もしも私が
タイムマシンを使うことが出来たとしたら
あなたと過ごす最期の朝を
何度も何度も訪れるだろう
何度も何度も練習して
最期のその日が訪れたとき
完璧なものに仕上げるだろう
そんな私を
あなたはきっと全てわかっていて
そしてただ一言
こう言うだろう
「大丈夫」と。
何が大丈夫なのかと
私はきっとあなたに問いつめるけれど
あなたは少し呆れたような
少し悟ったような口調で
相変わらず
あなたの前では限りなく幼く見られたい
そんな老いた私の目を見て
きっとこう言う
「終わりがくるのは普通のことだよ。」
本当はタイムマシンなんて存在しない
そんなこの世界で
あなたはきっと誰よりも精一杯に生きて
精一杯に生きるあなただからこそ
私はその言葉のあっけなさを
彼の「精一杯」と理解して
あっけらかんとした態度の彼に
ほんの少し安心し
朝の紅茶を入れるでしょう
いつか必ずやって来る
2人で過ごす最後の日
その日がいつになるか分からないけれど
きっとあなたのことだから
いざその日になったとき
驚くほどの冷静さで
意外なほどの呆気なさで
私はそんなあなたに
冷静にツッコミを入れるのだろう
その日はいつか分からないけれど
きっと私たち2人は
ずっと死ぬまでそんな感じなのだろう
#2人で過ごす最後の日