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★科学技術ニュース★NEDOと熊本大学、人の皮膚感覚と同等の性能を有するロボット皮膚センサーを開発

2019-10-16 09:36:26 |    ロボット工学

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、「次世代人工知能・ロボット中核技術開発」に取り組んいるが、今回、NEDOと熊本大学は、人との物理的な接触を伴う作業を行うロボットの安全で快適な動作に必要な、人の皮膚感覚と同等の性能を有するロボット皮膚センサーを開発した。

 同開発では、従来のスプレー噴霧技術を改良して、長時間のスプレー噴霧技術やスプレーガン自動駆動システムを確立し、均一で再現性の良い大面積の圧電膜を成膜することに成功した。

 これにより、さまざまな形状・サイズのロボット表面に圧電感圧センサーをスプレー塗布することにより、皮膚センサーの作製が実現可能となった。

 同センサーの搭載により、人間協働ロボットの安全で快適な動作が可能となることで、社会実装の可能性が高まった。また、この技術を応用して、モバイル機器や日用品、自動車、航空機の翼など、さまざまな形状・サイズの対象表面に圧電感圧センサーをスプレー塗布することにより、表面圧分布や振動の測定、また、作製される圧電膜の耐熱衝撃性を活かし、超高温下であっても特殊形状を対象とした超音波非破壊検査が可能となる。

 今後は、力分布の安定計測に向けて曲面への電極配置手法の確立に取り組み、ロボット皮膚センサーのほか、ボトルなどの把持状態の取得、航空機や自動車の車体表面の風圧分布測定などの用途開発を行っていく。

 また、同事業において、工業的に拡張可能なロボット皮膚センサー実現のための大面積・曲面塗布プロセスが確立され、ゾルゲルスプレー法を多様な用途へ事業化展開するための素子生産技術の目途が立ったことから、熊本大学は、ゾルゲルスプレー法で作製するセンサー(ゾルゲル複合体圧電センサー)の事業化を推進するための大学発ベンチャーである、株式会社CAST(熊本大学発ベンチャー認定)を9月26日に設立した。

 なお、熊本大学CASTは、10月15日から18日まで幕張メッセで開催される「CEATEC 2019」のスタートアップ&ユニバーシティゾーンに出展し、今回の曲面塗布技術を用いたさまざまな形状の圧電デバイスやフレキシブル・薄型圧電センサー、生体の心拍・呼吸に連動した超音波エコー信号の取得、耐超高温超音波トランスデューサー(変換器)などのサンプル展示を行う。

 


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