トランプの非常事態宣言:独裁者の常套手段

トランプが壁を作るために非常事態を宣言するという。これはヒットラーを始めとするかつての独裁者がやってきたこと。独裁者の常套手段である。独裁者は必ず民主主義を停止するために非常事態宣言を利用する。当然、トランプもこんな独裁者の手法を研究済なのだろう。

【2月15日 AFP】(更新)米ホワイトハウス(White House)は14日、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が議会の承認を得ずに対メキシコ国境での壁建設予算を確保するため、国家非常事態を宣言する意向だと発表した。  情報源: トランプ氏、非常事態宣言で壁建設へ 米政府発表 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News

愚かなことだが、ナショナリズムを煽る独裁者が、民主主義の下でも時々選ばれる。近年での最悪の失敗例は、当然、トランプであり、恐らく2番めの失敗例が韓国大統領の文である。いずれも、最終的な責任はそれを選んだ各国の選挙民にあるのだが、その煽りを受ける外国にとってはたまったものではない。

独裁者は、民主的に選ばれるが、非常事態を理由に民主主義を停止させる。ヒトラーも外敵(これにはユダヤ人も含まれるのだろう。)の脅威を理由に当時最も民主的な憲法と言われたワイマール憲法を合法的に停止させ、独裁を強化し、第二次大戦へと突き進んだ。トランプは、米国にやってくる不法移民を外敵と見做してヒトラーと同じことをやろうとしているだけである。韓国の文にいたっては、まだ、非常事態宣言こそ出していないが、そのうち日本をスケープゴート化して南北の統一をしたいのではないだろうか。

そもそも非常事態宣言とは、災害等の緊急事態に議会の承認を得ている時間がない場合に限り、例外的に政府の裁量で意思決定ができるようにする仕組みである。緊急事態とは、一刻をあらそうような事態であるので、通常の手続きで議会承認を得ていては時間がかかりすぎ、被害が広がる。そこで、多くの国では議会における事後承認を得ることや権限の範囲など一定の制約条件をつけた上で、その権限行使を認めている(ちなみに日本の憲法にはこの規定がない。全くないのも問題なので自民党などが改憲を主張しているところでもある。)。

しかるに、トランプの非常事態宣言は、もう、目茶目茶な論理としかいいようがない。米国議会では、民主・共和両党の妥協による予算案がすでに合意され、それにトランプも一応署名する。それにもかかわらず、その合意案にもられている予算では不足だから、非常事態宣言を出して、大統領の裁量で議会で決まった予算額をオーバーしてでも壁を作るのだと言う。議会の予算案に合意しておいて、それでは不足だから非常事態宣言を出して大統領が勝手に増額するなどということが民主主義の本家本元の米国で許されるのか?

これは、もう間違いなく米国憲法違反だろう。ひょっとすると、共和党、民主党ともにトランプがこうゆう手段にでるだろうということは十分織り込み済であって、それをやらせた上で、議会で弾劾するための材料にするつもりなのかもしれない。そうであれば、一刻も早く議会で弾劾して首にしてもらいたいものである。

非常事態宣言とは、このように独裁者に悪用されやすい制度である。日本も、これから非常事態宣言の制度を改憲までして作るということであれば、十分にこのような悪用リスクを想定した上で検討すべきである。

 

 

 

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