だが、無情にも一時間半程度で講演会は終了し、あっという間に新卒くんは担当クラスの最後尾について行ってしまった。

 
私はクラスがない教員のため、そのままフラフラと職員室に戻った。渡り廊下を歩いている最中ずっと、彼のスーツの布から浮き出る肩甲骨が焼き付いて離れなかった。
 
夢心地のまま自席で、こんな感覚は何年ぶりだろうとぼんやり考えたが、最後にここまでの恋に落ちたのは大学3年生だということを思い出した。
つまり、15年前である。詳細は省くが、その人は現在の夫ではない。夫のことは穏やかに好きになり、穏やかに結婚した。子どもはいないが、それなりに幸せであった。
 
現在自分の身に起きているこの愉悦と幸福の裏にある小さな染みのような黒い感情に、必死に気づかないようにしていた。
 

 

 

 

 

 

 

 

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