なんかいろいろあったようなので、
ここ何年か幾度も聴かされてきた
「フェイクニュース!!」という叫びも
聴けなくなっていくんでしょうか。
――いえ、
聴きたいわけじゃないですけどね。

ただ、
ある意味において
だいたいすべてのニュースは
フェイクであるはずだし、
逆に、
フェイクでないニュースというのは
存在し得ないようにも思えます。

だって、
どのような事象であっても
それを完全な形で、
一片の漏れもなく、
詳らかに他者へ伝えるなんてことは
出来ないはず――ですもんね。

たとえば、

《有楽町線に乗ってたら、
 飯田橋から市ヶ谷の間で
 五十代であろう禿頭の男性が
 突然”かけ算九九”の一の段から
 順に大声で喚きはじめた》

という『事件』に遭遇したとして、
それを他者に伝えるとします。

まあ、
優秀な記者とかであれば、
《五十代であろう禿頭の男性》を
埼玉県在住の篠原孝之さん(53)、
日本橋の衣料卸し会社の経理部長で
禿げは遺伝と考えている――と
調べられるかもしれません。

インタビューして
「ああ、かけ算九九を叫んだ件?
 ありゃ、寝ぼけててさ。
 それでやったことだよ」
というのも聴けるでしょう。

だけど、
それはあくまでも
『本人の表明』
でしかないですもんね。

防犯カメラなんかがあれば
一連の事実を切り取った
その一部を映すことも可能でしょう。
ただ、
それこそ本当のことの一部が
見られるだけですものね。

まあ、
フェイクニュースというのは
リアルニュースがある前提で
叫ばれるものなのでしょうが、
どうも僕には
ガチでリアルなニュースなんて
ないように思えるんですよね。

 


ところで、
話をがらっと変えますが
こういう方たち
 


彼らは
内なるタナトスに
導かれてるんですかね?

ま、しかし、
これも
本当のことの一部なんでしょう。

そして、
彼らを含めたすべての人々が
(もちろん僕も含めて)、
こうやって『本人の表明』を
してるってわけです。

 

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