№209.R1.8.19投稿
「 被災地では貴重な話ではないのです 」
 
語り部で出会った方々に
「 貴重なお話をありがとうございました 」と
よく大勢の方々から言われます
 
被災の経験がない地区の方々や
身近に被災した人がいない場合
確かに私の震災の体験談は
とても珍しいケース・悲痛な話・苦しい話として 
聴いてくださった方の心に映るのでしょう
 
お話をさせていただくとき
私の心は 震災当時の土を踏んでいます
大きな揺れと轟音に怯え
津波の異臭を嗅ぎ
家族と被災した後の生活の中にいます
 
そして
借り上げ住宅で避難生活が始まり
毎日 毎日 それこそひっきりなしに
お葬式が行われたあの頃の光景を
立ち止まって眺めています
 
私の話は
被災した大勢の人たちの中の
たった 一人分です
 
そして 皆さんがおっしゃるような
特段に珍しいケースでも 
特別に悲痛であったり・苦しい話ではないのです
大勢の中のたった一人分の体験談です
 
こうも言われます
「 後世のために語り続けてくださいね 」
 
私は 誰に言われなくても
話す必要がなくなったと感じるまでは
話すことになるのです
それは自分が心に決めたことで
被災後の人生に向き合い生きるために
自分自身の心が語ることが必要だと
欲するからです
 
被災した体験を話す人間は
自分の人生が終わったら
もう直にお話しすることはできません
 
いつか必ず
被災経験のない人が
自分の言葉で伝える必要が出てくるのです
 
そのことをするためには
今のうちから
被災体験のない人でも
災害の現実を把握し伝える必要があるのです 
 
語り部は 
被災した人間だけではないのです

皆さんは
被災経験を語ることができなくていいのです
 
被災して愛する人を亡くした人から
何を聞いたかを
あなたの大切な人に
貴方の心からの言葉で話してください
二度と会えなくなったら嫌だと訴えてください
 
「 後世のために 」
そんな漠然とした大きなことの前に
 
今 あなたのそばにいる
かけがえのない人の明日のために
その人と生きる自分のために
 
皆さんが 
大切な人に命を伝える語り部になってください
 
喪いたくない人に伝える前に 
災害に見舞われてしまう後悔だけは
決して 決して しないでください
 

出来ましたら
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               #語り部佐藤麻紀