★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇カラヤン指揮ベルリン・フィルのバレエ組曲「コッペリア」/「レ・シルフィード」

2020-04-02 09:40:47 | 管弦楽曲

ドリーブ:バレエ組曲「コッペリア」
ショパン(ダグラス編曲):バレエ組曲「レ・シルフィード」

指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン

管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

LP:ポリドール(ドイツ・グラモフォン) 2535 189
 
 バレエ「コッペリア」は、ホフマンの短編小説「眠りの精」を基にドリーブが作曲し、1870年5月25日にパリのオペラ座で初演された。舞台となるのは、ハンガリーとポーランドの国境地帯にあるガリヴァという街。人形つくりのコッペリウスは、コッペリアと名付けた若い娘の人形をつくって2階の窓際に置いておいたことから物語が始まる。最後には、コッペリアの身代わりになったスワニルダが人形つくりの仕事部屋をめちゃくちゃにして、恋人のフランツと逃げて行く、というのが筋書き。ドリーブ(1836年―1891年)は、バレエ音楽や歌劇で知られるフランスの作曲家で“フランス・バレエ音楽の父”とも呼ばれている。ドリーブ:バレエ組曲「コッペリア」は、全編が美しいメロディーで覆い尽くされた実に楽しい管弦楽組曲で、「前奏曲とマズルカ」「情景とスワニルダの円舞曲」「チャルダッシュ」「情景と人形の円舞曲」「バラードとスラヴ民謡の変奏曲」からなる。難しい理屈などはこの際は棚上げして、リスナーは、ただただドリーブの音楽のマジックの虜になる。一方、ショパン(ダグラス編曲):バレエ組曲「レ・シルフィード」は、もともとグラズーノフがショパンのピアノ曲を基に管弦楽に編曲した「ショピニアーナ」が下敷きとなり、これに数人の作曲家が徐々に手を加え(編曲)、「レ・シルフィード」という名称で上演され、人気バレエとして定着することになる。ここでは、ロイ・ダグラス(1907年―2015年)による編曲が使われている。「前奏曲(原曲:作品27の7の前奏曲)」「円舞曲(作品70の1の円舞曲)」「マズルカ(作品33の2のマズルカ)」「マズルカ(作品67の3のマズルカ)」「前奏曲(作品27の7の前奏曲)」「円舞曲(作品64の2の円舞曲)」「華麗なる円舞曲(作品18の1)」からなっている。管弦楽演奏で原曲であるショパンのピアノ曲を聴くことは、ショパンの別の顔を見るようで誠に興味が尽きない。この曲も、ショパンの美しくも華麗なメロディーが凝縮され、聴いているだけで夢心地に陥ること請け合いの曲である。このバレエ組曲を代表する2曲を演奏しているのが、ヘルベルト・フォン・カラヤン(1908年―1989年)指揮ベルリン・フィルである。このLPレコードを聴いてみると、曲の組み立て方が、細部にわたって実に緻密なことに驚かされる。カラヤンが思い描く音が、ベルリン・フィルに全て吸収され、混じりけのないピュアな音として再現されてるのだ。このLPレコードは“帝王カラヤン”の面目躍如そのものの録音である。(LPC)


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