★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇ロベール・カザドシュとユージン・オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団のフランク:交響的変奏曲/ダンディ:フランス山人の歌による交響曲

2023-11-20 09:44:16 | 管弦楽曲


フランク:ピアノとオーケストラのための「交響的変奏曲」
ダンディ:ピアノとオーケストラのための「フランス山人の歌による交響曲」

ピアノ:ロベール・カザドシュ

指揮:ユージン・オーマンディ

管弦楽:フィラデルフィア管弦楽団

録音:1959年8月3日

発売:1977年

LP:CBS/SONY 13AC 293

 このLPレコードには、フランスの作曲家のフランクと、その弟子のダンディとがそれぞれ作曲した、ピアノとオーケストラのための作品が2曲収められている。フランク:交響的変奏曲は、全体が3部に分けられるピアノとオーケストラのための変奏曲であるが、通常の変奏曲のように一つのテーマを基に変奏曲が展開されるのではなく、ピアノとオーケストラがそれぞれ異なるテーマの変奏曲を奏でていく。このため通常の変奏曲と思って聴くと面食らうことになる。ピアノが独自のメロディーを弾いていたかと思うと、次の瞬間には、ピアノとオーケストラが調和して、あたかもピアノ協奏曲であるかのような響きを聴かせる。「フランクの最も飾らない、最も禁欲主義的とも言える作品である。ことによるとフランクは自分自身を喜ばせるために、この曲をかいたのではないか」とライナーノートに高橋昭氏が書いているように、フランクの独白のような独特の響きがあり、好き嫌いが分かれる曲ではなかろうか。一方、ダンディ:フランスの山人の歌による交響曲は、3楽章からなる作品で、牧歌的で雄大な風景画を思わせ、誰もが直ぐに好きになれそうな曲。ピアノとオーケストラのための作品であるが、何故か交響曲という名称が付けられている。ダンディが愛したラングドック地方のセヴァンヌの山々を眺め、書き留めた民謡を基につくられた曲であり、「セヴァンヌ交響曲」とも言われることがある。フランクがよく使った循環形式による、愛すべき作品に仕上がっている。フランス出身のロベール・カサドシュ(1899年―1972年)は、このLPレコードで誠実感に溢れた、暖かみのある、透き通った演奏に徹しており、これら2曲の素晴らしさ余すところなくリスナーに届けてくれる。ロベール・カサドシュは、フランス・パリ出身。パリ音楽院でルイ・ディエメに師事。世界各地で頻繁にギャビー夫人と演奏し録音した。1935年からアメリカ音楽院で教鞭を執り、第二次世界大戦中は米国に亡命。戦後は1950年に帰国し、1952年までアメリカ音楽院の院長を務めた。ギャビー夫人と息子ジャンとの共演により、モーツァルトの「2台ピアノのための協奏曲」や「3台ピアノのための協奏曲」を録音している。カザドシュの演奏は、曲に真正面から取り組み、決して誇張せず、知的で洗練された情感で高い評価を得ていた。作曲家としては7曲の交響曲、3曲のピアノ協奏曲、多数の室内楽曲などを遺している。(LPC)


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