この憲法では「地位」という言葉が第1条と103条の2カ所で使われている。第1条では天皇と国民を区別する言葉として、103条では公務員グループ(国務大臣、国会議員、裁判官、その他の公務員)をその他の国民と区別する言葉として使われていると思う。
 「99条:天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と言う。天皇及び公務員グループはこの憲法を尊重、擁護する義務があるがその他の国民にはその必要はないとはどういうことだろう。この憲法では、その他の国民に関係する部分は第2章「戦争の放棄」、第8章「地方自治」は別にして第3章「国民の権利及び義務」が主でありその他の章は天皇と公務員グループの職務に係わることであるからであろう。
 この憲法において天皇が日本国民になるときがある。「96条2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。」と言う。天皇に国民の名があるとは知らなかったが、それにしてもなぜ国民の名で公布する必要があるのだろうか。