あまり農薬を使いたくないというロザリアンに試してほしい「トウガラシ+ハーブスプレー」の作り方と使い方、その効果までしっかり紹介します。


無農薬・減農薬でバラを育てたい!

▲満開の「ペネロペイア」 写真提供/とらうさぎ

ザリアンの中には「バラは好きだけど農薬は使いたくない」という方は結構多いと思います。

 

もちろん農薬は、日本の法律で厳しく審査され安全性を国が保障しているものです。それでも、たとえば口に入れる野菜をバラの隣で育てているとか、小さい子が知らずに口に入れてしまうのが心配とか、ペットが舐めないか心配とか・・・我が家のようにマンション暮らしだとお隣のベランダと近接しているから農薬の臭いが気になるということもあります。バラジャムを作りたい方も、農薬は使いたくないですよね。

 

無農薬・減農薬を目指すロザリアンに支持されているのが「ニームオイル」と「木酢液」です。「ニームオイル」は、インドセンダンの実から採れるオイルで、「木酢液」は炭を作るときにでる煙を冷やして液状にしたもの。

 

「ニームオイル」は欧米でシャンプーや歯磨き粉に使われているほど安全性の高いものです。が、「木酢液」には発がん性物質も含まれているということで、わたし(あいびー)はもっぱら「ニームオイル」を愛用しています。「木酢液」って臭いもけっこうきついですしね。

 

「トウガラシ+ハーブスプレー」で害虫対策!

▲「トウガラシ+ハーブスプレー」を噴霧器で散布 写真提供/とらうさぎ

援レポーターの「とらうさぎ」さんは、庭で野菜もつくっているので、野菜の側にあるバラにはなるべく農薬を使わないよう工夫しています。「とらうさぎ」さんが使っている害虫忌避剤は「トウガラシ+ハーブスプレー」。勘単に手作りできるそうなので、その作り方と使い方、そして実際の効果を教えてもらいました。

 

とらうさぎとらうさぎ

応援レポーターの「とらうさぎ」です。我が家では野菜の害虫対策に「トウガラシ+ハーブスプレー」を使っています。もちろんバラにも利用しています。作り方は簡単なので、気になる方はぜひ試してみてくださいね!

「トウガラシ+ハーブスプレー」には酢ベースとアルコールベースがあります


アース製薬 アースガーデン やさお酢 1000ML

作り忌避剤「トウガラシ+ハーブスプレー」は、酢ベースのものとアルコールベースのものがあります。

 

酢は、アース製薬から「やさお酢」というスプレー剤が発売されているほど病虫害対策に優れた食品。トウガラシもその強烈な臭いで害虫忌避剤として優れた食品です。ハーブももちろん安全です。このため、口に入れても大丈夫な安全性の高い忌避剤がつくれます。

 

トウガラシは酢、油、アルコールで辛味成分が溶けだします。この原液を水で希釈して散布するので、分離しやすい油以外の酢またはアルコールベースで原液を作ります。

 

とらうさぎとらうさぎ

酢ベースのものは病気予防が多少期待できますが、スプレーしたときかなり酸っぱい臭いがします。臭いが気になる方はアルコールベースの方がいいと思います。

準備するもの6つ

▲材料のトウガラシとニンニク&ハーブ(ラベンダーの枝)写真提供/とらうさぎ

意するものは、以下の6つです。

 

乾燥トウガラシ(鷹の爪)/10本(種も使います)

お茶パック/1つ

ニンニク/1片

ハーブ/剪定枝を2~3本

ホワイトリカー(または米酢)/300ml

ガラス製の保存容器

 

それぞれに、どんなものが適しているか説明します。

 

乾燥トウガラシ(鷹の爪)

お店で売っている、切り分けてない鷹の爪を使います。自宅で育てている方は、フレッシュなトウガラシの実を使っても大丈夫です。

 

お茶パック

お茶の葉を入れる、不織布でできた袋です。トウガラシの種が散らばらないよう、お茶パックに入れてアルコールに漬けます。

 

ニンニク

ニンニクも害虫の忌避効果があるので、プラスして使います。生のものを使います。

 

ハーブ(ラベンダー)

匂いの強いハーブも害虫の忌避効果があるので、プラスします。ラベンダーやローズマリーなどが適します。

 

とらうさぎとらうさぎ

ハーブはその時に出た剪定枝を適当に入れています。昨年はローズマリーとラベンダーの両方を入れましたが、今年はローズマリーの調子が悪く剪定枝が取れなかったので、ラベンダーとニンニクを入れました。

ホワイトリカー(または米酢)

アルコールは「ホワイトリカー」(35度)、「焼酎」(36度以下)ていどのアルコール度数の高いものが適します。もっと度数の高い「ウオッカ」(40~50度)も使えます。アルコール度数の低い「ビール」(4~8度)、「料理酒」(14度)、「日本酒」(15度)は、適しません。

 

保存容器

保存容器はガラス製が無難です。とくに酢を使う場合は腐食する金属製の蓋つき容器は避けてください。サワー作り用などの、酢に強い材質の容器ならプラスチック製でも使えます。

 

「トウガラシ+ハーブスプレー」の作り方

回は、アルコールベースで作ります。酢ベースでも作り方や分量は同じです。

 

1、トウガラシの実を割る

▲トウガラシの頭を取り実を半分に

ウガラシの実を2~3つに割り、種ごとお茶パックに入れます。

 

とらうさぎとらうさぎ

種を入れるとスプレーに詰まって使いにくいからという理由で、種を使わない方もいますが、種には辛味成分がたくさん含まれているので、わたしは使っています。お茶パックを利用すれば、種が浮遊するのを防げます。

2、ニンニクを潰す

▲ニンニクを潰す

をむき、縦に二つ割にしたニンニクを、切り口を上にして包丁の側面で潰します。ニンニク潰し器を使ってもOKです。切るより潰した方が、成分がしっかり染みだします。

 

3、ハーブと一緒に保存容器に漬ける

▲ガラス容器に漬けこみ保存

分は大敵なので、ハーブの枝は洗わず使います。土埃が気になるときは、ウエットティッシュでそっとふき取りましょう。

 

お茶パックに入れたトウガラシ、潰したニンニク、ハーブの枝をガラス容器に入れ、ホワイトリカー(300ml)を注いで漬け込みは完了です。

 

保存場所は直射日光の当たらない冷暗所に。冷蔵庫に入れる必要はありません。

 

1ヵ月後から使えます!

▲2ヵ月置けば、しっかりした濃い色に! 写真提供/とらうさぎ

1ヵ月程度置けば、かなり成分が抽出され使うことができます。が、2ヵ月置くことでしっかりした「いかにも効きそうな」濃い色に仕上がります。

 

とらうさぎとらうさぎ

わたしは今、1年以上経っているものを使っていますが、2・3ヵ月~半年くらいの間に使い切るのが一番効果が高いように思います。1年以上経つとハーブの香りが薄れてくる上に、ハーブの枝が崩れて細かいゴミが浮遊するようになり、取り除くのが面倒です。

40倍希釈で葉面散布を!

▲水1リットルあたり、25~30mlの原液を混ぜて散布 写真提供/とらうさぎ

際に使用するには、水で40倍に薄めて葉面散布します。水1リットルあたり、25~30mlの原液を混ぜ、霧吹きで散布を。

 

とらうさぎとらうさぎ

濃い方が効き目がありそうですが、臭いがさらにきつくなるので、ご近所に遠慮して・・・という面から40倍希釈で散布しています。それに、あまり濃くすると目に入ったときに危険ですし、植物にも悪影響がありそうな気がします。以前、計量で少し多い目に出てしまい、通常より1.5倍の濃さになったことがありますが、その程度なら問題ありませんでした。

手についても意外と平気ですが、目に入ると刺激があるので、散布の際にはマスクとゴーグル推奨です。

 

使用回数に制限なし!

▲葉の表裏にタップリ散布を 写真提供/とらうさぎ

べて食品に使える安全性の高いものを使っているので、使用回数に制限なく、気がついたときに何度でも散布して大丈夫です。バラの葉の表裏に、たっぷり散布しましょう。

 

「トウガラシ+ハーブスプレー」使用実感は?

▲バラの隣に野菜があっても気軽にスプレーできる! 写真提供/とらうさぎ

ラの害虫に関していえば、正直なところ「何もしないよりは散布した方がいい・・・かな?」という程度です。「ベニカXファインスプレー」や「オルトランDX」などの農薬と、同じほど効果があるとは言えません。

 

しかし家庭菜園をやっていたり、隣家が近かったり、動物を飼っていたりして、「無農薬で育てたい!」というときには、いい選択肢だと思います。バラの花びらでジャムを作りたい方にもいいですね。

 

とらうさぎとらうさぎ

我が家では「スウィート・ドリフト」の隣にシソとワイルドストロベリーが並んでいるんですが、それらにかかっても安全なので、気にせずスプレーすることができます。とくにアブラナ科の野菜は、虫がつくと丸ハゲにされてしまうので、我が家ではブロッコリーにもよくかけています。

バラの害虫に対しては?

▲バラにつく害虫はたくさんいる

ラにつく害虫に対しての効果は──。以下は、「とらうさぎ」さんが実際に使用してみての感想です。

 

とらうさぎとらうさぎ

「トウガラシ+ハーブスプレー」をまいても、アブラムシはそんなに減りません。それよりも「カダンセーフ」「アメンコ」などの物理的に気門封鎖して駆除するタイプの有機栽培用薬剤の方が効果的だと思います。

人によっては「アブラムシに劇的に効く!」なんて書いている方も見かけますが、「とらうさぎ」さんの使用感はそうでもなさそうです。続いてイモムシに対しての効果を聞いてみましょう。

 

とらうさぎとらうさぎ

「トウガラシ+ハーブスプレー」がイモムシをころすわけではないです。チュウレンジハバチの幼虫に直接かけても平気そうにしているし、すぐに食害が減ることもありません。テデトールの方が確実です。ただし、チュウレンジハバチの親が産卵するのは減るような気がします。

大きく育ったヨトウムシ、ハダニ、コガネムシ、カミキリムシには、残念ながら効果がなかったそうです。

 

臭いが気になるならアルコールベースをおすすめ

ベースで作ると、数十分~数時間は酢の臭いが充満します。比較対象として、「木酢液」よりは、ややマイルド程度で、かなりきつい臭いとのこと。ご近所にも、ちょっと遠慮する感じです。アルコールベースの方は、散布直後にふわっとハーブの匂いが広がり、数分でなくなります。

 

臭いが気になる方には、アルコールベースで作るのをオススメします。

 

こまめに散布できる方向きのスプレーです!

いうことで、まとめると。

 

害虫駆除薬としては市販の農薬に劣ります。「トウガラシ+ハーブスプレー」はあくまでも害虫忌避剤で、効果もそう強くないのでこまめに散布できる方向きです。

 

劇的な効果はありませんが安全性が高いので、無農薬・減農薬でバラを育てたい方にはおすすめできます。雨で薬液が流れない軒下やベランダで育てている方には、さらにおすすめです。

 

まとめ

手作りの害虫忌避剤「トウガラシ+ハーブスプレー」について、実際に使っている「とらうさぎ」さんに紹介してもらいました。

 

こういう安全性の高い忌避剤は、やはり効果でいえば農薬にかないません。でもそこは手数で勝負。わたしはバラに「ニームオイル」を利用しています。同じように効果は微妙ですが、少しでも農薬を減らせればという思いで使い続けています。「トウガラシ+ハーブスプレー」も、同じ感じの使用感でしょうね。

 

▲毎年育てているルッコラ

 

わたしは狭いベランダでバラと同時にハーブも育てていて、今年は「ルッコラ」がやたら穴を開けられるので、さっそく「トウガラシ+ハーブスプレー」を試してみたいですね。すべて食品でできているので、「ニームオイル」よりも安心度が高いです。

 

もう仕込みは済ませているので、使えるようになる1ヵ月後が楽しみです。

 

▼病気と害虫対策の記事一覧は、こちらからどうぞ

 

cropped-rose1.png
スポンサーリンク