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『リモート・ボナール』浴槽にかがむ裸婦

2020-11-11 00:58:00 | DQX リモート・ボナール

「次のシーンは二頭の牛と農家‥‥‥」

≪二頭の牛と農家・ボナール≫

「晩年のボナールはパリをはじめ、都会生活のわずらしさをきらい、カンヌ近くのル・カンネに住み。地味な生活と地中海の明るさを好んだ。この作品など、その地方の農民の生活を描いたもの。散歩などの途次、ふと見かけたらしい風物を記憶して、アトリエで描いている。他人の幸福を乱すまいとする心ずかいがうかがえないだろうか。それに鬼滅の牛と農家。いや、鬼滅の農家」

「鬼滅の農家?」

「襲いかかる牛たちとの格闘で‥‥‥」

「もういいです」

「おもしろそうじゃない」

「いや、次はおいらが撮るよ」

「その顔でですか?」

「バーカ」

「浴槽にかがむ裸婦?」

「うん。ちょっとバランスがくずれれば倒れるような裸体姿勢であり、あやうくバランスをとっている。その一瞬をとらえる。そのあたりはドガの影響もあるかもしれない」

「ドガ?」

≪たらい・ドガ 1886年≫

「ドガのたらい。ドガの場合は普通の意味で、その一瞬を意識的にとらえてるが、ボナールの場合、この危険な平衛感覚はもっと直感的で楽しげ」

「いい?」

「あ、うん……」

「ボナールの妻、マルトはとにかくお風呂が好きで、一日に何度もお風呂に入るので有名なのさ」

「ふーん」

「そのマルトを描いた絵画がボナールの代表作と言っても過言ではない。それは僕ときみとで描きたいんだ」

「そこに、かがんでくれないか」

「一見意識的には見えないが、識閾(しきいき)下の意識が自発的に動いてるように」

「点描主義に似た筆やアラベスク模様については、別に述べるとして」

「ドガは線によるデシナトゥールであり」

「ボナールは色彩の論理を再発見した画家である」

≪浴槽にかがむ裸婦・ボナール≫

「ドガの色彩にはいろいろの意味でかたさがあるのにくらべ」

「ボナールの色彩ははるかに柔軟なのさ」

≪浴後・ボナール≫

「おつかれさま」

「ふう‥‥‥」

「‥‥‥」

「あと、ないでしょ?」

「う、うん……」

「ボナールは柔軟なのよねーー」

「はー、はるかに柔軟さ」

『リモート・ボナール』完

 

『リモート・ボナール』まとめ

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