★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇ロストロポーヴィッチのショパン&ショスタコーヴィッチ:チェロソナタ(ライヴ録音盤)

2020-03-23 09:32:49 | 室内楽曲(チェロ)

ショパン:チェロソナタ
ショスタコーヴィッチ:チェロソナタ

チェロ:ムスティスラフ・ロストロポーヴィッチ

ピアノ:アレクサンダー・デデューヒン

発売:1977年4月

LP:日本コロムビア OZ‐7530‐BS(ライヴ録音盤)
 
 このLPレコードは、チェロの巨匠ロストロポーヴィッチ(1927年―2007年)が残したライヴ録音という点で貴重な記録である。ロストロポーヴィッチは、「生の演奏でその真価を発揮するタイプの演奏家であった」と言われており、このLPレコードの存在価値は大きい。この辺のいきさつについて、このLPレコードのライナーノートで小石忠男氏が次のように書いている。「このレコードは、以上二人(ロストロポーヴィッチとデデューヒン)のコンビによる演奏会の実況録音で、聴衆のノイズや拍手、ちょっとした調弦の音までが収められている。この演奏がどこで収録されたものかはわからないが、ロストロポーヴィッチがデデューヒンと演奏していたのは、1974年の(米国)移住以前と思われるので、この録音も74年よりも前のものと推定される。このうちショスタコーヴィッチのチェロソナタは、かつてソ連で録音された作曲者との共演がレコード化されていたが、ショパンのチェロソナタは、現在までカタログにない」。ムスティスラフ・ロストロポーヴィチはアゼルバイジャン(旧ソビエト連邦)出身のチェリスト・指揮者である。モスクワ音楽院で学び、「全ソビエト音楽コンクール」金賞受賞などの輝かしい受賞歴を持つほか、1951年と1953年に「スターリン賞」を、1963年に「レーニン賞」を、さらに1966年 に「人民芸術家」の称号を受けるなど、旧ソ連における国民的英雄であった。しかし、1970年に 社会主義を批判した作家アレクサンドル・ソルジェニーツィンを擁護したことで旧ソビエト当局から「反体制者」とみなされ、国内での演奏活動の停止および外国での出演契約も破棄されてしまう。これに抗議して、ロストロポーヴィッチは1974年に米国に亡命。これにより一旦は国籍が剥奪されるが、1990年に旧ソ連で16年ぶりに凱旋公演を行い、国籍を回復する。この録音は、今から40年以上前のライヴ録音であるので、決して良い音質とは言えない。2曲の演奏とも実際の演奏会での録音なので、コンサートの緊張感がそのままリスナーに伝わって来る。ここでのロストロポーヴィッチの演奏は、うねるように起伏を大きく取り、しかも、いとも軽々とチェロを弾きこなす。これにより、ショパン:チェロソナタは、深遠さとスケールの大きな曲へと変身を遂げる。そして、ショスタコーヴィッチ:チェロソナタは、細部まで克明に演奏されることにより、その美しさが魔法の如く生み出される。このLPレコードを聴き、ロストロポーヴィッチが不世出のチェリストであったことを再認識させられた。(LPC)


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