初夏。6弁の花びらを見開いたように咲くユリの花。貴婦人の佇まいをもつステキな花ですよね。今回は、ユリの品種ユリの育て方を、初心者にもわかりやすいように、ていねいに紹介しています。


日本は美しい原種ユリの宝庫!

▲ユリの王様「ヤマユリ」

ラといえばヨーロッパのイメージがある方がほとんどだと思いますが、それじゃユリはどこの国のイメージがありますか? ユリの原種はカナダや中東、ロシア、さらに中国など北半球に約100種類が自生していて、そのうちの15種類が日本に分布しています。

 

日本に自生しているユリの原種のうち、7種類が日本の固有種──つまり、日本だけにしか自生していないユリです。日本固有種のユリは、原種なのに完成された美しさをもつものが多いことで有名です。もちろん、植物学者などの間では──ということですが。

 

今現在、世界じゅうで流通しているユリの多くが日本原産のユリをもとに品種改良されたものです。だから、ユリはどこの国の花かといえば、日本をイメージしてもいいくらい、それくらい日本は素晴らしいユリの宝庫なのです!

 

このあたりのお話しは別のページに詳しく書いていますので、興味のある方はそちらも合わせてごらんください。

 

▼日本の原種ユリとお盆に高速道路脇に咲くユリについての記事です

 

ユリの品種は大きく分けて4種類

ラとはまた違った美しさをもつユリを育てて咲かせてみませんか? 多くのユリの花期は6月~7月。タイミングとしては、バラの1番花の後に咲きます。品種によっては、真夏の8月に咲くものもあります。

 

ユリの品種はいろいろありますが、大きく分けて4種類あると覚えておくといいですね。それぞれに少しずつ異なった特徴があるので、簡単に紹介します。

 

1、育てやすくて香りの良いテッポウユリ系

▲純白で香りの良いテッポウユリ

ッポウユリは、沖縄や奄美諸島を原産とする純白のユリです。ラッパ銃のように長い花の形から日本では「テッポウユリ」と呼ばれています。

 

Antique Malaysian blunderbuss pistol
Antique Malaysian blunderbuss pistol / quinet

 

ちなみに、これがラッパ銃。英語では blunderbuss といいます。確かにテッポウユリにそっくりな形の銃ですね。テッポウユリは学名で Lilium longiflorum(リリウム・ロンギフローラム)といいます。「longiflorum」は「長い花」という意味です。

 

テッポウユリは原産地の沖縄や奄美では4~5月に咲き関東では6月に開花します。花には、ややすっきりとした強い芳香があります。

 

▲花びらの外側に赤紫色の筋が入るタカサゴユリ

 

テッポウユリによく似た細長い咲き方をする白ユリに台湾原産のタカサゴユリがあります。テッポウユリに良く似た花を咲かせますが、タカサゴユリは花びらの外側に赤紫色の筋が入ります。葉もテッポウユリより細く、ときに「細葉テッポウユリ」という呼ばれ方をします。タカサゴユリには香りがありません。

 

タカサゴユリの花期は7月~10月。繁殖力が強く、今では日本でも関東以西に広く自生していて、お盆の頃の高速道路脇に咲いているのがこのタカサゴユリです。タカサゴユリは外来生物としてマークされている植物で、日本で植えたり増やしたりするのはオススメされていません。そのため、タカサゴユリの球根は販売されていません。

 

園芸品種のテッポウユリ(ロンギフローラム・ハイブリッド)


テッポウユリ 4種 球根各2球 計8球(入荷予定:2019年10月下旬〜11月頃)

芸品種のテッポウユリの代表は「新テッポウユリ」です。新テッポウユリは、テッポウユリとタカサゴユリの交雑品種。テッポウユリの美しさと香り、タカサゴユリの育てやすさを受け継いでいます。純白の花で葉がタカサゴユリのように細葉のものや、タカサゴユリと同じように花びらの外側に赤紫色の筋が入るものなど、いくつかの品種があります。花期は6月~7月。育てやすいユリです。陽当たりを好みます。

 

他にも、テッポウユリとヤマユリ系のユリを交配したピンクや赤色の園芸品種も登場してきています。

 

2、育てやすくて花色豊富なスカシユリ系

▲上向きに咲くエゾスカシユリ

本原産のイワトユリや、サハリン~北海道に自生しているエゾスカシユリは、どちらも花びらのつけ根が細くなっていて、向こう側が透けて見えることから「スカシユリ」の名がつけられています。どちらもオレンジ色をしていて、上を向いて花を咲かせる特徴があります。

 

園芸品種のスカシユリ(アジアンティック・ハイブリッド)


【ユリ 球根】 コンテナガーデンリリー すかし混合 【4球入】 【予約販売】10月上旬頃発送予定

芸品種のスカシユリは、上で紹介したイワトユリやエゾスカシユリなどを交配して作られたユリです。上向きに花を咲かせ、香りはありません。園芸品種のスカシユリの特徴としては、なにより花色が豊富なこと、そして育てやすいことが挙げられます。

 

花期は6月~7月。陽当たりを好みます。。草丈は品種によりさまざまです。1m以上になるものもありますが、50cmほどにコンパクトに育つ品種も多くみられます。

 

3、豪華な花と素晴らしい芳香をもつヤマユリ系

▲野趣あふれる花容で人気のヤマユリ

径25cm以上にもなる巨大輪花びらの中心に黄色が走り赤褐色の斑点が入る美しい花容。そして強烈な甘い香り。ヤマユリは、日本固有の原種ユリですが、とても原種とは思えないほど豪華で完成された美しさをもつユリです。1~2mの茎の先に数輪の花を咲かせ、ときに10輪近い花を咲かせていることもあります。ヤマユリは、ユリの王様ともいえる風格ある花です。

 

ヤマユリはとても魅力的なユリですが、残念ながらウイルス病にかかりやすく、育てにくい花です。花期は6月~7月。半日陰を好みます。

 

▲関西以西に自生するササユリ

 

ササユリも日本固有の原種ユリです。透明感のあるピンク色の花(花径10~15cmほど)を咲かせるササユリは、ヤマユリよりも小型で草丈1mほど。笹の葉のような葉をしているので「笹百合」の名があります。ヤマユリほど強烈ではありませんが、すがすがしい良い香りをもちます。連作を嫌い、栽培するのは難しいです。花期は6月~7月。半日陰を好みます。

 

ヤマユリ系の園芸品種(オリエンタル・ハイブリッド)


ユリ オリエンタルリリー カサブランカ【球根】1球入り袋詰め 白_ユリ_ゆり_百合_秋植え_球根_販売_通販_

マユリやササユリなどを中心に交配してつくられたのがヤマユリ系の園芸品種です。この一群は、オリエンタル・ハイブリッドと呼ばれます。交配に使われたユリがすべて日本原産のユリなので「ジャパニーズ・ハイブリッド」と呼ばれることもあります。他にも「オリエンタルリリー」「オリエンタルユリ」と、さまざまな呼び方を見かけます。

 

オリエンタル・ハイブリッドでは、なんといっても純白大輪の「カサブランカ」が有名ですね。淡いピンク色の大輪花「ル・レーブ」や、黄花品種の「コンカドール」など、白以外の品種も充実してきています。

 

半日陰を好みます。

 

4、カノコユリやオニユリ

▲花びらが丸まり下向きに咲くカノコユリ

国や日本に自生しているカノコユリやオニユリは、花びらの先が強く反り返り、下向きに咲く原種ユリです。どちらも自生しているくらいなので日本の気候に合っていて丈夫で育てやすいユリです。かつてよく庭で栽培されていましたが、現在はあまり人気がありません。草丈はカノコユリで50cm~1.5m、オニユリで1~1.8m。花径10cmほど。花期はオニユリが6月~7月カノコユリが8月。オニユリは日向を好み、カノコユリは半日陰を好みます。

 

初心者のためのユリの育て方

れまで紹介したように、ユリにはいくつもの品種がありますが、テッポウユリ、カノコユリ、オニユリなどは原種でも育てやすいユリです。園芸品種はオリエンタルハイブリッドを含めてどの品種も比較的育てやすく品種改良されています。庭植えなら、ほぼ植えっぱなしで数年間は毎年花を楽しめます。鉢植えでは、毎年新しい土に植え替えなければいけませんが、基本的に育てやすいユリです。

 

豪華なヤマユリやササユリなどの原種ユリは、少し栽培が難しいです。ウイルス病にかかりやすかったり、連作を嫌うので庭植えでも毎年、植え替えが必要になります。

 

ここではユリの基本的な育て方を、実際にユリを育てているハナたろうさんにアドバイスしてもらいながら、初心者にわかりやすいように紹介します。

 

ハナたろうハナたろう

そだレポで「ガブリエル」や「青竜」などを担当している応援レポーターのハナたろうです。バラと同時に、庭と鉢植えでユリを咲かせて楽しんでいます。今回はユリの育て方のポイントを、実際に育てている経験を踏まえて紹介します。

1、ユリの品種の選び方

リは品種により育てやすさが大きく異なります。初心者なら庭植えで3~4年は植えっぱなしで大丈夫なテッポウユリやスカシユリがおすすめです。オリエンタル系の園芸品種も5年くらいは庭に植えっぱなしで大丈夫ですが、こちらは病気や虫の害が出やすいので適切な管理が必要です。

 

オリエンタル系の原種──ヤマユリやササユリは栽培が難しく、失敗したくない方にはおすすめできません。それでもチャレンジするなら、たとえ庭植えでも枯れたり発芽しなかったりなどのトラブルはつきものと思って取り組んでください。

 

鉢植えなら、どの品種でも毎年新しい土で植え替えする必要があります。鉢植えでも育てやすさは庭植えと同じです。 園芸品種のテッポウユリまたはスカシユリ・原種のテッポウユリ>園芸品種のオリエンタル・ハイブリッド>ヤマユリやササユリなどオリエンタル系の原種 の順番で育てるのが難しくなります。

 

2、球根を植える時期は10月/良い球根の選び方

▲ユリの球根(左)と、チューリップの球根(右)

ューリップの球根と比べてみればよく分かるように、ユリの球根には保護する皮がありません。そのため、ユリの球根を保存するときには、軽く湿らせたオガクズなどに包んで乾燥を防ぎます。

 

店頭でユリの球根を購入するなら、ビニール袋にオガクズと一緒に入れられているものを選びます。チューリップの球根のようにネットに入っているものは乾燥している恐れがあるので選ばないように注意します。ユリの球根を植える時期は10月なので、10月に入ってからなるべく早い目に購入するといいですね。

 

同じ品種の中ならなるべく重くて大きな球根の方がたくさんの花が咲く可能性が高いです。外側の鱗片が枯れたりしおれたりしていないもの、さらに芽がひとつのものを選びましょう。オガクズに入った状態では球根の状態がよく分からないことが多いので、信頼できるお店で選ぶといいですね。ネット購入でも、信頼できるお店を利用しましょう。

 

同じ品種をいくつかまとめて植えた方が見栄えがするので、庭なら3~4球くらい同じ品種を購入するといいと思います。

 

3、1年目の10月~11月中旬の管理/ユリの球根の植え方

▲ユリの根は球根の上と下から出る

リの球根を植えるには、チューリップなどに比べて深植えにする必要があります。その理由が、ユリの根が2段構造になっているからです。球根の下から出る根(下根)は、茎が倒れてしまわないようしっかり支える役目をもちます。球根の上から出る根(上根)は、養分を吸い上げる役目をもちます。浅く植えてしまうと、上根が十分育つことができず球根が太ることができません。だから、上根がしっかり育てるように深く植えるのです。

 

庭にユリの球根を植える方法

ユリを庭に植える方法1、土づくり

ず土づくりをします。ユリの球根は深植えにするので、小型の球根なら30cmくらい、大型の球根なら40cmくらい土を掘り起こしてよく耕します。

 

つぎにユリはPH5.5~6.5くらいの弱酸性を好むので、1㎡あたり一握りの苦土石灰を撒いて酸度を調整します。

 

最後に1㎡あたりバケツ1杯の腐葉土と100gの化成肥料を庭土とよく混ぜ、土づくりは完了です。

 

ユリを庭に植える方法2、球根を深植えする

▲球根の2~3倍の深さに植える

リは球根を支える下根と養分を吸収する上根があるので、上根が十分育てるように球根の大きさの2~3倍の深さに下根を広げて植えます球根と球根の間も、同じく球根の大きさの2~3倍の間隔をあけます

 

ユリを庭に植える方法3、土をかぶせて完了

後に土を戻して植えつけは完了です。植えつけ後の水やりは必要ありません。間違って他のものを植えてしまわないよう、目印にラベルなどを立てておくといいですね。

 

この後の水やりは、いりません。自然まかせにします。

 

鉢にユリの球根を植える方法

▲ユリを植えるなら深さのある大きめの鉢を選んで!

リを鉢植えにする場合は、高さのある鉢を選びます。小型のスカシユリなら6号鉢で3球大型のオリエンタル・ハイブリッドなら6号鉢で1球植えられますが、来年以降も花を楽しみたいなら10号鉢などのなるべく大きな鉢にゆったり間隔をあけて植えましょう。

 

ハナたろうハナたろう

10号鉢ならスカシユリ等で4球、大型ユリで2球くらい植えられます。

ユリを鉢に植える方法1、土を用意する

は園芸用の培養土を用意します。自分で土をつくるなら、たとえば「赤玉土中3:赤玉土小3:腐葉土4に肥料を規定量混ぜたもの」で、用意します。

 

ユリを鉢に植える方法2、鉢底ネット、鉢底石、土を少量入れ球根を置く

の底穴にネットをかぶせ、鉢底石を1層置いたら、土を少し入れて下根を広げるようにして球根を置きます。さらに球根1~2個分の高さの土を足し、鉢の縁から1~2cm下(ウォータースペース分ひかえる)まで土を入れます。球根と球根の間隔も球根1個分以上あけます。

 

今年だけ花が咲けばいいというなら、浅く植えても球根の間隔が狭くても構いません。この場合は、毎年新しい球根を植えます。

 

ユリを鉢に植える方法3、最後にたっぷり水やりを

後に鉢底から流れ出るまでたっぷり水やりして、植えつけは完了です。乾燥防止のため、腐葉土などでマルチングしておくと、なおいいです。

 

この後の水やりは、鉢土の表面がが乾いたらたっぷりと。ユリは乾燥を嫌うので、芽吹いてくるまでは、鉢を日陰に置いて管理します。

 

4、3月になり芽吹いてきたら/追肥と害虫対策

▲芽吹いてきたササユリの芽

3月になると、ほとんどのユリが芽吹いてきます。上根がじゅうぶん育つよう、このタイミングで追肥を行います。1株あたり10gほどの緩効性化成肥料を芽から少し離して置きます。

 

アブラムシがつくのを防ぐために、オルトランDXを株元に散布します。

 

鉢植えは、それぞれの品種に適した場所に移動します。テッポウユリとスカシユリはよく日の当たる場所に。ヤマユリやササユリ、オリエンタル・ハイブリッドは半日陰に置きます。

 

ハナたろうハナたろう

アブラムシはウイルス病を媒介するので、「オルトランDX」を撒いていても、見つけたら早いうちに「ベニカXファインスプレー」などで駆除しましょう。

5、5月。陽ざしが強くなってきたら/マルチングを!

5月になると急激に暑い日が続いたりします。土の温度が高くなりすぎないように、株元に腐葉土などでマルチングをします。また、この時期に水切れするとつぼみが育たなかったり枯れたりすることがあるので、水を切らさないよう注意です。鉢植えはもちろん、庭植えでも、急激に暑くなったときには水やりします。

 

6、梅雨時期に開花!/支柱立て、花がら摘み、お礼肥え

▲1本の茎に10輪咲く新テッポウユリ 写真提供/ハナたろう

マユリ、ササユリ、オリエンタル・ハイブリッドなど茎に対して大きな花を咲かせる品種には、つぼみのうちに支柱を立てて花を支えます。6月中旬にはテッポウユリ系とスカシユリ系の花が咲いてきます。ササユリも咲き始めます。

 

▲しおれた花がらは、花びらのつけ根から手で摘む

 

花がしおれたら、かならず手で花がらを摘み取ります。そのままにしておくと灰色カビ病の原因になったり、種ができて球根に栄養が回らなくなったりします。ウイルス病がハサミを介してうつることがあるので、必ず手でもぎ取ります。

 

花の後には、お礼肥えを施します。

 

この時期の鉢の置き場所は、病気にかかるのを防ぐため、なるべく雨のかからないところに置きます。

 

7、7月。ヤマユリ系が開花/遮光を意識して!

▲花径25cm。美しく咲いたヤマユリの花 写真提供/ハナたろう

華なヤマユリやオリエンタル・ハイブリッドが咲いてきます。完成された美しさと濃厚な香りを楽しんでください。

 

ヤマユリ系の葯(やく)は花のアクセントとしてあったほうがバランスの取れた美しさがあるのですが、服につくと洗濯しても取れないほど厄介です。玄関など人通りのあるところに咲かせたり切り花にするなら、葯はあらかじめ取っておいた方が安全です。花屋のユリに葯がないのは、このためです。

 

本格的な夏を迎え、日差しが強くなってきます。ヤマユリやオリエンタル・ハイブリッドは直射が苦手です。鉢植えによく日が当たっているなら明るい日陰に移動しましょう。その方が花も長もちします。日向の好きなテッポウユリ系やスカシユリ系も、鉢土の温度が上がらないようせめて鉢の部分だけでも日陰になるように置き場所を工夫しましょう。

 

花がしおれたら手で花がらを摘み、株元にお礼肥えを施します。

 

8、8月~9月。花がなくても水やりを!

が終わったユリは、10月までこれまでと同じ管理を続けます。鉢植えなら半日陰に置き、鉢土が乾いたら水やりをします。庭植えでは、特別な水やりはいりません。ユリの地上部はじょじょに黄色くなってきますが、10月までこのまま管理します。

 

9、2年目の10月/鉢植えのユリは、すべて植え替えします

植えのユリは枯れた茎を地際から切り取り、廃棄処分します。その後、1株あたり10gの緩効性化成肥料を株から20cmほど離して撒き、土に混ぜ込んでおきます。この状態のまま、翌春の芽吹きを待ちましょう。管理のしかたは1年目と同じです。

 

すべての鉢植えのユリは毎年、植え替えします。1年間ユリを育てた土は肥料分がなくなり、phバランスも崩れています。さらにユリが出す老廃物が土にたまっているので、そのまま植えっぱなしにすると、翌年芽吹かなかったり咲かなかったりします。そのため、必ず植え替えが必要なのです。

 

植え方は前年の植えつけと同じ要領なので、ここでは植えつけ前に必要な、球根の処理のしかたを紹介します。

 

球根の処理1、球根を掘り上げ、茎を切り取り、木子を取り外す

▲掘り上げたら球根の上で茎を切る

ず茎をもって球根を引き抜きます。上の図を参考に、茎を球根の上で切り取り上根を取り除きます。さらに枯れている下根も取り除き、枯れていない元気な下根は残します。球根が完全に分かれているものは、手で割って分球します。はっきり分かれていない球根は、そのまま植えます。

 

ハサミは熱湯消毒しておくと、ハサミを介して病気が感染するのを防げます。簡単にすますなら、スプレー式の殺菌剤をたっぷり噴霧するだけでも消毒になります。

 

このとき木子も取り除きますが、木子も球根と同じように消毒薬につけてから植えておくと、2~3年後には花を咲かせられます。

 

球根の処理2、球根の水洗い

り上げたユリの球根を水で洗い、湿ったティッシュや布でくるんで乾燥しすぎないよう置いておきます。(ユリの球根はチューリップなどと違い、乾燥から守る外皮がないからです)。

 

球根の処理3、消毒液につける

▲ユリの球根を消毒薬につけこむ

リの球根は病気や害虫がついていることがあるので、植えつけ前に消毒液につけこみます。1000mlの水に1gのベノミル剤、1mlのMEP剤を混合してユリの球根を入れ、そのまま30分つけ置きます。

 

ハナたろうハナたろう

ハナたろうは「オーソサイド水和剤80」を1000ml の水に対して2.5g(添え付けのスプーンすりきり1杯)を溶かしたものに30分間つけています。どちらの薬剤でも大丈夫です。水和剤は水に溶けにくいので、簡単な作り方を次に紹介します。

▲水和剤の作り方1

 

1000mlのペットボトルに半分くらいの水を入れ、水和剤を入れます。

▲水和剤の作り方2

 

蓋をしてシャカシャカ振り、よく薬剤を混ぜます。

▲水和剤の作り方3

 

1000mlになるよう、水を足して出来上がり。よりきちんと溶かしたいなら、ここでも蓋をして軽く振ります。

 

ハナたろうハナたろう

これは薬品調合の基本的なやり方なので、覚えておくといいですよ!

バケツなどに消毒薬を入れ、30分間ユリの球根を漬けこんだ後、植えこみます。

 

ハナたろうハナたろう

消毒は少し面倒ですが、初心者でもこれは省略できません。鉢植えなら毎年、植え替えの前に球根を消毒します。購入してきたばかりのユリの球根も、心配なら消毒してから植えこみます。

▲植え方は、前年同様に深植えに

 

植え方は前年の植えつけ方と同じです。

 

鉢底ネット、鉢底石を鉢底に敷き、土を少し入れてからユリの球根を置きます。ウォータースペースを鉢の縁から1~2cm取ったところまで土をかぶせて植え替えは完了です。このとき使う土は、毎年新しいものを使うようにします。

 

10、庭植えのユリの植え替え

に植えたユリは数年そのまま植えっぱなしで構いませんが、テッポウユリ系とスカシユリ系なら3~4年ごとに、ヤマユリとオリエンタル・ハイブリッドなら5年くらいを目安に植え替えます。

 

植え替えるときには、まず株の周りを大きく掘り、球根を傷つけないよう慎重に掘り上げます。次に9の項目で紹介した鉢植えのユリと同じ手順で球根を消毒し、植えつけます。このとき、前回と1mでもいいからずらした場所に植えつけます。

 

ササユリは毎年植え替える

▲ササユリは、毎年、植え替えが必要です

サユリは連作をとても嫌うユリです。ササユリだけは庭植えでも毎年、掘り上げて消毒し、50cmでもいいからずらした場所に植え替えます。もちろん、球根を掘り上げたときには、かならず消毒してから植えつけます

 

まとめ

テッポウユリ系やスカシユリ系なら、すっくと直線的に立ちあがった姿が庭の良いアクセントになってくれるし、ヤマユリ系の豪華さも魅力的ですよね! ハナたろうさんのお庭のユリもとってもステキです!

 

わたしは以前、鉢植えでササユリを育てたことがありますが、発芽するまで2年かかり、翌年は咲かなかったのでもう面倒になってしまってそれ以降ユリを育てていません。でも、せっかく育て方が詳しく分かったのだから、今度は育てやすい品種を選んで再チャレンジしてみようかな。バラとはまた違った魅力のある花ですよね、ユリって。

 

ハナたろうハナたろう

地植えなら、案外放置しても3~5年楽しめますよ! 鉢植えは毎年植え替え・消毒・用土替えをしてくださいね。最初は難しくない品種から、ぜひユリを育ててみてください!

 

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