記者の目 企業の障害者雇用「外注」 分断広げる「数合わせ」=山田奈緒(東京社会部)(毎日新聞) | 艶(あで)やかに派手やかに

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記者の目 企業の障害者雇用「外注」 分断広げる「数合わせ」=山田奈緒(東京社会部)(毎日新聞)

 

障害者の雇用率達成の指導が厳しくなる一方で、企業向けに福祉農園を貸すことで雇用率を達成のサポートをするエスプールプラスという企業が注目されています。 社内で障害者に任せる仕事がない、でも雇用しないと社名公表処分される・入札に支障が出る、と悩む企業がエスプールプラスに駆け込んでおり、今や20社以上が待機待ちしていると聞きます。 

これは、共生社会を目指す障害者雇用の在り方としてどうなのか、という意見が出される(この記事の論調)一方で、法定雇用率達成に課題を抱える企業にとってはこうせざるを得ない事情も理解できる、という意見もあります。 

福祉農園で野菜を作る障害者は、企業で働くのが難しい重度知的障害者が中心。エスプールプラスの障害者向けHPには「大企業の正社員として働ける」と謳われているのですが…。農園で作られた野菜は社内で社員食堂で使われたり福利厚生として社員に配られ、余った分は本人がもらうシステムとのこと。市場に出回ることはありません。つまり企業や経済の生産性にはほぼ貢献していないと言えます。

また利用企業の話によると、当初は農園の管理はすべてお任せにできると聞いていたが、始めると農園の責任者が急に退職しその穴埋めとして利用企業の人事が毎日市街地から離れた農園に通わなければならなくなった、というトラブルも起きています。

いかに多くの企業が一定数の障害者を存在し続けることを想定しないマネジメントを行ってきたか、そこに法定雇用率達成指導が厳しくなったことで、このようなビジネスが現れたのです。 

こういう農園は、障害者の就労が進んだ海外のメディア(BBCやニューヨークタイムズなど)にはどのように報じられるでしょうか。