★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇シャルル:ミュンシュ指揮ボストン響のサン=サーンス:交響曲第3番「オルガン付き」

2020-09-24 09:35:45 | 交響曲

サン=サーンス:交響曲第3番「オルガン付き」

指揮:シャルル:ミュンシュ

管弦楽:ボストン交響楽団

オルガン:ベルイ・ザムコヒアン

LP:RVC RGC‐1065

 サン=サーンス:交響曲第3番「オルガン付き」は、ベルリオーズ:幻想交響曲やフランク:交響曲などと並び、フランス系の作曲者の手による交響曲としてし、わが国でも人気が高い作品である。全部で2楽章という交響曲としては特異な形式によっているが、それぞれの楽章が2つの部分に分かれているので、全部で4つの楽章の通常の交響曲と変わらないのでは、と誰もが考えるが、サン=サーンスがリストとの交友を深め、この曲もリストに献呈したことなどを考えると、ドイツ・オーストリア系の交響曲へ対する対抗心を感ぜざるを得ない。この曲には、サン=サーンスの特徴が全て盛り込まれている言ってもいいだろう。循環形式による輝かしい管弦楽技法、すこしの曖昧さのない曲の展開、親しみやすいメロディー、どれをとっても一流の仕上がりを見せている。そして、この曲の楽器編成に特徴があり、パイプオルガン、ピアノ、トライアングル、シンバル、大太鼓などが、通常の管弦楽の中で一際活躍し、大きな効果を発揮する。このLPレコードでは、フランス出身の巨匠シャルル:ミュンシュ(1891年ー1968年)がボストン交響楽団を指揮しており、現在でも高い評価が寄せられている名盤である。シャルル・ミュンシュは、当初ヴァイオリンを学び、1926年にライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の奏者となり、コンサートマスターを務めた後、1929年にパリで指揮者としてデビュー。1937年にパリ音楽院管弦楽団の指揮者となった後、1949年にボストン交響楽団の常任指揮者に就任、1962年までその座にあった。このLPレコードでのシャルル・ミュンシュ指揮ボストン交響楽団の演奏は、細部まで目の行き届いたきめの細かさに加え(第1楽章第2部)、一方ではダイナミックな表現力が冴えわたり(第2楽章第1部)、このコンビの最良の成果をリスナーに届けてくれる。全体に躍動感が漲り、今そこに音楽が出来上がったような新鮮さが何とも言えずに心地よい。ミュンシュの指揮は、オーケストラを一方的に引っ張るのではなく、楽団員の自発的な力を最大限に発揮させることに力点を置いた演奏だ。それだけ、オーケストラが本来持つ緊張感がホール全体を覆い尽くしているような印象を強く受ける。ミュンシュがその昔、ゲヴァントハウス管弦楽団でコンサートマスターを務めていた時の指揮者は、フルトヴェングラーやワルターであったそうであるから、これらの巨匠から指揮の真髄を直接肌で吸収した成果が、この録音で存分に発揮されていると言ってもいいのかもしれない。(LPC)


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