以前にも書いたことがあったかも知れないが、周辺国と比べてもタイの地方都市の朝は早いと思う。空も暗いうちから、大通りには車が走り出し、大きな市場や寺院の門前町などには朝市が立つ。托鉢の僧侶たちと彼らにお布施をするために道端で待つ人々もたくさん見かける。
タイの地方都市の駅は結構ひっそりとしている。タイ国鉄は基本的に通勤通学などに使うコミュータートレインではなく、長距離輸送専門であるからだ。数少ない列車の発着時だけは喧騒に包まれるが、それが収まるとすぐに静かな駅に戻る。
私は旅先では国内外問わず、しばしば早朝散歩をする。人が少ない中ゆっくり歩けたり、昼間とは違った表情を見せたりする。ハジャイ駅も、なんだか絵本の世界に迷い込んだような、不思議な光景だった。完全に明るくなる前の時間帯だけのものだ。
そもそもタイの地方都市の夜は早い。無理に夜遊びスポットを探して飲み歩くよりは、早めに寝て朝に街歩きをするほうが、放浪旅行者としてはお勧めだと思う。もちろん旅に求めるものは人それぞれであるので一概には言えないが、街の色々な表情を見るのが楽しいと思うような人はきっと早寝早起きが良い。健康的でもあるし、旅の時間の使い方がかなり楽になる。
【写真】2018年11月
【文章】2019年8月