第235回 「マンションは値下がりするのが自然だが・・・」

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このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論を展開しております。

◆◆◆ マンションセミナー開催のお知らせ ◆◆◆

開催日:平成30年3月1日(日)15時より

講演テーマ:「高値のマンション。それでも買いますか?」

 副題(1)首都圏マンション市場の現状分析と将来展望

2020年のマンション価格・新築供給の見通し 

※新築か中古か?

(2)これからのマンション選び、その要諦

(問い合わせ先:03-3520-9993)

https://wangan-mansion.jp/column/archives/921

今日は「基本のき」についてのお話しですが、読者の中にはきっと「はっ」とする人も少なくないはずです。なぜなら、先日お会いした人が「錯覚していました」と語ったので、これはやはり重要。そう思って本稿を書くことにしたのです。前回の記事と合わせてお読みいただければ幸甚です。

 

「マンションは値上がりするものだ」、「中古マンションが値下がりするのが当然だ」、「マンションの価格は物件次第」・・・ある人に3つの選択肢を示したところ、「値上がりするものではないのですか?」と問い返されました。

 

●マンションは必ず値上がりすると信じてしまいそうな昨今

新築マンションがバカ高い、そう感じている人が多いことと思います。

その一方で「新築並みに高い中古に驚きます」という声が届きます。

 

そう言えば、バブル期のことですが、中古マンションが転売の繰り返しで信じられないほどの高値になってしまったときがありました。

 

「今は、その一歩手前なのか」、そんな疑いを抱く人もあります。バブル当時とは背景は違うものの、データを見る限り、危険な兆しがあるとも言えます。

 

ただ、違うのは金融機関が加担していないことです。不動産は「買うから上がる。上がるから買う」の繰り返しから、誰も手が届かないレベルまで高騰してしまって、気付いたときには手遅れになってしまったことがありました。

 

永遠の右肩上がりを日本国民が信じてしまったことでバブルは起きたのです。これを「楽観の錯誤」と呼びました。 やがて、膨らみ過ぎた風船ははじけ飛んでしまったのです。

 

異常高騰に警鐘を鳴らす人が現れ、それにマスコミが加担して、やがて価格急騰を封じ込めようという動きが現れ、ほどなくバブルははじけ飛んでしまいました。

 

マンション転がしのような投機的な動きはないのでしょうか?今はないと信じたいと思いますが、不動産売買に不可欠なのは「金融」です。 優良な貸出先のない金融機関は、不動産融資をしたがるので、兆候が見えると語る知人もいます。

 

バブル崩壊後の痛みを知る人が金融機関の中にいて、目を光らせているうちは大丈夫という人もある一方、それを超えて不動産融資に走る金融機関もきっと現れると語る友人もあります。

 

果たして、今後どうなるのか、注意深く市況を見ておかなければならないと感じています。筆者にご相談して下さる方の中にも「マンションは値上がりし続けるものだ」と全く疑わない人もいるからです。

 

●古くなったマンションはなぜ値上がりするの?

投機的な市場の動きがなくでも、中古マンションの価格が上がってしまうことがあります。古いマンションがなぜ値上がりするのでしょうか?

 

新築マンションは、地価の上昇によって仕入れ値が上がり、建築費の上昇がそこに加わって2大原価のどちらも、あるいはどちらかが上昇するために値上げせざるを得ないのですが、中古は購入原価とは無縁です。新築価格の動きに連動するのです。

 

今回の上昇局面では、はじめ建築費があがり、遅れて地価の上昇が加わったのですが、不動産経済研究所の継続的調査によれば、2011年に100(坪単価@268万円)だった新築マンション(東京23区)は、2019年に138(同@371万円)にもなったのです。

 

5000万円で買えたマンションは、7年経って6900万円も出さないと買えないことになってしまったというわけです。

 

新築が上がれば手が出ない人が必然的に増えます。買えないなら仕方ない「中古でも」と考えます。そうして中古の人気が上がり、中古マンションの価格も上がって行くのです。

 

新築マンションの価格の動向をグラフにし、その上に中古価格の推移を重ねると、その上昇・下落のカーブは見事なまでに重なります。

 

中古マンションは新築に比べれば安いのは当然なのですが、物件個々に見て行くと大きな開きとなっています。

 

築年数が長いものは平均的に新築対比で大幅に安くなり、比較的新しい物件は新築並みの価格で取引されたりしますが、注目点は近隣の新築より高い中古取引が出て来ることです。

 

統計データというものは、特殊な少数事例を排除して取り扱うことにより、トレンドやサイクルを見るのが定石です。特殊な少数データによって傾向判断を誤ることがないようにするためです。

 

その意味から、中古マンションの統計データも「古いものほど安くなる」とか、「駅から遠いほど駅近マンションより安い」といった傾向値を把握することに役立っています。

 

しかし、統計値とは裏腹の値動きになってしまうマンションも中には当然あるということが分かっています。統計では、築30年マンションは新築相場の60%相当というデータがあっても、そんなデータをせせら笑うように高値で取引されている中古マンションもありますし、反対に新築マンションの半値でも買い手が着かないマンションもあるのです。

 

つまり、中古マンションの価格はオークションで決まるようなもので、買いたい人があれば近隣の新築マンション以上の高値でも売買が成立してしまうのです。 当然、新築以上の高値になる例もあります。それを聞いて「信じられない」とか「そんなのいやだ」とかおっしゃる人に遭遇しますが、市場は「当然」と受け止めています。

 

「その時の新築物件より、この中古の方が価値はある。だから、この値でもいい」と購入を決めている買い手さんが多数あるのです。

 

「中古は新築より劣るのに何故?」と思った人もあるかもしれませんが、新築より価値があるから新築より高いのです。 特定の買い手だけの思いこみなのではないかと疑う人もあるでしょうが、売買履歴を見ると「そうではない」ことが分かります。

 

「こんな古いマンションなのになぜ?」と感じる人もあるでしょうが、見学してみると「さもありなん」と分かるはずです。

 

●新築はロクなものがないと嘆く今日この頃

筆者は何年か前から「良いマンションがないなあ」と感じて来ました。 まずまずの物件はありますが、信じがたいほど高値だからです。

 

良い物件だから高いのだと売り手(分譲業者)の営業マンは語りますが、「それが現実なのだ」と思うものの、「市場で通用するのかなあ」と訝しく思ったことが何度もありました。

 

物件がそもそも少ないから、高値でも時間が経てば手の届く買い手が現れて、ほどなく完売できてしまうのでしょう。 あまりにも高くて販売が進まない物件は、途中から奥の手(値引き)を繰り出して販売促進を図り、苦労しながらも完売にこぎつけたりもします。

 

さて、高値で立地も建物プランも平凡なものばかりと知った買い手は、中古探しを始めます。

 

優良な中古は高いから、それだったら新築がいいと再び新築を探しに戻り、「行きつ戻りつ」の買い手さんも多く、今日も右往左往している人は少なくないと感じています。

 

筆者は「新築を諦めろとは言いませんが、期待はできないですよ」と言うのが常になっています。「新築マンションは価格を中々公開しませんし、モデルルームに出かけないと教えてくれないケースも多い」のが現実で、結局長い時間待たされてしまいます。

 

その間に通り過ぎて行った優良中古はいったい何件あったことか。 そうこうしているうちに、発売される新築も異様に高いと知り、再び中古を探し始めたというご相談者に今日もお会いしました。

 

尋ねてみると、新築で良い物件はなかったという述懐を筆者は何人から聞いたことか。 「良さそうな中古も見たが、まごまごしているうちに売れてしまった」と後悔する人もありました。

 

新築は待ってくれるが、中古はモタモタしていられない。だけど、自分たちは中古を短時日で決めることはできない。 そう言って嘆くご夫婦とも数えきれないほど会いました。

 

新築はモデルルームに感動して買いたくなるけど、買いたい部屋は高くて手が出ない。予算が大丈夫な部屋は 1階だけだった。 日当たりが悪いし、防犯面でも心配が残って決断できなかった。まだ売れていないようなので、買おうと思うがどうだろうか?そんなご相談もありました。

 

新築はいいが、買える部屋は問題が必ずある。 たまに、買える部屋で気に入った物件もあったが、結局は抽選で逃してしまった。こんな嘆き節も多いのです。

 

●値下がりしても売却で多額のキャッシュが残るからくり

ところで、「新築にしろ、中古にしろ、買って大丈夫な好立地の好物件は手が出ない。そこで条件を妥協して幾分中途半端な物件を選んだ場合はどうなるのか?」こんな質問をもらったことがありました。

 

筆者はこう答えました。 マンションの価格を左右する要素はいくつかありますが、妥協してならないのは「立地条件だ」と答えることにしています。

 

立地条件と言っても漠然としていますし、買い手の勤務先の関係をはじめ、生活条件、子供のことなど各家庭の事情は様々です。ここで十把一絡げに語ることはできません。

 

都心に近いエリアでと条件付きで尋ねて来られる方もいらっしゃいますが、生活条件は単純ではありません。 しかも、何年か経てば条件は必ず変化します。「とりあえず住めればいい」などといった乱暴な買い方はできません。

 

しかし、先のことなど誰にも分らないはずですが、どう変化しても安全・安心な買い方、選び方はあるはずです。

 

筆者は、何度もマンションを買い換えましたが、計画的な買い方とは言えないのです。必要に応じて、都度も買ったり売ったりを繰り返してきました。損もしました。そんな経験を今日もご相談者にお話ししました。

 

「あなたの場合の最善の選択肢はこれだ」とお伝えするには、細かなご家庭の事情をお聞きすることが必須だということを改めて感じました。

 

ところで、買ったマンションが値下がりしてもキャッシュが残る条件を考えたことはあるでしょうか?分かりやく言い直しましょう。「頭金ゼロで買ったマンションの10年後、それが何割値下がりしても容認できるかと考えてみたことはありますか?

 

今日もあるご相談者に聞いてみました。 その方は20%と答えたのです。そうです。金利よっては、もう少し余裕があります。1%の金利なら、35年返済でも10年経つと25%減るのです。

今の金利水準下では、毎月のローン返済は金利に消えるのではなく、元本返済に回って行く比率が高いので驚くほど速いスピードで減って行きます。

 

選んだ物件が10年後に値下がりせずに売れたら、頭金ゼロで買った場合でも売れたときの手取り金額は2割以上も残ります。7000万円のマンションを買ったとして、仲介手数料を引いても1200万円を手にすることが可能なのです。

 

言うまでもなく、選んだ物件次第では、10%値下がり、または20%の値下がりもありますし、下手な選択をしたら、30%の値下がりになる懸念もありますが、そうなるのは条件の悪すぎる物件だからと言っておきましょう。

 

まあ、10%程度の値下がり覚悟の物件なら、その選択は大いに結構と言えます。最高の物件を買える人は「ごく一部の特権階級」だと思いましょう。 そう考えられる人なら選択肢は豊富に存在するはずです。

 

●値下がりしにくいマンションの条件

本日の最後に、値下がりしにくいマンションの共通点をひとつだけ言っておきましょう。

あくまで東京都の場合ですが、「駅に近いことです。駅に近いとは何分までか、ですが、5分をメドにしたいですね。10分は遠いです」。

 

無論、駅もいろいろです。人気の世田谷区などでも、魅力のない駅はあるのです。ここで具体的な駅名までは言えませんが、「大きな駅でないなら駅前、大きな駅なら徒歩7分以内」を目安にしたいですね。

 

・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室までお気軽にどうぞ。

 

 

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