コンクールを聴いて感じること | フクロウのひとりごと

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愛知県在住のトロンボーン吹き、作編曲家、吹奏楽指導者。
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コンクールを聴いていると、いろいろなことを思います。

きょうはそんなことを少し書いてみたいと思います。

 

こんばんは。

トロンボーン吹きで作編曲家、吹奏楽指導者の福見吉朗です。

 

 

 

ミスしたら減点なの?

 

本番って、いろいろある。

リードミスや、音がちょっと外れることだってある。

じゃあ、そのたびに『マイナス1点』なのか…

そんなことはありません。

ミス自体ではなく、どうしてミスが起こったのか、は大事。

ちゃんと楽器を鳴らせてないのか、ソルフェージュできていないのか、それとも偶発的なものなのか…

ちなみに、ソルフェージュできているかどうか、自分の中にちゃんと音があって吹いているかどうか、

それは、演奏を聴けばよくわかります。

そしてさらに、いくつミスがあったかなどという些末なことではなく、

音色やバンドのサウンド、ダイナミックさ、音楽の流れや色彩感、表現の幅、

そんなことを全体的に聴いてジャッジしているものだと思います。

 

こんな声もあります。

 

 

音程、縦の線

 

音程が合うかどうか、縦の線がそろっているかどうか、

それももちろんジャッジのポイントかもしれないとは思うのですが、合う合わないが問題なのではなくて、

たとえば、どうして合わないのか、なぜ濁るのか、そこがポイントなのです。

楽器をちゃんと鳴らせていないのか、ソルフェージュできていないのか、

チューニングが不完全なのか、発音の問題なのか…

発音が原因で音が濁っているバンド、けっこうあったりするのですよ。

同じ濁るのでも、どうして濁っているのかでジャッジは変わってくる。

気にならないものもあれば、耳につくこともある。それ、けっこう大きな違いです。

だから、「とにかくピッチだ!」、「とにかくタイミングだ!」というやり方は、必すしも正しくないし、

それどころか、むしろマイナスになったりもする。

もしぼくが審査員をするとしたら、たとえば『音程が合っていません』ではなくて、

なぜ合わないのか、なにが原因なのか、そこを見極めてジャッジに書いてあげたい。

 

 

ジャッジが分かれてあたりまえ

 

バンドによってほんとうに特長があって、いろいろな演奏がありますよね。

たとえば、響き、サウンドはすごくいいのだけれど、音楽の流れや表現はいまひとつなバンド、

響きの厚みはもうひとつなのだけれど、流れや色合いの変化はよくできたバンド…

『どこを聴くのかによって、ジャッジが変わってくるだろうな…』と思うのです。

だから、審査員によって評価が分かれてあたりまえなのですね。

でも、ということは逆に言えば、

コンクールで高評価を得ようと思ったら、

この点では優れているけれど、この部分ではダメ…、ではよろしくないのですね。

 

 

 

表現の好み?

 

音楽であるからには、演奏する団体によっていろいろ個性があります。

特に個性的な演奏に出会うと、思わずニヤけてしまいます。

では、それが審査員の好みに合わなかったら低評価なのか…

そんなことはないと思います。

賢明な審査員なら、自分の好みでジャッジしたりはしないでしょう。

むしろ、一生懸命『何か』をしようとしている演奏には好感を持つと思います。

ただし、たとえば、楽譜上ではリタルダンドなのに、単にフェルマータにしてしまっていたりすると、

『それはrit.じゃないよ!』となるかもしれません。

 

 

マーチなのに…

 

『マーチなのに…』と思ってしまうマーチ、やっぱり時々あるのです。課題曲。

たとえば、一本筋が通ってないとか、打楽器が単に添え物でしかないとか…。

「マーチ、嫌いですか?」って訊きたくなってしまいます。

メロディが先、ではないと思うのです。むしろ逆。

メロディなしでどれだけできるか…。

マーチに限らずですが、「伴奏だけでグルーヴできるようにしようよ」と思う演奏、時々あります。

 

 

指揮者のコンクール?

 

『吹奏楽コンクールって指揮者のコンクールだ』…、そんなふうに言われる方もおられます。

せっかくいいサウンドなのに、流れが悪い、色彩感がない、なんだか重たい…

たしかに、指揮者のせいだな、と思うことはあります。

逆に、『この指揮者あっての、この演奏なんだな』と、聴いていて感服することもあります。

指揮者の中にどれほどの音楽があるのか、あるいは、ないのか…

たしかに、大きなポイントではあると思います。それに、

『指揮で』つくってきた団体の音楽は、やっぱり自然で深いものがあります。

もちろんそれだけで決まるわけではないのですが、

指揮者のコンクールだというのも、聴いていて正直ある意味納得してしまうのです。

 

さて、みなさんはコンクールを聴いて、どんなことを感じましたか。