州版でもにちりんシーガイアの自由席が利用できます。九州を一周する旅行などでぜひ利用してみてはいかがでしょうか。

 

高速バスよりも時間はかかりますが、車窓の変化が大きく、とても充実した旅の楽しめる特急にちりんシーガイアでした。こんなに長い時間、特急列車に乗れる所は日本国内では本当に少なくなってきました。ぜひお得なきっぷなどを利用してにちりんシーガイアの旅を楽しんでみてください。

 

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