★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシックLP◇シフラのリスト:ピアノ協奏曲第1番/第2番

2024-02-26 09:37:22 | 協奏曲(ピアノ)

 

リスト:ピアノ協奏曲第1番/第2番

ピアノ:ジョルジ・シフラ

指揮:アンドレ・ヴァンデルノート

管弦楽:フィルハーモニア管弦楽団

LP:東芝EMI(SERAPHIM) EAC‐30040

 リストは、ピアノ協奏曲を2曲遺しているが、このLPレコードにはこれら2曲が、“リストの再来”と当時言われた伝説のピアニストのジョルジ・シフラ(1921年―1994年)によって録音されている。第1番と第2番とは、共に技巧的なピアノ協奏曲ではあるが、現在では圧倒的に第1番の人気が高く、第2番が演奏される機会は少ない。第1番は、当時ピアニストとしての名声が高かったリストが1830年頃から作曲を開始し、ワイマールに定住し、作曲に専念するようになった1849年に完成した。初演は、1852年、ワイマールの宮廷演奏会において、ベルリオーズの指揮、リスト自身のピアノで行われたというから、当時さぞや話題を集めたであろうことが想像される。最終的に現在の曲となったのは1857年という。この曲は4つの楽章からなるが、全体は途切れることなく演奏される。第2番は、1839年に作曲されたが、その後何回かの改訂が行われ、一応の完成をみたのが1849年。初演は1857年にワイマールにおいて、リストの指揮、弟子のハンス・フォン・ブロンサントのピアノで行われた。しかし、その後も改訂が行われ、現在の形になったのは1863年という。全体は6つの部分からなるが、第1番と同様、全体は途切れることなく演奏される。今回、改めて第2番を聴いたが、なかなか技巧的な曲であり、完成度も高く、もっと演奏されてしかるべき協奏曲だと私は思うのだが・・・。このLPレコードでピアノ独奏をしているのが、超絶技巧で一際名高い、ハンガリー出身のピアニストのジョルジュ・シフラである。シフラは、ブダペストにてロマの家系に生まれる。要するにシフラには、もともとジプシーの血が流れていたのである。このLPレコードでも、シフラの持ち味が最大限に発揮されており、第1番の演奏では、ゆくりとした独特のテンポで、まるでオペラ歌手がアリアを歌うが如く、ピアノを弾いているのが聴き取れる。シフラの演奏には、高い技巧の奥に、常に何かほの暗い情念みたいものが、纏わりついているかのような印象を受ける。このことがジプシー精神そのものであろうことに、このLPレコードでリストの2曲の協奏曲を聴き終わったリスナーは、自然と納得させられるに違いない。指揮をしているのは、ベルギー、ブリュッセル出身のアンドレ・ヴァンデルノート(1927年―1991年)。1960年にモネ劇場の音楽監督になり、1974年からベルギー国立管弦楽団の音楽監督を務めた。(LPC)


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