ダメ恋愛。 ~下手な鉄砲、数打ちゃ当たる~

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バンカーばかりのダメ恋愛(実話)を、小説形式にて書いてます。※感想コメントはご自由に! 辛口な批評もOKです☆

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ウィーン

ファミレスの自動ドアが、静かに開いた。


「寒っ…‼︎」


外に出た瞬間、たった一言の呟きで、息は白く凍りついた。ふわっ、とした白い空気が、空へと浮かび上がる。


冬の陽は、落ちるのが早い。まだ18時だと言うのに、街はすでに、明かりが灯っている。

薄暗い空からは、小さな粉雪が、チラチラと降っていた。

僕はダッフルコートのポケットに手を突っ込み、トボトボと歩き始めた。


彩乃の家へと。


『あ……』

歩いている途中、ふと足を止めた。中に着ていたシャツのボタンを、一つずつ掛け違えてた事に気がついた。


『まぁ、いいや』

僕は再び、歩き始めた。


こんな所で、シャツを脱ぐ訳にはいかない。

コートを着ているのだから、誰かに見られる訳じゃない。

そもそも、ボタンのかけ違いなんて、気にしない。気にしちゃいけないだ。


僕と彩乃の様に。


『あれ……?』

ずっと引っかかってた言葉が、頭に浮かんだ。


 ”僕と彩乃はずっと仲良し。二人三脚で、どんな困難も乗り越えられる。

 そして、いつかは結婚し、男の子、女の子と二人の子供を授かるんだ。

 最期、二人がジジイ・ババアになっても、同じ道を、一緒に手を繋いで、歩いていけるさ。“


付き合い始めの頃は、そんな妄想ばかり浮かべていた。


しかし、最近は違う。“他人”と付き合う、現実を知ってしまった。


自分とは違う考え、言葉の受け取り方の違い、生活習慣のすり合わせetc…。人と一緒に生きていくのは、こんなにも困難だと言う事に気がついた。


もちろん、幸せな面も多い。会話をすれば楽しいし、身体を重ねて、愛し合う事もある。

けど、その幸せよりも、困難に感じる瞬間の方が、多くなったのだとしたら……‼︎


「寒いっ……」


僕はもう、考えるのを辞めた。辞めてしまいたかった。

空から降り注ぐ、この雪の様に、頭を真っ白にしたかった。


【つづく】


 


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♪ピロピロピロリ~

僕の携帯から着メロが鳴った。彩乃からのメールだ。


『From:彩乃

ネズミーランドのカウントダウンのチケットが取れた!!!!!!!!!!!!!!!!!

やったね!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

一緒に行けるよ☆』


”カウントダウンのチケット“と言うのは、ネズミーランドが毎年行っている、年越しのイベントだ。

毎年多くのファミリーやカップル達が集まり、チケットの争奪戦は、年々倍率が上がっているらしい。

そんなプレミアチケットを、彩乃は入手する事が出来たらしい。


ドラゴンボール級のビックリマークの多さから、その浮かれっぷりがよく分かる。

彩乃はネズミーの大ファンで、身に着けている小物や文房具なども、ネズミーのキャラグッズが多い。


【そう、良かったね】

僕は彩乃に、メールを送信した。


♪ピロピロピロリ~

再び、携帯から着メロが鳴った。彩乃からだ。


『From:彩乃

え? 嬉しくない?』

僕は彼女が何を言いたいのか、よく分からなかった。


【彩乃は、嬉しくないの?】

僕が返信すると、またすぐにメールが来た。


『From:彩乃

嬉しいに決まってるじゃん。何でそんな事を聞くの?』


何で? と言われても。

僕は彩乃のぶしつけなメール内容に、ちょっとイラっとした。


【聞きたいから、質問したんだけど?】

すぐに彩乃から返事が来た。


『From:彩乃

質問しなきゃ分からない? と言うか、あなたは嬉しくないんでしょ』

カチカチカチっ……!!

僕のイライラ度は、携帯のキー操作音に現れていた。


【別にいいじゃん。嬉しいんだけど】

送信すると、またすぐに返事。


『From:彩乃

いいよもう。ばくや、ネズミーに興味ないもんね』


確かにネズミーは嫌いじゃない。けど、彩乃の様に熱狂的なファンでもない。

何とも思っていない”普通“の感覚だ。


【彩乃と行けるから、嬉しいんだけど】


それ以降、彩乃からのメールは途絶えた。

文章で感情を伝えると言うのは、こんなに難しいモノなのか……。


僕はやりきれない気持ちを引きずったまま、ファミレスを後にした。


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彩乃の言葉が引っかかったまま夏が過ぎ、秋を越え、季節は冬になっていた。

 

あれ以来、僕は結婚についての話題を、何も言い出せなかった。

 

 

昔から僕は、逃げ癖がある。

 

嫌な事や苦手な事からは、とことん逃げる。

 

あのまま結婚の話をした所で、何もいい事が無いように感じた。

 

だから、結論から逃げたのだ。

 

×××  ×××  ×××

 

ウィーン

 

店員「いらっしゃいませー。何名様ですか?」

 

ファミレスの自動ドアを開けると、ふてぶてしい態度の店員が、僕の目の前にやってきた。

 

 

僕「一人」

 

店員「一名様ですね。お煙草はお吸いになれれますか?」

 

僕「はい」

 

店員「かしこまりました。こちらへどーぞ」

 

 

店内は、多数の家族連れでにぎわっていた。

 

そんな時、ふと声が聞こえた。

 

 

子供「ねぇパパ、今度自転車買ってくれるって約束したでしょー?」

 

父「そうだな。今度の試験で100点取ったらな」

 

母「あらまぁ。じゃあ、頑張らなきゃね」

 

子供「ホント? 約束だよ、絶対!!」

 

父「ハハハ。じゃあ、指切りしようか?」

 

子供「うん!」

 

二人「♪指切りげんまん ウソついたら針千本の~ます 指切った!!」

 

 

……僕も、あんな風な会話を、彩乃とする様になるのだろうか?

 

そんな未来は、こない気がした。

 

 

何故だろう。

 

何故、彩乃との未来が見えないのだろう?

 

役者をやってる僕の収入が少なく、甲斐性が無いからか?

 

同棲はしてるものの、彩乃に結婚願望があるか分からないからか?

 

二人に子供が出来る姿が、全く想像出来ないからか?

 

 

僕「あ……」

 

気がつけば、僕はファミレスで一人、涙を流していた。

 

ゆっくりと涙腺から流れる粒は、アゴをつたって床へと落ちた。

 

それはまるで、僕らの未来を示すかの様に。

 

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