ジャカルタに駐在して1年半くらい経った年末のある日、私がクリスチャンであることを知っている会社のインドネシア従業員が、会社のクリスチャンを集めてクリスマスを祝うので、あなたも来ないかと誘われました。

 

インドネシアは前にも述べました通り、イスラム教世界で最大の人口を有する国で、国民の9割くらいはイスラム教徒と言われていますが、クリスチャンは日本と同じくらいの割合でいます。かつてヨーロッパ諸国が植民地争奪戦を繰り広げていたころに、ポルトガルやオランダからミッションが入った地域があり、今でもその地方へ行くと教会がたくさんあってクリスチャンがいます。

 

まさかインドネシアへ来てクリスマスの集まりに誘われるとは思っていなかったので、興味半分ながら誘いを受けました。約束した当日、会社が終わって日が暮れかかったころ、案内された集会所は教会ではなく、街の公民館のようなところでした。クリスチャンでもカトリックやプロテスタントなど諸教派があり、会社の集会なので特定の教会ではしなかったようです。

 

会場は100人くらい入れるところで、照明はいくつか蛍光灯がついているものの薄暗く、エアコンがないので夜とはいえ南国、まだ昼間の暑さが部屋にこもっていました。会場の一番前、講壇の前に席を取っておいてもらって恐縮したのですが、椅子は一枚板を渡したベンチのようなもので、しばらく座っているとお尻が痛くなってきて、お陰で牧師の説教中に眠ることはありませんでした。

 

説教はインドネシア語でしたので内容はほとんど理解できなかったのですが、お祈りで終わりを察することができました。特にパーティのように飲み食いするわけではなく、質素なクリスマスの集いでしたが、集まったものみんなで挨拶を交わして、お互いにイエス・キリストの降誕をお祝いしたのです。みんなニコニコと微笑み、目が輝いてとても幸せそうでいたのが印象的でした。

 

イエス・キリストがベツレヘムの馬小屋に生まれたときは、聖書では羊飼たちが活動していたときと書かれているので、真冬ではなくむしろ夏の頃であったと言われています。馬小屋の中は少し昼間の熱気が残っていて、明かりも少なく薄暗かったのではないかと想像すると、このときのインドネシアのクリスマス集会は、本当のクリスマスといえる貴重な体験となりました。

 

             (クリスマス@シンガポール)

 

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